中村勘太郎さん&中村長三郎さんが、中村屋の1年を語りました。
12月23日(金)、フジテレビでは『密着!中村屋ファミリー 浅草に平成中村座が完全復活!歓喜と熱狂の大舞台SP』が放送されました。
2022年、エンタメ界がコロナ第7波の猛威に苦しむ中、中村屋は一丸となって逆境に立ち向かい、歌舞伎の新作に挑戦。さらに、亡き勘三郎さんが愛した地・浅草で「平成中村座」を復活させました。ファミリーが一丸となってまい進する、中村屋一門の1年を追いました。
番組から、この1年で歌舞伎俳優としてさまざまな経験を重ねた“小さな中村屋”勘太郎さん&長三郎さんのロングインタビューが到着。番組未公開分を含む対談を紹介します。
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休みの間に宿題をするのは「(声を合わせて)ちょっと大変でした」
<中村勘太郎&中村長三郎 インタビュー>
――3月、4月の巡業「陽春特別公演 2022」はいかがでしたか?
勘太郎:夜にお芝居が終わってから新幹線に乗って移動して、その次の日にまたお芝居をやって、その日の夜にまた新幹線に乗っていろんなところへ行くので、とにかく眠たかったです。
長三郎:僕は、新幹線に乗ってるときに、本を読んでいて眠くなりませんでした。
――何の本を読んでいたんですか?
長三郎:いろいろ読んでいたので、ちょっと忘れちゃいました。
――楽しかったことは?
勘太郎:その土地の名産物を食べたり、いろんな場所で建物を見たりしたのが楽しかったです。
長三郎:たこ焼きを食べたり、浜松城とかいろんなお城を見られて楽しかったです。
――春休みで、仕事の合間に宿題をやるのは大変ではなかったですか?
勘太郎&長三郎:(声を合わせて)ちょっと大変でした。
――8月には、歌舞伎座での「八月納涼歌舞伎」で「闇梅百物語(やみのうめひゃくものがたり)」に出演しました。
勘太郎:暗闇の中で、ガイコツで踊る場面があったんですが、この骸骨の顔の部分を頭にはめてやっているので、視界が狭くてちょっと怖かったです。
長三郎:あ、僕も頭に骸骨をかけるので、視界が狭くなるんですけど、そのときに何かちょっと傾いてしまって始まってしまったので、視界が半分しか見えなくて、ちょっと怖いことがありました。
――暑くて大変でしたか?
勘太郎:すごく暑かったです。
長三郎:明るくなったときに脱ぐんですけど、そこで涼しくなるから、ちょっと気持ち良かったです。
――夏休みの期間の舞台でしたが、いかがでしたか?
勘太郎:でも、お芝居が好きなので、出られてうれしかったです。
長三郎:お芝居終わったあとに学校がなくて、夏休みって感じはしたんですけど、何かちょっと安心というか、休める時間があったなと思います。
勘太郎:(長三郎さんに)お芝居が終わってから、少しだけ夏休みの時間があって、安心できたね。
長三郎:夏休みの宿題も、そのときにやったりね。
勘太郎:作文書いて、次は感想文。感想文を書き終わったら、理科の学習のまとめ…みたいな感じで大変でした。でも、一応遊んだりもしていました。
長三郎:おもちゃの刀持って、お部屋で立ち回りしたね。
長三郎「機関車トーナス(唐茄子)に乗ることができました」
――9月は、「平成中村座 十月大歌舞伎」に向けての稽古がありました。新しいお芝居に出ると聞いたときはどう思いましたか?
勘太郎:新作を歌舞伎座とかでやるのかなと思ったら、「平成中村座でやる」って聞いて、少しびっくりしました。
長三郎:僕は、お父ちゃまから「平成中村座で新作は初めて」と聞いて、お兄ちゃまも僕も新作は初めてだから、ちょっと緊張しました。
――「唐茄子屋(とうなすや)~不思議国之若旦那(ふしぎのくにのわかだんな)」で演じる役についての印象は?
勘太郎:「不思議の国のアリス」とかけて、ミニ若旦那だって聞いたときは、笑いそうになりました。若旦那(小)と書いて、あれをミニと読むのはなかなかないので、面白かったです。
長三郎:僕は、(お仲倅)イチっていう役だけだったんですけど、宮藤官九郎さんに超ミニ若旦那を入れてもらったので、早替りができました。
――稽古はいかがでしたか?
勘太郎:台本のセリフが消されたり、「ここは違う」と変更になっていったので、切り替えが難しかったです。これをやっていたのに、急にやっぱりあっち…と、切り替えが大変でした。
長三郎:お兄ちゃまと同じで、台詞がカットされたり、付け足されたり、場面の展開を役者さんのみんなでやったりしていて、難しかったです。
――声が枯れることもあったそうですね。
長三郎:僕、のどを潰しました!
勘太郎:お稽古の日に声を枯らして、叩かれて泣くところで、みんなから「もう声を出さなくていいよ」って言われてたね。
――実際に平成中村座に入ってみて、どう感じましたか?
