錦織一清さんが、東京公演への意気込みを語りました。

錦織さんが作・演出を手がける舞台「サラリーマンナイトフィーバー」の取材会に錦織さん、共演の渋谷天笑さん(松竹新喜劇)、舞羽美海さん、惣田紗莉渚さんが出席しました。

本作は、しがないサラリーマンが娘の願いを叶えるために奔走する、笑いあり、涙ありの痛快人情コメディ。

錦織一清「今はナイトフィーバーできないから、僕は暴発パターン」と“舌好調”

錦織さんが構想に20年を費やし、自ら脚本と演出を担当。俳優として5年ぶりに舞台に立ったことも話題で、8月の宮城公演を皮切りに、千穐楽の大阪・松竹座公演まで、全国6ヵ所で上演されました。

そして、待望の東京公演を2023年2月4日~12日まで三越劇場で行うことになり、8日と10にはアフタートークショーも実施。サラリーマンの奮闘と悲哀が描かれます。

左から)渋谷天笑、惣田紗莉渚、舞羽美海、錦織一清

錦織一清 5年ぶりに俳優として舞台へ「最初は漠然。徐々に気持ちが乗っていった」

錦織一清「真の僕を見てもらえるときがやっと来た。これからは好きに生きていく」

東京公演で「進化系をお見せできる」と意欲たっぷりにアピール

登壇した錦織さんは、「『サラリーマンナイトフィーバー』は10月末まで大阪松竹座で上演した芝居なんですけど、実は2年ほど前から小劇場でやっていた作品です。小劇場バージョンからどんどん進化を遂げ、来年、三越劇場で進化系をお見せできるのではないかと。さらに新しいものを生み出したいと思っております」と挨拶。

全国公演で錦織さんが演じたのは、主人公が勤めるとある企業の社長。貫禄たっぷりの姿で歌唱するシーンもありましたが、今回は、主人公が街で出会うホームレス役で出演。

錦織一清

「主人公が道に迷ったときに、ターニングポイントというかフックになるシーンがあって、そこを正す人間。僕の中ですごく思い入れがあり、カッコいい役です。僕自身がやってみたい役で、しかも何年も東京の舞台を踏んでいなかったので、挑戦させていただきたいと思い、やることになりました」と配役変更の意図を明かしました。

参考にした役柄を問われると、「僕は映画『男はつらいよ』が大好きなんですけど、渥美清さんが演じた寅さんは、ドロップアウトした露天商。子どものころから見ている作品ですが、大人になって改めて見てみると、こういうキャラクターが人間としての正しさを一番もっていると感じた」と持論を語り、「僕としては、寅さんを参考にさせていただいたつもり」と説明しました。

舞羽美海 錦織の存在感に「女性陣から『キャーッ♡』という声が」

また、演出家、俳優としての錦織さんの印象を聞かれた渋谷さんは、「『イット・ランズ・イン・ザ・ファミリー』(2014年)という作品で見た錦織さんがめちゃくちゃカッコよかった。その前にうけた演出で『こうやってずっと止まってしゃべるんだ』と教えていただいたのですが、それを見事に実践されていて、僕たちが言われていたことはこれなんだと実感しました」。

舞羽さんは「場を変える空気に圧倒されました。錦織さんが出てこられたら、共演の女性陣から『キャーッ♡』っていう声が出てしまうぐらいのスター性。お芝居に入ると、お芝居のキャッチボールが毎日違うので、役者陣も袖からニシキさんのお芝居をずっと見ているぐらい、勉強になりました」。

惣田さんは「前回の公演中、錦織さんから『舞台上でユキナという役を演じる私ではなく、惣田紗莉菜渚が自然にしゃべるからいいんだ』というアドバイスをいただきました。錦織さんは演じていらっしゃるというより、舞台上で役を生きている感じがして、勉強したいなと思うところです」と、それぞれの“錦織さん像”を明かしました。

そんな言葉に錦織さんは「ほめ過ぎです」と照れ笑いを浮かべ、「僕にお芝居を教えてくださったつかこうへい先生がおっしゃったのは『出来合いのものを電子レンジでチンして出すのではなく、その場で魚をさばくところから見せるのが舞台だ』と。素材をすりつぶしてツミレ団子にしてはいけないと、それだけは心がけていて、お芝居を作りながら、出演してくれている方たちに“作らせていただいているんだ”と捉えています」と力を込めました。