松下洸平さんが「人生初だった」というお姫様抱っこの舞台裏を語りました。
庶民の家庭から上流社会の一族に嫁ぐことになった主人公・篠原佐都(土屋太鳳)が、夫・深山健太(松下)とともに一族のしきたりや親族内の複雑な人間関係に真正面から立ち向かう姿を描く木曜劇場『やんごとなき一族』。
上流社会ならではの家庭事情に驚き、後継者争いに端を発する嫁たちのバトルや、正妻と愛人のバトルにクスッと笑える本作。ドロドロな展開の中で見せる佐都と健太の“イチャイチャ”シーンは、「リアルでいい!」「なんか癒される」「2人がかわいい」などと毎週話題になっています。
フジテレビュー!!は、400年続く名家・深山家の一員でありながら“普通”の感覚を持ち、理不尽なしきたりに佐都と共に立ち向かう健太を演じる松下さんにインタビュー。撮影中のエピソードや放送を見てグッと来たシーン、“イチャイチャ”シーンの裏側について聞きました。
<松下洸平 インタビュー>
「僕が健太だったら、半日ももたない(笑)」
──『やんごとなき一族』は、独特な世界の話だと思いますが、演じている中で新しい気づきなどはありましたか?
意外と、深山家の面々が抱えている悩みや葛藤は、僕たちと変わりないということは発見でした。
1話の放送を見るまでは、「こんな世界、あるのかな?」と不安に思う部分もあったんです。登場人物がみんな濃いキャラクターですし、見ている皆さんに感情移入していただくことができるのかな、と。
でも、映像で見るとそんな不安はなくなりました。スケールが大きいし、抱えている問題自体は上流階級の人ならではのものですが、その根本は僕たちの悩みとリンクする部分があるなぁと、共感しながらドラマを見ることができています。
──お芝居という形で、深山家の一員を疑似体験してみていかがですか?
僕が健太の立場になったら、半日ももちませんね(笑)。親同士が認めた相手じゃないと結婚ができないとか、自分の意思が父親の存在によってフタをされてしまうとか、上流階級のしきたりが独特すぎて…。何不自由のない生活を送っている深山家ですが、失うものが大きいな、と。
400年続く名家で、一般の人には手の届かない生活をしている反面、佐都や佐都の周りの人がもっている“普通の幸せ”を手にすることができないのはつらいですよね。どっちを選ぶか、という問題だと思いますが、僕は“普通”でいたいです(笑)。
──佐都や健太の立場になったら、1人で立ち向かえるものではないですし、佐都と健太の関係性は理想的ですね。
そうですね。2人は、お互いに足りないものを補い合っている関係。健太がほしかった“普通の幸せ”を佐都はもっているので、佐都がほしかったものを健太は持ち合わせていないといけないなと思っていて。健太がもっているべきものは1つや2つではないので、(それを備えようとすることで)役の幅が広がっていきますし、日々いろいろなことを考えながら演じています。
松本若菜&尾上松也に触発され「僕もなんかやりたくなる」
──本作は、佐都と健太が家柄に立ち向かうシリアスな場面もありますが、クスッと笑える場面も多くあります。そんな作品の中で、お芝居のバランスで心掛けていることはありますか?
監督からは、僕も土屋さんも「2人は普通でいてほしい」と言われているので、そこは心掛けています。
でも、松本若菜さんや尾上松也さんが本当に振り切ったお芝居をされているので、楽しそうだなと思って、僕もなんかやりたくなることも多いです(笑)。
──特に松本若菜さんの表情は、毎話すごく話題になっていますね。
僕、毎話、松本さんのシーンを巻き戻して見直しちゃうんですよね。1話で言うと、「桜を愛でる会」終わりに家で美保子(松本若菜)、リツコ(松本妃代)、有沙(馬場ふみか)がクッションを投げ合うシーンがすごく好きで。健太としては3人の姿を見て失望するシーンだったのですが、撮影時も笑いをこらえるのに必死でしたね(笑)。
あとは、佐都をサウナ室に閉じ込めたときの美保子とか、健太には見えない角度で鬼のような顔をしている明人(松也)も好きです。
土屋太鳳は「どんなことにも全力の人で、佐都と重なる」
──すでに放送された中で、グッと来たシーンはありますか?
