増田明美 分かりやすく“深い”マラソン解説は、永六輔と朝ドラ『ひよっこ』のおかげ?
1月26日(日)12時~『奥村組スポーツスペシャル 第39回 大阪国際女子マラソン~東京五輪代表選考会~』
2020年東京オリンピックのマラソン女子日本代表の最後の1枠*を争う選考会「MGC(マラソングランドチャンピオンシップ)ファイナルチャレンジ」の最後のレースとなる「第39回 大阪国際女子マラソン」が、いよいよ1月26日(日)に開催される。
*前田穂南選手、鈴木亜由子選手がすでに内定。
本大会と3月に開催される「名古屋ウィメンズマラソン」で、2時間22分22秒の設定記録を突破した日本人選手の中から、最速タイムの選手に五輪出場権が与えられる。
その最後の1枠を争うレースを、フジテレビ系列では『奥村組スポーツスペシャル 第39回 大阪国際女子マラソン』として生中継する。
このたび、フジテレビュー‼︎では「大阪国際女子マラソン」に選手として4度出場し、福士加代子をはじめとする出場選手を長年に渡って取材してきた増田明美氏に、レースの見どころを聞いた。
<増田明美氏インタビュー>
――まずは今大会の注目選手を教えてください。
今回は、スピードランナーが多いですね。中でも、福士加代子さん、松田瑞生さん、小原怜さん、この3人はそれぞれにドラマがある。特徴のある競技人生を送ってきた3選手が、東京五輪の1枠を争うことになります。
福士さんは「ラストランのつもり」と言っていましたが、選手にとっては東京五輪に向けての最後の最後のチャンスですから、やはり賭ける思いが違う。その緊張感は、見ている方にも伝わるのではないでしょうか。
――それぞれの選手の特徴はどのようなところですか?
福士さんはものすごく探究心が強い選手です。10000mで女王として君臨していた時代に、すでに「ランニングフォームのお手本」と言われていたのに、今でも指の動きに至るまで研究し尽くしている。“マラソンの研究者”と言っていいと思います。しかも彼女の初マラソンは、2008年の大阪。倒れて、立ち上がって、倒れて……というレースをしましたが、干支がひと回りした今年も第一線で頑張っているのは、本当にすごいことですよね。
松田さんは誰よりもスピードがあって、野口みずきさんの日本記録を破るのは彼女だとずっと言われてきた選手です。MGCではレース展開を読み違えて負けてしまいましたが、切り替えてここに向かっていますので、大阪に賭ける思いは人一倍強いと思います。
小原さんは、出身地である岡山にちなんで、“悔し涙の桃太郎”というキャッチフレーズを(増田さんが)付けたのですが、リオ五輪の選考会では1秒差で五輪の切符を逃し、MGCでも4秒差で2枠に入れなかった。彼女が流した悔し涙が、今回うれし涙に変わってほしいですね。
新谷仁美ペースメーカーを務め、序盤から速いペースに
――コースの特徴はどんな部分にあるのでしょうか?
大阪は、世界も認める高速コース。アップダウンが少ないんですね。コースレコードは野口みずきさんの2時間21分18秒で名古屋のコースレコードよりも1秒遅いんですけど、その当時よりもアップダウンが少ないコースになりました。
しかも、10000mの注目選手の新谷仁美さんがペースメーカーを務めるので、序盤から速いペースになると思います。好条件が整った中で五輪代表の設定記録の2時間22分22秒を何人破るか、期待が高まりますよね。あと大阪は沿道の応援の文化も独特で、今回副音声を担当される渋井陽子さんは、ご自身が走った時に受けたユニークな声援をネタにすることもありますので、お楽しみください(笑)。
――主音声の解説についてはいかがですか?今回、増田さんを始め、 有森裕子さん、高橋尚子さん、千葉真子さん、野口みずきさんという大変豪華なメンバーですね。
全員がマラソンランナーなので、我を押し通しながらと言いますか(笑)、みんなが自分らしくしゃべるので面白いと思いますよ。私は、1つの大会で1冊の大学ノートを使い切るくらい取材メモを取るんですが…朝の練習や駅伝の現場で取材したエピソードや、ご家族、ご親戚に聞いた小ネタをお話するように心がけています。
それに加えて競技の内容まで私が話してしまうとアレなので(笑)、そこは一緒に移動車に乗るQちゃん(高橋さん)に競技の解説をしてもらって、バランスを取っています。
――増田さんといえば、“取材が深い”ことでも知られますが、取材時にはどのようなことを心がけていますか?
