EXIT・りんたろー。さんが「自分を愛せるようになった」理由を明かしました。

美容に向き合った経験を書いた初の書籍「自分を大切にする練習 コンプレックスだらけだった僕が変われたすべてのこと」(講談社)を11月11日に上梓したりんたろー。さん。

【全14枚】りんたろー。フォトギャラリー

“美容本”とひとことで括れない、涙あり笑いありの出来事や出会いをはじめ、自分自身にとことん向き合い、「自分を愛せるようになるまで」の道のりのすべてが詰まった、ドキュメンタリーのような1冊です。

書籍に込めた思い、美容への考え方、自身の変化と相方・兼近大樹さんのこと、そして芸人として時代をつかむセンスについてなど、たっぷり聞きました。

「自分を大切にする練習 コンプレックスだらけだった僕が変われたすべてのこと」(講談社)

ハートを第一にすることを考えて「そういう時期があってもいい」

――本書を執筆した経緯について教えてください。

連載「EXITりんたろー。美容道」(「i-VoCE」にて連載中)を元に書き下ろした本になりますが、最初に書籍化の話をいただいたときは、「どれぐらいの人が僕の思いに興味があるんだろう?」という照れのような気持ちがありました。

でも、約2年にわたる連載期間は、美容を通して自分を見つめ直す機会にもなったので、それを皆さんにもシェアしたいと思うようになりました。「恥ずかしい」というのは今までの自分や連載を否定することになってしまう。芸人の僕がそこを隠すというのはちょっと違うのかなって。

僕がどんな人生を歩んできて、美容と出会い、どういう心境の変化があったのかというのを伝えたい。美容をきっかけにいろいろな人と出会って、言葉をもらって、たくさん背中を押してもらったように、今度は僕が誰かの背中を押せたらいいなと思って執筆に至りました。

――EXITを組む前に芸人を辞めようと悩んだエピソードをはじめ、仲間の芸人からかけられた言葉など、冒頭から泣かせて一気に読ませます。「美容本」ですが、ジャンルにとらわれない内容になっています。

どのジャンルにも括(くく)れないというのは、逆にどこにでも加わることができるということにもなります。いろいろな入口から僕の体験を知ってもらえたらうれしいですが、書店ではどこの棚に置かれるんだろうっていう心配はありますね(笑)。

自分の思いの丈を素直に、心の奥底の部分をきちんと書けたんじゃないかな。美容のテクニックについても、皆さんが普段の生活に取り入れていることに加えて、1つでも何かを提案できるような内容になっていると思います。

――この2年間のりんたろー。さんは美しくなったのはもちろんですが、どんどん自信にあふれていったように見えます。

それはうれしいですね(笑)。見た目だけではなく、内面から自信がにじみ出てくるものもあるんだろうなと思っています。美容を通して自分の中にある核みたいな部分がすごく整えられていった2年間だったのかもしれないです。

でも、すべてが順調だったわけではなく、「美容に良いと言われているもの」を何でも取り入れたい時期を経て、そこからそぎ落としていって、やっとシンプルに本当に自分に合ったものを選んでいけるようになりました。

ボディメイクに関しても、チャレンジして体がシュッとしたけれども、徐々に戻ってきてしまっていて。でも、過去の自分だったら「あぁ、またやっちゃった」とか、「もっと頑張らなきゃ」となるところでしたが、自分の気持ちを大切にすることを第一に考えられるようになったので、「そういう時期があってもいいんだ」と、今はそんな自分を愛しています。

楽しめる人がいる反面、心が苦しくなる人がいるならそれを選べない

――芸人として時代をつかむセンスについてはどのように意識していますか?

自分では、そんなに時代を読むセンスに長けているとは思わないし、何なら僕は新世代ぶっているだけで、ゴリゴリの“お笑い6.5世代”みたいなところがある。今とは違ったゴリゴリの笑いが面白いとされる時代があったのは事実だし、そういう笑いを「粋だな」と思う自分もいます。

でも、“EXITのりんたろー。”として客観視したときに、そのゴリゴリな笑いを選べなくなっています。自分が楽しいと思うものを同じように楽しめる人がいる反面、心が苦しくなる人がいる。それをもうわかっているから、自分で笑いを選べる場面では、僕はそれを選択しません。

――兼近さんともそういう話をしますか?

一緒に仕事をしていくうえで、兼近くんと僕の考えが整理されていったと思います。客観的に“EXITらしさ”を考えたときに、「これはやるべきだよね、僕たちが発信すべきだよね」とか、「これは僕たちが言うとちょっとバランス取れなくなるよね」みたいな考え方をお互いにするようになったかもしれないですね。

「芸人として自分のどこに需要があるんだろう」と、すごく自分に自信が持てない時期もありました。どう自分を表現したらいいのかわからなかったところから、EXITを組んでいろいろなことを経験するにつれて、自己肯定感と相まって自分を大切にできるようになりました。

――活躍にともない、“美容男子”としても注目されていきました。男性の美容への意識も、ここ数年で変化してきたと思いますが、周囲の反応は?

