9月22日(火)、Toshl(龍玄とし)が「たった1人のファンのために歌う」コンサートを行った。
このコンサートは、コロナ禍においても精力的に活動を続けるToshlが「2020 龍玄とし新たなる活動『プロジェクト運命』」の一環として企画し、「今、自分が一番してほしいこと、自分が一番したいことを」というToshlの思いから開催された。
会場は国内でも最高峰の音響と荘厳な美しさを誇る「東京オペラシティ コンサートホール タケミツ メモリアル」。この日のみの開催となるスペシャルなコンサートは、1回1人30分、全4回(4回目は2組)の公演が行われる。
1632席を有する豪華なホールをたった1人で独占できる権利を得たラッキーな観客は、およそ1万人の応募の中から抽選で選ばれた。演奏される曲は4曲、あらかじめ用意されたリストの中から好きな2曲をリクエストできるという。
1人目の観客の男性がコンサート会場に入り、真ん中の5列目に座ると、白くまばゆい衣装に身を包んだToshlが現れ、ホールは一気に静謐で非日常的な空気に変わる。
Toshlが柔らかな笑顔で客席の男性に「ようこそ!緊張します?」と問いかけると、「緊張します」とステージ上のToshlに向けて答える。普段のコンサートと違い「自分のためだけに」発せられるMC。憧れのミュージシャンとの1対1のコミュニケーションが成り立つ空間は、まさに“夢”のようだ。
そして、コンサートの1曲目「マスカレイド」(2019年)が、マスコミの取材向けに披露された。Toshlの力強く情熱的なピアノに乗せて圧倒的な歌声が会場に響き渡った。
採算は取れないが、お互いの一生の思い出に
今回のコンサートについて、開演直前の取材に応えたToshlは「コロナ禍で思うように活動できず困惑している中で、来るべき日に備えて今だからこそできることをずっと考えてきました」と語り、「もし、自分に“推しのアーティスト”がいたら、今この時期だからこそ、僕のためだけに歌ってほしいという発想が浮かんだ」と企画意図を説明。
1人3万円(税抜)というチケット代はホールの使用料にも満たず、赤字なのではと費用面について聞かれると、「採算は取れません(笑)。でもこんな機会はもう二度とないかもしれないということで、周囲を説き伏せました」と笑顔を見せた。
広い会場で1人のためだけに歌うことについて意気込みを聞かれ、「ワクワクしています、夢のような気持ちで歌うことができる」と楽し気に答え、「参加するお客さんも僕も、お互いに一生の思い出になればうれしいですし、今回参加できなかった方にも、この夢の企画にワクワクしてもらいたい」と、エンターテイナーらしい思いを明かした。
最後にファンに向けて「一緒に運命を切り開いていきましょう!」と明るく前向きにこの時期を乗り越えようというメッセージを伝えた。
全5曲(取材向け1曲を含む)を堪能した観客の男性(40代、都内在住の会社員)は、終演後に取材に応え「自分にだけ話しかけてくれたり、一緒にリクエスト曲を歌ったりと、夢のような空間で、夢のような時間を過ごしました」と興奮気味に語った。
当選通知のメールを仕事帰りの電車で受けた時には信じられなくて指が震えたといい、3万円というチケット代についても「Toshlさんのファンには決して高い金額ではない」とファンの気持ちを代弁。
自身のリクエスト曲「ボヘミアン・ラプソディ」(Queen)と、「LOVE SONG」(1998年「壊れた世界でカナリアは歌う」に収録)を堪能し、「周りに誰もいなくて、全部の音が自分1人のところにやってくる。一生の宝物になりました」と満足そうな表情を見せた。
「2020 龍玄とし新たなる活動『プロジェクト運命』」の詳細は公式サイトへ。