今回はいろんな事象が交錯するので、まず要件を整理しておきます。
ポイントは4つ。それぞれの事件、背景、人物、地名をよーく整理した上で今回の第7話に臨みましょう!
①御子柴先生が起こした“死体配達人”事件
福岡市内で当時5歳だった佐原みどりちゃんを殺害し、死体をバラバラにした事件。犯人の園部信一郎は当時14歳だったことから“死体配達人”の“少年A”と呼ばれた。信一郎は後に“御子柴礼司”(要潤)に改名する。
②御子柴先生の“父の自殺”
信一郎の父である園部謙造は、息子が起こした事件の後、首を吊って自殺している。
③御子柴先生の母“資産家夫殺し”
御子柴先生の母・郁美(浅野温子)は、再婚した資産家の夫を首吊り自殺に見せかけて殺した容疑で係争中。本人は否認。
④岬検事の家族
岬検事(津田寛治)はかつて妻を亡くし、息子とは疎遠。また7年前、弁護士だった父が詐欺組織の片棒を担がされ逮捕されるが不起訴になっている。
っと、いつもは感情に任せるだけのろくにあらすじも書かないこの試写室だったのに、今回珍しく要件を整理してみたのは、はっきり言って、物語の行方を忘れさせてしまうくらい深く考えさせられる議題をはらんでいるからなんです。前もって物語部分を整理して臨まないと、途中考え込み過ぎちゃって忘れちゃうんですよ。
その議題とは「どうすれば罪は償われるのか?」。
少年時代に殺人を犯した者は弁護士になってはいけないのか?社会からの糾弾をどこまで受け入れなければならないのか?そして償うこととは一体何なのか?これまでも随所に訴えかけてきたこの議題ですが、その度に僕は簡単に処理できない内容なので、それについては考えず、“一旦、置いといて”を繰り返し、とりあえず物語を追うことに集中してきたんですが、さすがの最終回前の第7話。全然どこにも置かせてくれない!!
特に中盤に訪れる、御子柴先生と新聞記者のあすみ(玄理)が対峙する場面は、どう理解すればいいのかわからなすぎて、30回くらい往復して見ちゃいましたよ。あすみの追及に対する御子柴先生の反論が悪魔的かつ論理的で、一言一句メモりたくなるほどの論法に舌を巻きます。
だけど、前回第6話で日下部(ベッキー)に吐露した葛藤とは全く逆の事を言っているんです。その真意とは一体なんだろう?それをどこまで考えて話しているんだろう?だけどきっと答えのない中で御子柴先生は戦っているんだろうな…それこそが贖罪なんだろうな…とか、考えだすと止まらなくなります。
そしてその後、日下部が「正義とは何か?」を明言しますが、並みの俳優さんが言えばかなりの青臭いセリフも、ベッキーさん演じる日下部を通してだと深く深く心に突き刺さります。「ああ、なんか、自分もそういうとこあるな…」なんつって、そこでまた考え込んでしまって物語を忘れちゃう可能性大!
あと日下部はやっぱりマリア様なんですね。マリア様のように吸い込まれる瞳を持っているからこそ、御子柴先生は日下部の前でだけ本音を吐露できるんですよ…。本当になんてうまいキャスティング!(これ何回目でしょう)
そしてそしてキャスティングと言えば、前回興奮状態のまま「つづく」となってしまった、“どっちの浅野温子なの?問題”ですが、ニクいことにその答えは最終回まで持ち越されることとなりました。
だけど今回も浅野温子さんだからこそ出る深み満載で、序盤の裁判シーンで“スイッチ”が入る場面には心臓が止まりかけました。そのどっち問題も含め、最終回はどんな結末が待っているんでしょう…。予告の段階ですでに“面白い”がほとばしっちゃってたので期待しかないんですが。
text by 大石 庸平 (テレビ視聴しつ 室長)