編集部が気になる“麗(うるわ)しい”男性を紹介する、「眼福♡男子」Vol.73は小野健斗が登場。

2006年にミュージカル「テニスの王子様」の柳蓮二役でデビューし、2010年『天装戦隊ゴセイジャー』のハイド/ゴセイブルー役が話題に。その後、ミュージカル「薄桜鬼」シリーズや「Messiah メサイア」シリーズ、第68回トニー賞戯曲賞ノミネート作品「MOTHERS AND SONS -母と息子-」などに出演。年末に配信ドラマ『THE BAD LOSERS Season2』、来年には映画「真・事故物件/本当に怖い住民たち」の公開を予定している。

187㎝という長身を活かし、エネルギッシュで熱いキャラクターを演じることが多かったが、キャリア15年を超え、演じる役柄も変化。近年では大人の渋みが加わった役柄や、ヒール的ポジションを演じる機会も増え、その存在感が新たに注目を浴びている。

そんな小野が、『血界戦線』Blitz Along Aloneに出演。異界と現世が交わる街・ヘルサレムズ・ロットを舞台に、騒動が起きると姿を現す秘密結社・ライブラ構成員たちをとりまく物語において、血界の眷属(ブラッド・ブリード)のザメドルに扮する。

今回、稽古開始直前の小野を取材。まもなく戦いの場になるであろう稽古場で、本番への意気込みを尋ねた。

540度違うぐらいに、物語をかき乱してザメドルを演じたい

――今作は舞台『血界戦線』シリーズ第3弾の上演となりますが、これまで観劇したことはありますか?

コミックとアニメは見たことがあるのですが、残念ながら舞台のほうは生で観劇したことはありません。

――「血界戦線」にはどのようなイメージをもっていましたか?

シリアスな部分とコミカルな部分の差がはっきりしていて、飽きることなくのめり込めるところが素敵だなと思っていました。

――出来上がっているカンパニーの中へ、新たなキャストとして入っていくのはどのような心境ですか?

あまり意識はしないですね。たまたまですが、共演者に知り合いが多いんです。ライブラメンバーの関係性はすでに出来上がっていると思いますが、今回は、逆に僕はその空気を知らなくてもいいのかなと。むしろ知らないことによって、物語をかき乱していけたらと考えています。

――小野さんが演じるザメドルのビジュアルが発表されたとき、その完成度の高さがSNS上で話題になっていました。

ザメドルはアニメだと、もっと体が細いじゃないですか。僕がザメドルの扮装をすることで人間味が出てしまったらイヤだなと思っていたんですけど、スタッフの皆さんに精一杯ご協力いただいて、このビジュアルが完成しました。公式サイトで流れているプロモーション動画の評判がよく、僕も安心しました。

――では、改めてザメドルの印象を聞かせてください。

何を考えているのかわからなくて、飄々としている感じですね。クールとはちょっと違う、笑顔の裏に恐ろしさを秘めているような…。

――ザメドルをどのように演じたいと思っていますか?

皆さんが抱いているイメージから、540度ぐらいに違うザメドルを演じたいです。180度や360度じゃぜんぜん足りない。原作があるものなので、どこまで崩せるのか、そのせめぎ合いがポイントになってきますが、演出が西田(大輔)さんなので、そこは西田さんを頼りにつくり上げたいと思います。

――西田演出の魅力はどんなところだと思いますか?

「こう来るか!?」みたいな驚きがたくさんあって、発想が異次元なんですよ。不可能なことを可能に変えちゃう人、っていうのかなぁ。空気感の作り方が独特で、“西田ワールド”みたいなものがあります。

西田さんとはこれまで何本もご一緒していますが、一言「ついていきます」って言いたくなるような方です。そして、照明の使い方が素晴らしい。場当たりをしているときにそれをすごく感じて、驚くことばかりです。いきなり「健斗さぁ、これやってみてくれない?」と提案されることも多いので、咄嗟に反応できるよう瞬発力を鍛えておかなければいけないなと。

――今作への出演をファンの皆さんへ報告するときに、役柄にちなんで「血、求む」とtweetしていましたが、小野さんの血がもっともたぎるのはどのような瞬間ですか?

