現在、FODにて配信中のドラマ『シックスティーン症候群』。ティーンから絶大なる支持を得ている小夏の人気漫画を原作とし、竹内愛紗が演じるビジュアルも中身も男らしい16歳のイケメン女子高校生・東息吹を中心に、高校生たちの思春期特有の感情や、人間関係の葛藤の中で自分と向き合い大人へと成長していく姿を描く。
フジテレビュー‼では、主演の竹内に単独インタビューを実施。複雑な感情を抱えたキャラクターを演じる上での苦労や、共演者とのエピソードの他、今春、高校を卒業し、俳優業一本で活動する今の思いなど、プライベートについても語ってもらった。
「内側に抱えているものがすごく重かったので、そこを想像して演じるのは大変でした」
――FODドラマでは初主演ですね。
主演はプレッシャーもあったんですけど、私なりに今できることを頑張ろう、と思って挑みました。前回、(FODドラマ)『高嶺と花』に出演させてもらってからちょうど1年後で、撮影していた季節も一緒だったので、近い雰囲気も感じながらやっていました。
――息吹は“イケメン女子高校生”ということでしたが、どのようにキャラクターを理解していきましたか?
表向きの息吹ちゃんとは、私もサバサバしているので共通点があったんですけど、内側に抱えているものがすごく重かったので、そこを想像して演じるのは大変でした。監督と相談しならがやっていきました。
その中で、(お芝居の)相手に合わせてトーンを変えれば、見え方も違うし、いろんな息吹ちゃんを見せられると思ったので、例えば浅田くん(板垣瑞生)が相手のときと、めいちゃん(武田玲奈)が相手のときでは人が変わるくらいのつもりで演技をしていました。そうすれば、甘えるちょっとかわいい息吹ちゃんもいれば、王子と呼ばれるかっこいい息吹ちゃんも自然と見せることができるんじゃないかなと思ったので。
撮影の前半はまだうまくつかみ切れてないところもあったんですけど、後半に息吹ちゃんの内側から溢れる、今まで見せてなかった顔が出てくるシーンが多かったので、その頃にはだいぶ理解もできて、演じられていたと思います。
今回、息吹ちゃんに入り込み過ぎちゃったのか、撮影が終わってから服の好みが変わってしまって。プライベートでもスカートをあまり履かなくなって、ボーイッシュな格好をするようになりました。髪の毛もこんなに短くしたのは人生初だったし、顔つきも男の子みたいだなって。それは人からも言われたし、自分でも思うことがありました。
あと、男性っぽい歩き方を意識していたせいか、他の撮影でそれを指摘されてしまったこともあって。自分では無意識だったんですけど、最近、やっと抜けてきました(笑)。
――普段からわりと役に入り込むタイプなんですか?
自覚はあまりないんですけど、周りの方とか、友達から、画面越しの私の顔が毎回違うって言われることが多いので、最近になって「そうなのかな?」って思い始めています。特にこの作品を終えたあとは、いろんな人から言われました。
「愛紗ちゃんって不思議な子だよね」って現場で噂になっていた!?
――今回、約2週間、静岡に滞在して撮影をしていたそうですが、そのやり方はどうでしたか?
こんなに長く泊まりで撮影するっていう経験は初めてで。なんかずっと自分じゃなかった気がします。静岡にいる間はプライベートでもずっと息吹ちゃんとして生活をしていた感じがしていました。久しぶりに東京に戻ったときにマネージャーさんから「息吹が憑依しすぎてて、愛紗じゃない」って言われました(笑)。自分では気づいてなかったんですけど、言葉のチョイスとかも息吹っぽくなっていたみたいで。「ホントに頑張ったんだね」と言ってもらえました。
――2週間の間で楽しかったことは?
4人一緒に撮影が終わった日に、4人でしゃぶしゃぶに行ったんですけど、そのときにわりといろんな話をすることができて、距離がグッと縮まった感じがしました。そこで、「愛紗ちゃんって不思議な子だよね」って現場で噂になっていたと聞きました(笑)。
――それは他の現場でも言われることはあるんですか?
それがなぜか結構言われるんですよ(笑)。でも私はそんなことないと思っています!
――(笑)。長い時間を一緒に過ごして、共演者から影響を受けることはありましたか?
玲奈ちゃんの普段着がすごくおしゃれなんですよ。それがカッコよくて、真似したいって思いました。お姉さんだし、大人っぽいし。
――同級生役ですが、実年齢は武田さんの方が少し上ということで、役を離れるとお姉さんって感じなんですか?
