1月11日(土)23時40分より放送となる、フジテレビ系オトナの土ドラ『悪魔の弁護人・御子柴礼司~贖罪の奏鳴曲~』第6話。

同作は、少女を殺害し“少年A”と呼ばれた男が御子柴(要潤)という弁護士となり、「罪を償うとはどういうことか?」を問う、異色のヒューマン法廷ミステリーだ。

その第6話から、最終章「資産家夫殺し裁判」篇となり、御子柴の母親・成沢郁美役として、浅野温子が登場。

郁美は、自身が再婚した資産家の夫を殺した容疑で起訴され、これを30年ぶりに再会した御子柴が弁護するという、なんとも因縁めいたストーリーが展開する。

元少年Aを産んだ苦悩の母親であり、自身も殺人罪で起訴されるという難しい役柄に、浅野も「これだけ難しい役は初めてかもしれない」とコメント。

フジテレビュー!!では、昨年11月に撮影された第7話の浅野のシーンに密着。緊迫の場面を取材するとともに、収録の合間に浅野に感想を聞くことができた。

この日の撮影はドラマでおなじみの法廷シーン。外観は国立博物館表慶館を借景しているが、内部の法廷は、廃校となった小学校の体育館内に建てられたセットで撮影。あの重厚感のある法廷が体育館の中にある、というのが驚きだった。

早速、セットを覗くと、浅野は郁美として証言台に立っていた。夫殺しの容疑で、検事・岬(津田寛治)から証拠を突きつけられ窮地に追い込まれているため、やつれて見える。普段ははつらつとした浅野だが、老けメイクをして臨んでいるという。

じりじりと敏腕の岬に追い詰められていく郁美は、無実を訴えながらも、黙ってそれを聞いている。そういった郁美の長年の苦悩や葛藤が、言葉を発さずも、浅野の表情や雰囲気からひしひしと伝わってくる。

御子柴VS岬がし烈な火花を散らす、7話のクライマックスともいえるシーンなのだが、監督からカットがかかるたび、浅野はふっと緊張を解き、それまで攻められていた津田と談笑。

過去のお互いの出演作や最近話題の作品について「ああ、あれそうだったわよね~」などと楽しそうに話していた。さすがはベテラン俳優同士、難なく切り替えができるようだ。

一方の要演じる御子柴は、母親の無罪を証明するため「裁判長、異議を申し立てます!」と必死に訴えるも、形勢不利のまま追い詰められていく。演じる要からも、どこか張り詰めた雰囲気が漂う。要は撮影の合間も弁護人席で役に集中していた。

そしてシーン終盤、それまで押し黙っていた郁美が、御子柴のある一言でひょう変し、取り乱す一幕が。そこでの浅野の芝居は、鬼気迫るものがあり、見ていても怖さを感じるほどだった。いったいどんなシーンになるのか、そして郁美の運命は…?オンエアで確かめてほしい。

おやつには、たこ焼きのケータリングが!

そんな張り詰めたシーンを取材し、少し重たい気分で体育館を出ると、そこには、たこ焼きのケータリングが。この日“おやつ”として、スタッフが自宅にあったたこ焼き器を持参して調理しているのだという。

寒い日の撮影の合間、熱々のたこ焼きは好評で、要を始めとしたキャストも「あたたまるね」「おいしいね」などと言いながら食べていた。

<浅野温子インタビュー>

――出演オファーを受けて、まずどんなことを思われましたか?

今は、こういう題材でもドラマにできるんだ、ってことですね。以前、私が(主役として)出演した『沙粧妙子-最後の事件-』(1997年/フジテレビ系)では、ある事件とリンクしてしまい再放送ができなくなった、という事情があったんです。

ですから、今回、主人公・御子柴(要潤)が過去に殺人を犯している“少年A”だったというものをドラマにできるんだ、って、ある意味感慨深かったですね。プロデューサーや制作陣は非常にセンシティブになりながら作っているんじゃないか、と思いますが。

郁美さんを演じながら、『 沙粧妙子 』を演じていた当時のことを思い出しました。

――演じられる郁美は、御子柴の母であり、自身も夫殺しの罪で起訴される、という役柄です。どのように役を理解していますか?

台本で、息子(御子柴)がなぜあんな事件を起こしたのかずっと考えてきたけどわからない、と彼女が言うセリフがあるんですけど、もうその一言に尽きると思います。彼を産んだものとしてそこが一番分かるし、私もそのセリフ一言の言い方を見つけるために、なんだかんだものすごい時間を使ったような気がして。

郁美さんのセリフは、とってもシンプルなんですよ、全部が。だから、余計にそれを発するときの背景には、(郁美が母親として生きてきた)30年間を入れなければならないから、その30年間を感じてもらえるように、その心境に入らなきゃいけない。

それを言うまでに、郁美さんがどんな悲惨な目に遭ったのか…台本にもあるけれど、それがどの程度のものなのか、私自身もずっと考えているから、申し訳ないんだけど、本当に気分が落ち込むよね(苦笑)。撮影入る前にも、考えないようにするんだけど、やっぱり考えて…みたいな感じだったので、つらかったぁ(笑)。

――そこまで役に向き合っていらっしゃったんですね。

リアルにこんなことは経験したくないじゃない?息子もそうだけど、彼の妹(森脇英理子)もとばっちりで、人生を半分以上閉ざされているわけじゃないですか。それは「結局、誰のせい?」となったときに、そんな信一郎(御子柴の本名)を産んだ自分のせい、となっちゃうだろうな、って。囚人じゃないけど、追い詰められて、自分の生きる場所がなくなっちゃうだろう、と思うんです。

「本当によくこれをドラマにしたな」「こんな重い作品を…」なんてことを考えていたら…ねぇ。でも、現場はすごく明るいんですよ。

――はい。先ほど法廷シーンを拝見して、撮影の合間がとても和気あいあいとされているのに驚きました。

そう。みんな明るいのよ。監督もスタッフもキャストの人も。それで、「これはすごいなぁ、タフだわ」と思ったの(笑)。

――最後に、視聴者のみなさんにメッセージをお願いします。

「何が正義で、何が邪であり悪なのか」というところを表現したい、とプロデューサーもおっしゃっていましたけど、物事のある側面を見て、そこで白黒付けるのはとても難しいことなんだ、と見てくださったみなさんが思ってくださったら、成功なのかな、と思います。