どうだろう…、やっぱりスポーツになるのかな。自分がやっているときでも、観戦しているときでも熱くなります。もちろん、舞台上で戦っているときもたぎりますよ。

――最近、たぎらせたことはありましたか?

高校球児たちの青春を描いた「あの空を」という朗読劇に先月、出演したのですが、本番中はたぎりましたね。キャストは日替わりで、複数回出演する人もいれば、1回だけの人もいる。僕はその1回だけの出演だったので、約1時間半の公演に全力を注ぎました。終演後はホッとした気持ちもありつつ、すべてを出しきった疲労感におそわれてしまったので、マッサージへ行きました。ハッピーな疲れというものを久々に味わいました。

愛車を眺める時間が何よりも“眼福なひととき”

――現在32歳の小野さん、以前と比べて、“演じること”への向き合い方など、変化はありますか?

自分では気づいていないのですが、役者仲間から「変わったね」と言われることが多くなってきました。年齢を重ねるごとに増してくる危機感が、芝居にも表われているのかな。転職するには難しい年齢ですし、「役者でやっていく」と決めているので、その決意みたいなものがどこかに表われているのかもしれません。

あ、これだけは言えるという変化はあります。感受性が豊かになりました。20代のころは何を見ても泣かなかったし、まわりが皆感動している場面で、僕も内面では感動しているんだけど、涙を流すところまではいかなかったんですよね。今は、まぁ泣ける、泣ける(笑)。

先日の朗読劇でも、泣くつもりはまったくなかったのですが、ボロボロ涙があふれてきて、そうなると鼻水も出てくるので大変だったんですよ。そういう変化は感じています。

――コーナー名にちなんで、小野さんにとっての眼福な存在を聞かせてください。

愛車を眺めている時間ですね。これに尽きます。ポルシェ911 Carrera3.2というクラシックカーに乗っているんですけど、子どものころからこの車に乗るのが夢で、20歳のときに“鬼ローン”を組んで購入しました。あまりにも大事にし過ぎて、乗っている時間より、眺めている時間のほうが圧倒的に長く、もう3ヵ月乗っていません。

――小野さんとポルシェの組み合わせは、絵になっていて人目をひきそうです。

よく「トゲがある」って言われます(笑)。僕からしてみると、トゲがあるとかないとか、そういうレベルの話じゃないんですよ。見た目がどうのではなく、僕は本当にこの車を愛しているから乗っているんです。

最近は言われなくなりましたが、「20歳でポルシェを買った」と告げると、ほとんどの方は買った経緯を知らないので「なんだ、こいつ!?」みたいな目で見るんです。そういうことを何度も何度も経験してきました(苦笑)。

――もう1点のお気に入り写真は横浜の景色ですか?

みなとみらいの夜景です。僕、実は横浜生まれで、幼稚園の途中から東京なんです。それも関係しているのか、横浜の景色を見るとすごく落ち着くんですよ。事あるごとに行きたくなる街で、大さん橋へ行ったり、夜景を撮ったりしてから帰ります。どこがどうと説明できませんが(笑)、大好きな街です。

――先ほども年齢の話がでましたが、30代をどう生きたいと考えていますか?

お芝居を長く続けていきたいです。続けるってとても難しいことだと思うんです。だから、一番の目標は長く続けること。そして、マルチに活動していきたいです。

また、これは漠然とした目標なのですが、何かを成し遂げたいと考えていて、うちの親父が、今の僕の年齢で起業していて、母も32歳のときに僕を生んでいるんです。僕もそろそろ動き出して、戦っていかなきゃという思いがあります。役者としても男としても、今はチャレンジしたい精神にあふれています。

©内藤泰弘/集英社 ©舞台「血界戦線」製作委員会

最新情報は、舞台『血界戦線』Blitz Along Alone公式サイトまで

撮影:河井彩美

ヘアメイク:車谷結(dot:inc)

スタイリング:吉田ナオキ

衣装協力:blue in green PR(03-6434-9929)