そうですね。あともともとの性格がわりとクールで、私の方がおしゃべりだったりもするので、大人の目線で私たちを見ている感じがしていました。めいちゃんを演じているときはウイッグをつけているので、それを外すと「お姉さん!」っていう感じになります。
――撮影現場でコメント録りをさせてもらったときに、「緊張する」と言っていたのが印象に残ったのですが、今回の撮影で緊張したシーンはありましたか?
それが自分でもよくわからないんですけど、こういう取材とか、会見とかはすごく緊張するんですけど、撮影現場で緊張するってことはほとんどなくて。スタッフさんとかが周りにたくさんいても、しないんですよね。ただ今日は(取材&会見があるため)すごくドキドキして、朝も早く起きちゃいました(笑)。
16歳の葛藤を経て「自分らしく堂々とやればいんだ」
――“シックスティーン症候群”ということで、今作では16歳の、思春期ならではの感情が丁寧に描かれていますが、竹内さん自身の16歳はどんな気持ちで過ごしていましたか?
私は15歳でこの仕事を始めて地元の福島から東京に来たんですけど、16歳はその1年目だったので、ホームシックというか。寂しさとか、この仕事に対する不安とか、いろんな葛藤があった一年でした。
高校に入ると、周りが受験のことだったり、将来について考えたりするようにもなるから、そんな中で自分はここにいて大丈夫なのか?とか。不安と戦った一年だったので、息吹の悩みとは違うんですけど、そのモヤモヤとした気持ちはすごく共感できました。
――その一年を乗り越えつつ、今年の3月には高校も卒業して、今はこのお仕事一本という状況になりましたが、その決断をさせるものは何でしたか?
決定的にこれというものはなかったんですけど、作品を重ねるごとに徐々に演技に対しての思いが大きくなっていきました。今回の作品で言えば、私が息吹ちゃんを演じたからこういう作品になったけど、違う人が演じたら、また違う作品になるじゃないですか。それを考えると、正解というものはないなって思うし、そうであるなら、自分らしく堂々とやればいんだという思いにたどり着けたので。誰かの真似をした演技ではなくて、自分らしさを出そうって思えたところから、気持ちが楽になりました。
――今は、徐々に撮影も始まっていますが、自粛期間中はどう過ごしていましたか?
私は寮で暮らしているんですけど、そこで飼っているまるちゃんというネコと一緒に走り回って遊んでいました(笑)。ちょうどまるちゃんが「まるちゃんネル」というYouTubeを始めたので、その撮影をマネージャーさんと一緒にしてました。あとは身体を動かしたいと思っていたので、家の中でヨガや筋トレもしていました。
――いろいろと考える時間もあったかと思いますが、エンターテインメントに関わる人として何か思ったことはありましたか?
エンターテインメントの影響力の大きさを感じましたね。身近なところで言うと、福島にいる友達から、私の出ているCMを見て元気が出たという連絡をもらったり、自分もドラマや映画を見て、いろんなことを考えたり。改めてもっとこの仕事を頑張ろうという思いになりました。
――竹内さんがこの期間に見て、刺激を受けた作品はありましたか?
映画「Fukushima 50」ですね。私の地元は原発から近かったんですけど、当時(東日本大震災発生時)、原発の中で何が起こっていたのか知らなくて。ラジオから津波で被害を受けたという情報は流れていたけど、こんなにも近くにいた人たちがいっぱい頑張ってくれていたんだと思うと、涙してしまいました。
小学校4年生のときのことなんですけど、そのときは原発がどんなものかも詳しくわかってもいなかったし、震災のあとに甲状腺の検査を受けたり、自分で調べるようになったりして、わかったことが多かったです。
今回、この映画を通して初めて知ることもあって、そういうところでもエンターテインメントの力を感じました。
――では、最後に改めて今作の見どころを教えてください。
登場人物4人にそれぞれの悩みがあるんですけど、今、16歳の人たちはリアルに共感できるものがあると思うし、それより上の世代の方も当時を懐かしく思えるのではと思います。悩みがあっても、前に進もうと思える作品になっていると思うので、それぞれが葛藤している姿を見て、何か感じてくださったら嬉しいなと思います。
撮影: 稲澤朝博
<第3話 ストーリー>
息吹の言葉に心を動かされ、母親に素直な思いをぶつけることができた浅田は、本気で息吹のことを好きになっていく。息吹もそんな浅田を自然と気にするように。徐々に距離を縮める2人に、めいは自分が息吹から捨てられてしまうのではないかと焦り、息吹への独占欲をさらに大きくしていく。
そんな中、めいが仮病を使って息吹の気を引くと、実は風邪をひいていた息吹の方が倒れてしまう。その場に居合わせた浅田は息吹を背負って保健室へと走る。一方、そんな2人を直が目で追っていた。