1話で、佐都と健太が佐都の実家の大衆食堂「まんぷく屋」で話し合うシーンが僕はすごく好きです。佐都は、健太が自分なんかと一緒にいることは恥ずべきことなのではと思っていて、健太は自分が裕福な家庭で育ったことが何よりもコンプレックスで。
お互いにコンプレックスを抱きながらも、最終的には「相手が好き」という思いが勝った瞬間だったと思うんです。2人の絆がよく見える、ステキなシーンだなと思います。
あと、佐都が一生懸命いろいろなことを学ぶ姿にもグッと来ています。つい健太目線で見てしまいますが、「こんなに頑張ってくれているんだ」と思うから、「佐都のために何ができるんだろう」と考えますし。佐都の奮闘ぶりは、力になりますね。
佐都が1話で池に入ったシーンも印象に残っています。もちろん台本を読んでいるので、池に入ること自体は知っていましたが、あんなに泳ぐと思っていなかったです(笑)。土屋さんはどんなことにも全力の人なので、そこが佐都と重なりますし、心に沁みました。
──佐都と健太がプライベートでイチャつくシーンは、SNSでも盛り上がっていますが、見せ方にこだわった点などはありますか?
もう、全スタッフで作戦会議です(笑)。2人だけのシーンは、ドラマ全体の中でも違った…ほっこりする時間が流れてほしいという思いもあって、「どうすれば…?」とみんなと相談しながら撮影しています。
──お姫様抱っこもナチュラルで、「私もされたい!」という声が多く見られました。
僕、人生初のお姫様抱っこだったんですよ…自然に見えたのならよかったです(笑)。
2人のふれあいのシーンは、信頼し合っている夫婦に見えることが大切かなと思っていて。触れる仕草や距離感などにも注目していただけるとうれしいです。
1000万円のティアラに「手が震えた(笑)」
──今作は、家族の物語ですが、松下さんの家族はどんな家族ですか?
好きなことを自由にやらせてくれる家族でしたね。好奇心旺盛な子どもだったのですが、「あれやってみたい」「これやってみたい」と言うと「やってみたら?」と後押ししてくれていました。
──子どもの頃、「やってみたい」と言ったことの一つをお聞かせください。
中学生の頃にダンスをやりたいと言いました。ダンスをやりたいと思ったきっかけは、『めちゃ×2イケてるッ!』(フジテレビ)で岡村(隆史)さんが「ライオンキング」の舞台に立つという企画を見たこと。
あのときの岡村さんを見て、「カッコいい」と思って。すぐに親に「ダンスをやりたい」と言ったら、ダンススクールに通わせてくれて。そこから、音楽や表現にも興味を持ったり、今につながっていると思います。
──これまでに“やんごとない”経験はありますか?
今回のドラマの撮影以上のやんごとない経験はないかもしれません。今回、美術やセット、身につけている装飾品は本当に高価なもので。佐都と健太の2ショットバージョンのポスターで、健太が佐都の頭に乗せようとしているティアラは、車が買えるくらいのものらしいです。
軽い感じで「はい!」って渡されて、「角度はこうかな?」なんてベタベタ触っていたので、値段を知った途端に手が震えました(笑)。
KinKi Kidsと撮影した“アイドル写真”は家宝に
──松下さんにとって、今一番の癒しはなんですか?
仕事場でみんなとしゃべっている時間が癒しです。芝居が好きで、ものを作る仕事が好きで。撮影中は「楽しい、楽しい」と言っているわけにはいきませんが、カットがかかったあとに、控室でしゃべっている時間が自分にとって心のオアシスと言いますか。今回も、撮影の合間にゲラゲラ笑いながらしゃべっています(笑)。
──今回の現場で、一番笑ったエピソードをお聞かせください。
松也くんに笑わせられています。僕が深山家のみんなに対して話すシーンで、パッと松也くんのほうを見たら、『ミステリと言う勿れ』で(松也さんが演じていた)池本がよくやっていた、舌を上唇のようにする“あの”顔をやっていたんです。
僕、あの顔が大好きで、松也くんにも伝えていたからということもあると思うのですが、撮影中に何度もやってくれて。それでNGを出したりもしてしまいましたが(笑)、本当に楽しいです!
──楽しいと言えば、以前出演した『KinKi Kidsのブンブブーン!』(フジテレビ)で、“新生KinKi Kids”として写真撮影をしている姿が本当に楽しそうで話題を呼びました。あのとき撮影した写真は今、どうされていますか?
KinKi Kidsのお2人とおそろいの衣装を着て、大きなくまのぬいぐるみを使ったりして一緒に写真を撮らせていただいたのですが、あれはもう家宝です!
あと、KinKi Kidsファンの方から「(KinKi Kidsの“アイドル”をしている姿を見せてくれて)ありがとうございました」と、たくさんメッセージをいただきました。
僕自身がすごく楽しかったのですが、KinKi Kidsファンの皆さんにも楽しんでいただけたようで、うれしかったですね。
撮影:島田香
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