最初は「芸人が美容なんて」と風当たりも強かったんですが、周りから「どんどんきれいになっていくね」とか、「肌がきれいだね」と言われるようになってきました。

芸人の文化において、今までまったくなかったことだと思うんですけれども、ちょっと上の先輩に「どういうコスメを使ったらいい?」と聞かれることも増えました。芸人界も変わってきて、先輩のオリエンタルラジオの藤森慎吾さんのように、ずっと美容へのアンテナを高くしてきれいでいることの大切さに意識が向く芸人が多くなってくるのかな、と思います。僕も後輩に対して、気づいたときには「きれいになったね」と言うようにしています。

――芸人界の“美の伝道師”ですね。

SNSのプロフィール欄を“チャラデカフェイス”から“美と笑いの伝道師”に変えました(笑)。でも、これまでは「美容をがんばらなきゃ」となってしまって、いつの間にか心が折れてしまうこともありました。そういうフェーズを体験したことによって、モチベーションがなくても続けられるようにしたいと思ったんです。「がんばらなきゃ」から、「がんばらなくてもできること」に変えていったことで、できなかった自分に落ち込む必要がなくなって、結果的に長く続けられる秘訣になったんだと思います。

「背中を押してもらいたい」と思っている人へ

――兼近さんについてのコンビ愛あふれるエピソードもふんだんに書かれています。兼近さんはもうこの本を読まれましたか?

つい茶化したくなっちゃう子なので、あんまり発売前に茶化されたくないから、まだ読んでもらってはいないです(笑)。兼近くんにとって本というのは、彼の人生を築くうえでとても大きな存在なんですよね。でも、僕は彼に救われたという事実についてもちゃんと書けたと思っているので、読んでくれたらうれしいですね。

――この本をどういう人に読んでもらいたいですか?

美容という言葉がハードルを上げているかもしれませんが、あまり構えずに、自分を大切にするのをつい後回しにしがちな人に読んでもらいたいし、もし周囲にそんな人がいたら、おすすめしてほしいです。

まだまだEXITについては、「PON!PON!」言ってるイメージが大半だと思うので、そういう人にも僕のこういう一面を知ってもらえたと。

今まで僕は自信を持って前に出られなかったし、「こんな自分に需要があるのか?」と思っていたからずっとパサー(パスを回す側)になっていたんです。でも、美容を含めていろいろなことに触れて自信をつけていったことによって、「チャレンジしてみたら今回は失敗したけれど、かなり得るものがあった」という考えができるようになった。チャレンジができることで自信が増えて、そういう自分を愛せるようになったんだと思います。

自分に自信がないコンプレックスだらけの人間だったからこそ、「そんな人間が美容ってどうなんだろう」と思っていたことや戸惑いも含めて、「背中を押してもらいたい」と思っている人に読んでもらえたらうれしいですね。

<りんたろー。コメント&撮影風景>

撮影/河井彩美

<書籍概要>

「自分を大切にする練習 コンプレックスだらけだった僕が変われたすべてのこと」

著者:りんたろー。発行:講談社

【はじめに】

【序章 二度売れた僕が考える本当にやるべきこと】
「容姿いじり」の葛藤/主従関係があるコンビ/芸人をやめようと思ったときに/とにかくペダルを漕いで/兼近大樹という男/絶対、日本のスターにする/EXITのターニングポイント/芸人の新しいロールモデルに/壊れかけた体/チャラ男と見た目磨き/コロナをキッカケに/美容でついた自信/笑いが変われば社会は変わる/「モテ」のその先へ/たったひとりの大切な自分

【第1章 スキンケア 肌をていねいに扱う】
【第2章 ボディメイク リバウンドしない体づくり】
【第3章 インナーケア 自分は食べたものでできている】
【第4章 メイク 気持ちを底上げする】
【第5章 メンタルケア 「成功」だけでは幸せになれない】

【終章 コンプレックスだらけだった、あの頃の僕へ】
優等生だった頃/一発屋上等!/減点法より加点法/「今できること」に集中する/人間は、外見か内面か?/「してあげたいこと」を自分に/自分の気持ちを裏切らない/自分が消えてしまわないように/考えなくても動けること/作業と感情を切り分ける/自分を無理やり愛さなくていい/自分ツッコミが消えて/「じゃないほう」じゃない/自虐の終焉/誰かが一歩を踏み出す勇気に/一生、チャラ男宣言! など

【おわりに】

【おまけ/自分を大切にするための練習帳】