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エミー賞受賞のメイクアップアーティスト・MOTOKOインタビュー「手を抜くことができない」職人技メイクでハリウッドを魅了_site_large

エミー賞受賞のメイクアップアーティスト・MOTOKOインタビュー「手を抜くことができない」職人技メイクでハリウッドを魅了

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人気トークショー『The Real』での業績が認められ、今年の「エミー賞」で「Outstanding makeup賞」を受賞したメイクアップアーティストのMOTOKOさんへのインタビュー。

受賞の感想などを聞いたインタビューの前編に続き、後編では彼女のパーソナルな部分をよりクローズアップしていく。

<【インタビュー前編】祝!エミー賞受賞!!メイクアップアーティスト・MOTOKOインタビュー「やっと思いが叶った!という気持ち」>

モデルさんが顔を触らせてくれず…

――日本で銀行員として働き、渡米後も銀行に勤めていたMOTOKOさんがメイクアップアーティストを目指したきっかけは?

小さなころから、母が髪を整えたりメイクをしたりするのを見るのが大好きでした。でも、手のアトピーがひどかったので、自分がプロのメイクアップアーティストになるなんて、考えたこともなくて。それで学校を卒業して銀行に勤めたのですが、銀座の「シュウ ウエムラ」を通りかかったときに、お店にレイアウトされていた色とりどりのアイシャドウがあまりに美しくて、何色か買って帰ったんです。そのパレットを使って銀行の友達にメイクをしてあげたら、「キレイ!」って言われたのがうれしくて。そうやって友達にメイクをさせてもらったのが、この道に進む最初のきっかけでした。

アメリカに引っ越してこちらの銀行で働くようになってからも、結婚式などの機会に友達にメイクをしてあげるのは続いていました。そうしたら、銀行の同僚のボーイフレンドが写真家の卵で、「モデルさんの売り込み用の写真を撮るからメイクをやらないか?」と誘われたのです。

アメリカに行ったら手のアトピーがすっかり治っていたこともあって、「やらせて!」と現場に行ったのですが、モデルさんは顔を触らせてもくれませんでした。というのも、当時の私はメイク道具を母が送ってくれた千代紙の貼ってある箱に入れて持ち歩いていて、プロが使うメイクアップ用のバッグを持っていなかったのです。それで、素人だと判断されてしまったようです。

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長年仕事を続けてこられたのは「メイクが好きで好きでしょうがなかったから」

それをきっかけに、きちんと基礎から学ぼうとメイクの学校に入ったのですが、そこで「ビューティーメイクアップが私の仕事だ」と直感しました。でも、学校を卒業しても今のように求人情報をすぐに得られる環境ではなかったから、右も左もわからないままに学校の掲示板に貼ってあった求人募集に連絡をして。アジア系のモデルを売り出す小さなエージェントで、2年間で1200人くらいのメイクを担当しました。当時は平日は銀行で働いて、土日はヘアメイクで働くという状態だったのですが、まず、フルタイムのメイクアップアーティストとして働けるようになること。そして、きちんとしたメイク/ヘア事務所に入り仕事をコンスタントにできるようになること、を目標に掲げて、頑張っていたんです。

そうしたら少しずつ仕事の幅が広がっていったので、「女優や有名人のメイクを担当する」と目標をシフトチェンジして。それを達成したら、「映画やテレビの仕事をするためにメイクの組合に入る」というように目標を少しずつ大きくしていって、結果的に今に至るという感じです。

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――なにかのきっかけで一足飛びに今の場所に来たわけではないんですね。メイクの仕事をずっと続けることができた秘訣を教えて下さい。

「好き」だから。メイクをすることが、好きで好きでしょうがなかったのです。だから、怖いものも嫌なことも何もなくて、とにかく楽しくて仕方ありませんでした。どんな仕事も同じだと思いますが、好きという気持ちがなければ、飛躍することはできないですよね。私はメイクアップアーティストになろうと思ったのが30代前半ですから決して早いスタートではなかったし、別の道を通ればもっと早く今のレベルに届いていたかもしれないけれど、私のペースで続けてこられてよかったなって今は思うんです。

というのも、私、手を抜くことができないんですよ。自分が満足できないと、先へ進めないの。今でも放送時間ギリギリになってしまって「MOTOKO!」って叱られることもあるけれど、私がメイクを手掛ける以上、毎回丁寧にやるということは絶対に崩したくない。それを続けてこなければ、今のこの場所にいることはできなかったと思います。

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――MOTOKOさんのメイク方法の特徴はどんなところになるんですか?

