元日本テレビアナウンサーで、現在はフリーのアナウンサー、実業家、ハーバリスト。さらに、早稲田大学大学院に通う学生でもある宮崎宣子さんが、日々のあれこれを素直に綴ります。
連載コラム 宮崎宣子の「八転び九起き」第3回
天孫降臨の地とされる宮崎県で生まれた私にとって、神社仏閣はとても身近なもの。
天照大神が降臨したと言われる高千穂の天岩戸神社。その天照大神が岩戸に隠れた時、神々が集まってどうしたら出てくるかを相談したという天安河原。
また、その近くにあって芸能と縁結びにご利益があるという荒立神社。
そのほか、宮崎だけでも、高千穂神社、青島神社、鵜戸神宮、江田神社、小戸神社など、よく参拝に訪れる神社があります。
ちなみに今年は、宮崎神宮、伏見稲荷大社、豊国神社、箱根神社、九頭龍神社 本宮、箱根神社 元宮、高輪神社を訪ね、今月には伊勢神宮に参拝する予定です。
私は、神社仏閣が好きなのでしょう。
でも、そろそろ、“自分の神社”を決めた方がいいと思うんです。
でないと、ここがいい、あそこがいい、と聞いたり、言われたりするたびに巡ってしまい、参拝というより、スタンプラリーのように“行って達成”することに意義を感じるようになってしまうのではないか、と思い…。
導かれるべくして導かれたような気がした荒木神社との出会い
そんなことを考えていたら、ちょっと不思議なお話を思い出しました。
8年前のこと。離婚した私が、まつ毛のエクステのサロンに行くと、対応してくれたスタッフの方が、「宮崎さん、伏見稲荷に行ってみたらどうですか?」と声をかけてくれたんです。あるお客さんが、伏見稲荷に参拝してから50歳を過ぎて結婚し、仕事も軌道に乗っているから、と。
離婚したばかりだったこともあり、「もう、縁結びはいいかなと思っているんです」と答えると、そこは、恋愛の縁だけではなく、人間関係、就職や仕事、さらに子宝など、さまざまな縁をつないでくれるのだ、と言うのです。離婚してひとつの縁が切れたのだから、「これからいい縁が結ばれるように行ってみたら?」とすすめられました。
「そうですね」と答えたものの、内心は「どうしようかな…」と乗り気ではありませんでした。とはいえ、おすすめしてもらったので、調べてみたところ、彼女が言っていたのは、千本鳥居で有名な京都の伏見稲荷大社の近くにある神社だとわかりました。
そこは、伏見稲荷がある稲荷山の途中、伏見稲荷大社参拝ルートから外れた小道の先にある神社で、スマホや車のナビでは案内がされにくい、いわば知る人ぞ知る神社でした。
次の日の朝、起きたら小雨が降っていました。朝ごはんを食べながら、なんとなく昨日の神社の話が頭に残っていました。予定もないし、行ってみるか…。東京駅から京都行きののぞみに乗り込みました。どんよりとした空の中、一人で。
京都も冷たい雨が降っていました。電車を乗り換えて、まずは伏見稲荷大社へ。本殿に着くなり、千本鳥居をくぐり、鳥居がずっと続く階段をひたすら登って行きました。
まるで禊(みそぎ)の修行のような登り坂。息を切らしながら、途中で休憩しながらやっとのことで登りました。
小雨の中、外国人の観光客がちらほらいましたが、一人で来ているのは私くらい。一人黙々と登る姿は、「この人、なんかあったんだろうな〜」って感じだったと思います(苦笑)。
山頂でお参りし、その後、恐らく「ここだ」と思える小道に入っていき、鳥居を抜けて、石畳を歩き、階段を下ってさらに下って、その神社…荒木神社へたどり着きました。
そこは「稲荷大神の中でも、縁結びを司り、古より信仰され、人々の良縁、求人、就職他、いろいろな人と人との縁を結んでくださる神様です」と書かれているように、さまざまな縁結びにご利益があるとのこと。
さっさと参拝して帰ろうと思ったら、宮司さん(あれ?さっきまでいなかったような…)から「口入(くちいれ)人形を家のきれいなところに置いておきなさい。お供えものはいらないので願い事が叶ったら返しに来てね」と声をかけられました。
口入人形とは、夫婦の狐と、そのお伴(とも)の狐の三体が一組となった置物。値段は2000円でした。
「え、これ買うの?」と思ったけども、断れない雰囲気だったので購入し、眷(けん)族の三柱の神だという人形を持ち帰ることに。