勘太郎:「あそこに、あれがあったな」となりました。「奈落、こんな感じだったな」とか。
長三郎:久しぶりで、うれしくなりました。
勘太郎:じじちゃまの目とかも(※)。位置が変わったりしてたので楽しかった。それを探すのも楽しかったです。
(※)平成中村座のあちこち(18ヵ所)に、十八世勘三郎さんの目が隠されていて、「隠れ勘三郎」として、来場者を楽しませています。
長三郎:お稽古のときに、じじちゃんの目を見つけられたりして。それで、時間があるときに、じじちゃまの目を18個探してみようということで、僕16個しか見つけられませんでした。
勘太郎:僕は、18個見つけることができました。先に全部見つけた方が勝ちというルールで始めたんですけど、長三郎は、16個見つけたところで帰ってしまって。
長三郎:「もうそろそろ帰ろうか」って言われたので、帰りました(笑)。
――2ヵ月にわたる公演は、大変でしたか?
勘太郎:2ヵ月するお芝居も、新作も僕たち初めてなので、疲れました。でも、お客さまがたくさん来てくださって、うれしかったです。やっぱり拍手はエネルギーになるなと思いました。
長三郎:お客さまがいっぱい来てくださって、うれしかったです。
――今回の「平成中村座」での思い出は?
勘太郎:機関車トーナス(唐茄子)に乗るんですけど、10月の楽(千穐楽)にうしろのところが壊れてしまって。「えっ!?」と思っていたら、11月には直っていました。
長三郎:僕も思い出は機関車トーナスなんですけど、舞台稽古のときにお父ちゃまから「あなたはやらないんだから、乗らないの」って言われたんだけど、「乗りたいな」ってずっと思っていたら、(代役として)乗ることができました。
勘太郎:稽古のときも、ずっと「乗りたい」って思っていたんだよね。
勘太郎「『ゲームしていいよ』って言われたら、即座に宿題終わらせます(笑)」
――今、小学6年生と3年生で、学校はどうですか?
勘太郎:来年、中学校に入るので、みんな勉強スタイルになってますね。勉強は、まあまあ追いつけているかな。
――好きな科目の「歴史」は進みましたか?
勘太郎:結構、進んで今はもう江戸時代に。でも、江戸時代も長いので、パート1、パート2みたいな感じでやっています。
長三郎:来年は、お兄ちゃまが中学生なので、小学校にいなくて大変かなと思っています。
勘太郎:大変?ずっと一人で突っ走っているのに?この間も、算数間違えて、違い教えたじゃん!半径6センチは、“直径”じゃないよ。
長三郎:でも、間違えてないよ。テストじゃないプリントでは間違えてしまったけど、テストでは間違えませんでした。
――ケンカもしますか?
勘太郎:こっち(長三郎)の方が暴力的。すごいんです。引っかいたり。
長三郎:僕は、攻撃的なんですけど、お兄ちゃまは口で。
勘太郎:僕は、口が激しいかもしれないですけど、こっちはもう口と暴力がセットになってます。「お兄ちゃま、戦隊ごっこやろう」「いいよ」っていったら、本気で殴ってくる!
長三郎:(何も言えず、固まってしまう)
勘太郎:(笑)
――何をしてるときが一番楽しいですか?
長三郎:遊んでるときです。
勘太郎:最近、ポケモンのゲームを買ってもらってやってるんですけど。
長三郎:レベルは、お兄ちゃまが37で、僕が45くらい。お父ちゃまが82くらいです。3人でやってます。
勘太郎:「ゲームしていいよ」って言われたら、即座に宿題終わらせますからね(笑)。
――来年は、勘太郎さんが中学生になるので、同じ学校ではなくなってしまいます。
長三郎:あんまり気にしないです。
勘太郎:僕のアドバイスを聞かずに、一人でやっているので気にしてないよね。
長三郎:お兄ちゃんのアドバイスは聞かないけど、ほかの人のアドバイスは聞きます。
勘太郎:なんで!なんでそうなるの!?
長三郎:兄だからなんです。
勘太郎:いいこと言っても聞かないの?
長三郎:あ、それは聞くよ。自分の成長は、自分で進めたい。
勘太郎:自分の成長って(笑)。
――最後にお互いの好きなところを教えてください。
(この質問に、2人とも上を向いて)あーーーーっ!?(と、シンクロ)
勘太郎:白い。丸い。運動会で見つけやすい。
長三郎:白い。運動会で、必ず2等賞をとる。お芝居ごっこが上手。あとは、お人形さん遊びで、僕より扱いがひどくない。
勘太郎:うまいってこと?
長三郎:いや、ひどくない!褒めてるわけでもないし、褒めてないわけでもない。
勘太郎:寝るのが早いですね。「おやすみ」って言ったら、もう寝てます。
長三郎:お兄ちゃまの方が早いよ。僕は、いろんなこと考えちゃってずっと起きてる。
勘太郎:僕、だいたい(長三郎さんが)寝てるの見てますけどね。あ!「みんなで映画見ようよ」って言うと、お父さんとお母さんは…。
長三郎:お母ちゃまは起きてるけど、おーわん(勘九郎さん)はすぐ寝る!
勘太郎: ホラー映画とか、僕らはちゃんと見てる。ふと見たら、二人(お父さん&お母さん)とも寝ていて…僕が「消しますよ?」って思いながら、消しています(笑)。
聞き手:花枝祐樹(番組ディレクター)
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