みなさん、メイクをするときはまずファンデーションから始めると思うんですけど、私はまず目と眉を作ります。ファンデーションで目の周りの肌を整えたら、最初にアイメイクを完成させるのが私の特徴だと思います。モデルさんによっては、 たまに眉から始めることもあります。

あと、ファンデーションは相手の肌の色によって2〜4種類を使って、立体的に作っていきます。最近人気の“ビューティブレンダー”(※しずく型のメイク用スポンジ)の創始者からメイクを学んだこともあるので、だいぶ早い段階から立体的なメイクは実践してきました。

ショーモデルさんがやっているような“クリエイティブなメイク”よりも、私は“その人がよりキレイになるメイク”を目指しているので、日本でも受け入れられやすいかもしれません。一方で、アメリカでの経験が長いからこそ、日本のみなさんに対してできるアドバイスもありますよね。もし私が日本の芸能人のメイクを担当したら、また違った魅力を引き出すことができるだろうという自負はあります。

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宝塚歌劇団が大好き!「チャンスをいただけるなら、彼女たちのメイクにも挑戦してみたい」

――では、私たちがより美しくなるためにアドバイスをいただけますか?

日本の女性はメイクを身だしなみだと捉えていて、みなさん、いつもキレイにメイクをしているのがすごいなと思います。「夜寝る前にメイクをきちんと落とす」「保湿に気を使う」というような基本的なことも、きちんとやっていますよね。ただ、夜の保湿に力を入れている人は、自然の肌が持っている治癒力をキープするためにも、あまり強いものを付けすぎないほうがいいですよ。

ほかにアドバイスできるとしたら、年齢を重ねてからもシワの少ない美しい肌を保ちたいなら、10代のうちはメイクをしないことをおすすめします。20代になってからも、肌に負担をかけるようなメイクはしないほうがいいですね。あと、特にタレ目の女性は、つけまつげの長さをきちんと調節しないとタレ目が強調されてしまうので、気をつけてほしいなと思います。

30代後半から60代の方は、年齢相応のメイクをすることが大事。自分を20代だと錯覚して、昔の流行のままの細い眉を続けている人もいるけれど、ある程度の年齢になったら自然に形を整えたほうが若くみえるんですよ。メイクにおいて眉毛の形はとても大事ですし、マスク生活では目の周りしかメイクを楽しめないんですから、ステイホームの時間を使ってどの眉毛が自分に一番似合うのか、いろいろ試してみたらいいのではないでしょうか。

――最後に、今後のお仕事について聞かせてください。

10年くらい前から、日本のメイクアップの学校に通う学生がアメリカに研修に来たときにセミナーをやっているのですが、これから日本ももっとインターナショナルになって、いろいろな肌の色の人にメイクをする機会が増えると思います。私の得意な褐色の肌の女性のメイクの方法や、育った国によって求められるアイメイクや眉毛の形が違うことなど、私が培った技術をこれからも学生さんたちに伝えていきたいです。

あと日本に帰るたびに、がん患者さんの方へのメイクのボランティアをやっているので、これもライフワークとして続けていきたいですね。

それと、宝塚歌劇団が大好きなので、彼女たちのメイクにもチャレンジしてみたい。(メイクの経験が浅い)下級生の方でしたら、オフの顔を私がメイクをしたら、また違った魅力を引き出せるのでは、と思うこともあります。トップの方々ですか?それは、おそれ多いです(笑)。ですが、チャンスをいただけるなら、彼女たちの素の魅力をもっと引き出すようなメイクができるかもしれません。この記事をご覧になった関係者のみなさん、ご連絡をお待ち申し上げています(笑)!

取材・文:須藤美紀

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