眷族とは、神意を代行して、現世と接触する神の使いという意味らしい。とにかく、我が家に神の使いの狐の人形が置かれました。
正直、部屋のインテリアにも合わないし、どうかなと思いました。失礼ながら、狐ってちょっと不気味な印象があったし、飾るかどうか考えたけれど、不思議なタイミングで現れた宮司さんのこと、私に荒木神社の話をしてくれたサロンのスタッフの方のこと、そして、なぜかその話が頭から消えず、翌日に訪ねてしまった自分のこと…。
導かれるべくして導かれたような気がしてならず、結局、飾ることにしたのです。
8年を経てやっと受理してもらえた“口入人形”
それから4年後。
自分のオーガニックブランドの会社(EMARA)を立ち上げました。私は、この仕事との出会いが荒木神社のご利益だと思いました。
そこで、口入人形を持ってお礼参りへ行きました。また、必死に坂道の千本鳥居をくぐり伏見稲荷の山頂で参拝してから荒木神社へ向かうと、そこには宮司さんが。
「あの、どこにお人形を置いてお礼参りしたらいいですか?」
「どんな願い事が叶ったんですか?」
「新しく会社を立ち上げることができました。仕事のご縁をつないでいただきました」
「その仕事は成功したのですか?軌道に乗ったのですか?」
「いえ…。軌道もなにも、立ち上げたばかりで…」
「でしたら、それはお持ち帰りください。仕事は軌道に乗って、成功してからゆっくり来てください」
就職は、内定した時点ではなく、ちゃんと入社してから。恋愛も、婚約ではなく婚姻届を受理されてから。子授かりも、妊娠ではなく赤ちゃんを産んでから。
「ゆっくりで構わないんです。しっかりと願い事を叶え終わってから来てください」と言われました。
「え〜、せっかく新幹線に乗って持ってきたのに…」とは思いつつも、そのまま持ち帰ることに。
それからさらに4年後(2021年)。
なんと、再婚することになりました。
それで、今年の年始に夫と夫の家族とともに、お礼参りへ行くことに。また同じルートをたどり神社を目指すも、山頂までは一緒だった夫の家族とはぐれてしまい、結局、夫と二人で荒木神社へ。そして、宮司さんに尋ねました。
「お人形を返しに来たのですが」
「入籍は済んでいますか?婚約の段階ではお受けできません」
「はい。済んでいます」
「では、あちらへ奉納ください」
8年を経てやっと受理されました。私の場合、仕事のご縁ではなく、恋愛の縁結びだったんだ。ついに、私の口入人形も、願いが叶ったほかの方々の口入人形と並ぶことができました。…が、あれ?なんか色が違う?
ここ数年でお人形の色合いが変わり、当時2000円だったものが5000円になったのだとか。(神様も値上げするんですね)
とにかく、結婚はこりごりで一人で生きていこうと決めていた私が、10歳も年下の彼(しかも京都の人)と本当に偶然の偶然が重なった縁を得て、42歳で結婚するなんて!
まったく想像もしていなかったので、余計にこの奇跡を運んできてくれたのは、あの口入人形なのではないか、と思えてなりません。そう考えると、これからも京都へ足を運びお礼参りをしなければ。
アナウンサー試験の時に行った鵜戸神宮と宮崎神宮へのお礼参りは今も続いているし、私は、いろんな神様に支えられているし、やっぱり神社仏閣が好きだから。参拝とお礼参りはこれからもずっと続いていくんだろうな、なかなか“卒業”はできないな、なんて思うこの頃です。
スッキリしたい方へオススメのハーブティ「ミント」
ハーバリスト・宮崎宣子のセレクション
いろんなことがまとまらない。スッキリしたい。そんな時にオススメなのは、ミントティ。私が一番よく飲むハーブティです。脂っこいものを食べても、胃の中がスッキリするので、夕食後に飲んで、スッキリとした気分でパソコンに向かうのが好きです。
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「せっかくリラックスするなら体にやさしいものがいい」という方には、有機栽培されたペパーミントを使った、オーガニックペパーミントティもおすすめです。
はちみつやお砂糖を加えてホットで飲んでもおいしいですよ。