『アライブ がん専門医のカルテ』第5話完全版

恩田心(松下奈緒)は阿久津晃(木下ほうか)のアドバイスできちんと忌引き休暇を取り、京太郎(北大路欣也)、漣(桑名愛斗)たち家族と、匠(中村俊介)を亡くした悲しみを共有することが出来た。そうして腫瘍内科の勤務に戻った心に、ジャーナリストの関河隆一(三浦翔平)が接触してくる。

心は、腫瘍内科の取材と聞いて引き受けたのだが、関河が実際に知りたかったのは関東医科大学附属病院で梶山薫(木村佳乃)が起こしたとされる医療過誤問題だった。しかし、心に思い当たる節はなく、取材の件を薫に話して関河には気をつけるようにと話す。そんな心と薫の会話を高坂民代(高畑淳子)が聞いていた。

そんな折、心が新たに担当したのは長尾春香(遊井亮子)という女性患者。はっきりとした治療期間を知りたいと訴える春香に、心は患っている粘液型脂肪肉腫は希少がんの一つで全般的に抗がん剤が効き辛く、使用できる薬は副作用が強いので入院も必要になりそうだと説明する。しかし、春香は仕事があるので入院は無理だと頑なだ。

一方、関河は須藤進(田辺誠一)にも取材を敢行していた。須藤は薫に連絡して注意を促す。その夜、心は薫に呼び出されて喫茶店で会う。しかし、薫は心に何も言い出せなかった。

春香の治療方針のカンファレンスが行われるが、やはり手術は難しそうだと抗がん剤治療が方向づけられた。そんな時、薫のPHSに弁護士事務所から「医療過誤の謝罪の件」だという着信が。薫は断るのだが…。

心が当直していると春香の息子、優斗(南出凌嘉)が救急搬送されて来た。付き添って来た春香を落ち着かせた心は話を聞く。優斗は窓から家を抜け出そうとして落下し、骨折していた。

実は、春香は優斗を巡り、別居中の夫と親権争いの最中だった。そのため、仕事のこともあるが治療には消極的だったのだ。心は粘液型脂肪肉腫について、もう一度調べ始める。

翌日、心は“春香の治療方針”について薫に相談する。しかし、手術を勧める薫と心は対立してしまう。薫は手術前の民代のもとへ。すると、民代は「心に近づくために自分を利用しただろう」と薫に迫る。否定できない薫に、民代は口外はしないと告げた。

心は春香の治療に悩みながらも、粘液型脂肪肉腫について継続して調べていた。そんな時、春香が転院を申し出た。心は薫を伴って説得にあたる。実は二人は抗がん剤で病巣を小さくすれば切除も可能だと一致していた。

しかし、春香は優斗の親権を夫に取られたので、実家に戻ると言う。すると、心は春香の夫と話したと言い出す。春香の夫が、治療が落ち着いたら親権を返そうと考えていることを心は伝える。また、優斗が家を抜け出していたのは春香と暮らしたいと父親に頼みにいくためだったという。春香が疑っていると、夏樹奈海(岡崎紗絵)が優斗を連れて来た。優斗は早く病気を直して欲しいと春香に頼む。

春香との面談を終えた薫のもとに、北陸総合病院の本間医師(伊藤洋三郎)が現れる。本間は同僚の宇佐美医師の死亡を薫に教えた。宇佐美が薫の父の命を医療過誤で奪ったことを悔やんでいたと本間は続ける。謝罪すらなかったことを責める薫に、本間は病院に止められていたと頭を下げる。すると、薫は謝罪ならどんな方法でも出来たはずだと激昂しハッとする…自分にも…。

心が庭園にいると薫が来た。薫は心に話さなければいけないことがあると切り出す。その頃、関河は薫の医療過誤についての記事を書き上げていた。そんな関河に電話が入る。その内容に関河は慌てて薫に連絡を試みるが…。薫は着信に気づくが、すぐに切ってしまう。

そして、ついに薫は匠を死なせたのは自分の医療過誤だったと心に告白する。意味がわからないと動揺する心。では、何のために薫は自分に近づいたのか?監視するため?との問いを否定し、薫は心のために何か出来ればと思っただけだと答えて謝る薫。確かに薫がいつも自分に“何か出来れば”と言っていたことを心は振り返る。そして今、薫が心にできることとは?心は“消えて”と薫を突き放した。