みなさん「選手である前に人である」というところでしょうか。選手としての強さや速さは見ていればわかりますけど、なぜその選手がそういうレースをできるようになったのか、というのは、その人が大事にしている言葉や、競技人生、子どもの頃の性格に基づいているものじゃないですか。
そういう部分をきちんと取材したいと思っています。そういうことを意識するきっかけを作ってくださったのは、永六輔さんなんです。ある時、ラジオのお仕事でお会いする機会に恵まれた永さんが「マラソン中継が好きでよく見てるけど、独走になるとつまらなくなる」っておっしゃって。「見ている方を飽きさせないために、俳句を詠むとか、工夫されたらいいですよ」と言ってくださったんです。永さんからの影響はすごく大きいですね。
実際、松島~仙台間を走る「クイーンズ駅伝」では、ルート上の多賀城にちなんだ芭蕉の句を解説に織り交ぜたこともありますし、2000年のシドニーオリンピックの解説をテレビでやらせていただいた時には、Qちゃんの短歌を紹介しました。
短歌がお好きな小出義雄監督の影響で、練習中に短歌を詠んだりしていたQちゃんが、レース前にご自身の句を教えてくれたんです。「たんぽぽの 綿毛のように ふわふわと 42キロの 旅に出る」。いい句だな、と印象的だったので、レース本番でサングラスを取ってスパートした後に紹介したんです(高橋さんはその大会で金メダルを獲得)。
それから、今回の大会とは直接関係ありませんが、MGCの取材中に食事をご一緒させていただいた鈴木亜由子選手のおばあさまが、観戦後に詠んだ歌を6つも送ってくださって。緊張感や失速しそうになった時の思いが詠まれていて本当にすばらしいので、いつか紹介できたら、と思っています。こんな風に思いがけない形で繋がっていくのは、永六輔さんが見守ってくださっているお陰だなと感じますね。
『ひよっこ』のナレーションを担当して「寄り添う語り」ができるように
――増田さんは、連続テレビ小説『ひよっこ』(2017年)のナレーション*も担当されていましたが、あのナレーションを経験されてからマラソンの解説に何か変化はありましたか?
*番組のチーフプロデューサーが、増田さんの解説のファンで抜擢されたという。
“寄り添う語り”ができるようになりました。脚本の岡田惠和さんはもちろん、有村架純さんをはじめとする役者のみなさんは、「登場人物は今、どういう気持ちでいるんだろう?」という想像力を常に働かせているからか、本当に心のひだが多いんですね。
そんなみなさんの優しさを拝見して、そこが自分に足りないところだと感じましたし、「私は競技者なんだ」と痛感しました。「強くなければいけない」「負けちゃいけない」という生き方をしてきたんですよね。でも『ひよっこ』の語りは、いろんなキャラクターに寄り添いながらの語りでしたし、俳優のみなさんの姿勢からもいろいろなことを学ばせていただきました。
――最後に、解説者としての今後の目標を教えてください。
先ほども申し上げましたが、「人を伝えたい」という気持ちはすごくあります。でも、私ももういい年齢ですし、ずっと解説者のメインにいるわけにはいかないので、若い人たちに上手にたすき渡しをしながら、でも現場にいるのは好きだからお声をかけていただいた場には参加させていただきつつ、上手にやっていきたいなと思います。あ、とはいっても、引退するわけではないですけれどね(笑)。
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