青い空、碧い海、吹き上がる水しぶき、躍動する学生たち――。

新しいCMが公開されるたびに「あんな青春送りたかった!」「こんなキラキラした青春あこがれる」と話題になるのが、まぶしすぎるほどの“さわやかな青春”が詰まったポカリスエット(以下、ポカリ)のCMだ。

現在、「ポカリNEO合唱」シリーズがオンエア中。このシリーズは春から始まったもので、4月に公開されたCM(以下、春篇CM)は、外出を自粛せざるを得なくなった状況の中、ヒロインを務める汐谷友希を中心に98名の学生たちがそれぞれ歌唱シーンを自撮り。それが1本の動画に編集されていた。

“会いたいのに会えない”そんな状況だった春。そして、緊急事態宣言が解除され、移動制限もなくなった夏。ようやく顔を合わせることができた学生たちが、ソーシャルディスタンスを保ちながら歌い、踊る姿が印象的な「ポカリNEO合唱 ボクらの夏」篇(以下、夏篇CM)が現在、放送されている。

今の時代だからこその表現方法と、画面から伝わってくる“エモさ”が見る人を引き付けるポカリのCM。果たして、今シリーズはどのような思いで制作され、撮影の裏側ではどんな物語があったのか。フジテレビュー!!では、CM制作に携わる大塚製薬宣伝部担当者に話を聞いた。

汐谷友希は昨年の落選にもめげず2年連続でオーディション参加!その熱意でヒロインを射止める

――まずは、改めて、ヒロインを務める汐谷さんの魅力をお聞かせください。

オーディションで何度かお会いする中で、汐谷さんの自然体で、素直で、まだ完成しきっていない無垢な明るさと、その瞳の奥に感じる強い意志や渇望のようなものに惹かれました。

――「汐谷さんをヒロインに」という決め手はどんなところだったのでしょうか?

実は、汐谷さんは昨年度のオーディションにもご参加いただいていて、最終候補にまで残っていました。前回の結果にもめげず、改めて今回のオーディションにエントリーをいただき、“再会”を果たせたこと、ご本人の2年越しのポカリに対する夢や思いを共有できたことが、起用決定の大きな理由の一つです。

――春篇CMでは、学生たちが自撮りした映像が編集され、一つのCMとなっていました。コロナ禍ならではの映像でしたが、反響はいかがでしたか?

テレビCMのオンエアが始まる1週間前にYouTubeでCMを公開したのですが、その瞬間からTwitterなどSNSで大きな反響をいただきました。

緊急事態宣言から日の浅いタイミングでの公開で、「最初からこういう企画だったのでは?」と思われたくらいタイムリーな内容だったため、視聴者の方はそのスピード感に驚かれたのだと思います。特に、卒業式や入学式ができなかった学生が共感してくださったことが印象的でした。

Twitterでは、「勇気づけられた」「元気が出た」など、大人たちのポジティブな感想も多く見受けられたことも印象的でしたね。学生を大人(企業)が「応援する」「元気づける」といったよくある広告の構図とは真逆で、学生たちの生命力あふれる姿に、大人たちがパワーをもらうようなベクトルを作り出すことができたのではないかと思います。

――今回は、学生たちが集結したもののソーシャルディスタンスを保った撮影でした。夏篇CMのアイディアが生まれた経緯をお聞かせください。

春篇のオンエア以降、いわゆる「リモートもの」「分割画面もの」のコンテンツがテレビ番組やCMなどでもあふれ、少し世の中全体が食傷気味になっている感覚がありました。そのため、夏篇CMは「そんな閉塞感から一歩進んで、リアルに集まって学生たちがイキイキと歌う姿を実現したい」という思いが出発点となり、制作をしています。

本来は近い距離でたくさんの人数が集まって歌わなければ映像的な迫力が出ず、CMとして弱くなってしまう…。そこを解消するために考えたのが、特別なステージを作ってしまおうというプランでした。

ひとりひとりが鏡張りの専用ステージに立ち、距離を保ちながらも自分らしく自由にパフォーマンスをする。空の青さと太陽の光が鏡のステージを通じて学生たちを照らし、水の装置が彼らの予想外のリアクションを引き出す。今回の撮影の形にしたことで、イキイキとした彼らの表情をとらえることができたと感じています。

――夏篇CMの冒頭は、春篇CMからの繋がりとして描かれていることにとても感動しました。

あれは「分割画面の中の学生たちが、画面を飛び出して青空のもとリアルに集結した」というストーリーを込めています。細かいこだわりではあるのですが、学生が立つ鏡のステージは、分割画面の16:9サイズに合わせて作りました。

――撮影当日、学生たちはどのように過ごし、撮影に臨んでいましたか?

汐谷さんをはじめ、キャストの皆さんはとても前向きでしたね。監督や助監督の声かけにも毎回ノリよく応えて撮影に臨んでいて、毎テイク、スタッフからも思わず「すごい!」と歓声が上がるほど尽きることのないポジティブなパワーがあり、スタッフは終始助けられていました。

都内でのリハーサルも含めて、撮影に向けて何度も練習を繰り返してきた36名のキャスト。日も落ちかけたラストテイクの撮影後には、汐谷さんをはじめ、多くのキャストが涙を流していました…(もちろん、それを見守るスタッフも)。