『PICU 小児集中治療室』最終話完全版
北海道で大きな地震が発生した。
徐々に各地の被害が明らかになる中、“しこちゃん先生”こと志子田武四郎(吉沢亮)は、地震の影響でメスを入れる直前に手術が中止・延期になってしまった小松圭吾くん(柊木陽太)のことが心配でならない。
全身麻酔による体への負担を考慮すると、次の手術日は3日後になるという。
<ドラマ『PICU 小児集中治療室』これまでのあらすじ完全版>
一方、北海道庁では知事・鮫島立希(菊地凛子)を中心に、情報の収集が続けられていた。鮫島知事は、各市区町村に地域の病院と連携をとるよう通達を出す。
そんな中、丘珠病院のPICUの科長・植野元(安田顕)のもとへ、道東総合病院のERから連絡が。地震の影響でトンネルが崩壊し、スキー旅行に来ていた小学生グループが巻き込まれたという。
植野は、圭吾くんのことにも注意しながら、救急の患者を受け入れると武四郎や綿貫りさ(木村文乃)たちに伝えた。
ほどなく、ドクターヘリで外傷性気胸の11歳の小学生・鈴木希くん(太田琉星)が搬送されてくる。直ちに処置に当たる小児外科の浮田彰(正名僕蔵)たち。続けて、腹腔内出血を起こしている野口朔太くん(原田琥之佑)も搬送されていた。
武四郎は、目を覚ました圭吾くんに、地震が起きたために手術が中止になったことを伝える。手術が3日後になると聞かされた圭吾くんは、「神様はどうやっても、俺に生きてほしくないんだ」とつぶやき…。
植野は、現場で医師が不足しているという知らせを受け、綿貫、東上宗介(中尾明慶)、矢野悠太(高杉真宙)の3名を派遣する。
併せて、率先して子どもたちを受け入れる方針をスタッフたちに伝えるが、一般病棟に移っていた立花日菜ちゃん(小吹奈合緖)の容体が悪化し、PICUに戻ってくることになったため、空いているベッドはあと4床しかなかった。
現場で医療活動を開始した悠太は、軽症者ゾーンにいた小学生・木下沙耶ちゃんの様子がおかしいことに気づく。沙耶ちゃんにやさしく呼びかけ、処置をする綿貫。その手は震えていなかった。
しかし、丘珠病院のPICUはすでに満床になっており、沙耶ちゃんを受け入れることはできない。植野は、沙耶ちゃんを別の病院に任せ、成人のICUでケアしてもらうことにする。今の人員では、オペをしても術後管理ができないのだ。
だが、武四郎と河本舞(菅野莉央)は、その決定に納得しなかった。武四郎は、「たとえ目の前で命が失われるのを見ることになっても、その瞬間まで何かしたい」と植野に訴える。
植野は、そんな武四郎に、圭吾くんのことを考えろと告げ、もっと大きなPICUを作るべきだったと後悔を口にした。
そのとき、現場と繋がっていた今成良平(甲本雅裕)のスマートフォンで植野たちの会話を聞いていた綿貫が、「分かりました」と声をあげた。PICUを作る準備をしていたもう一つの病院を知っているという。
それは、かつて勤務しており、裁判で争った相手でもある札幌共立大学病院のこと。綿貫は、札幌共立大の救急科科長・渡辺純(野間口徹)に連絡を取り、力を貸してほしいと頼んだ。
それからしばらくして、雪道に倒れていた10歳の小学生・当間ふきちゃん(竹野谷咲)が発見される。しかし、激しい雪のため、ドクターヘリは飛ぶことができなくなっていた。
武四郎は、植野にドクタージェットの要請を進言。植野からの連絡を受けた鮫島知事は、自ら交渉に当たり、ドクタージェットを使うことができるようにする。
丘珠病院のPICUに搬送されたふきちゃんは、一時心停止状態に陥ったものの、一命を取り留めた。
今回のトンネル事故に遭った37名のうち、36名は各病院に運ばれ、治療を受けている。だが、発見が遅れた11歳の小学生・石川蛍ちゃんだけは救うことができなかった。
植野は、現場から戻ってきた東上たちを交えて、どうすれば蛍ちゃんを救えたのか話し合う。そこでも話題に上がったのは、ドクタージェットを丘珠空港に常駐させる必要性だった。
すると植野は、最速でも来年度になるが丘珠空港にドクタージェットが常駐されることになる、と皆に告げる。続けて植野は、丘珠病院のPICU科長として新たに札幌共立大の医師が赴任することを伝えた。
植野が、近隣病院との連携を進めるために辞職すると知った武四郎たちは反発し、残ってほしいと植野に頼む。
そこに、渡辺がやってきた。
渡辺は、丘珠病院に医師を出すのを止め、関連病院がある千歳に新たにPICUを作ると植野たちに告げる。言葉にこそしなかったが、それは丘珠病院と連携するということを意味していた。
しばらくたったある日、武四郎は、補助人工心臓の植え込み手術を終え、函館に戻った圭吾くんに会いに行く。
「ちゃんとこの補助人工心臓を大切にして、心臓移植して、しこちゃんみたいなお医者さんになりたい」と武四郎に告げる圭吾くん。武四郎は「うれしいけど、この世界にはいろんなお仕事があるよ」と返す。
圭吾くんから「もし生まれ変わったら、どんな仕事する?」と問われた武四郎は、しばらく考えると、「やっぱり医師かな」と答えた。
悠太、涌井桃子(生田絵梨花)と「南々子」と名付けられた女の子、舞は、久しぶりに武四郎の家に集まった。舞の誕生日を祝うためだった。
28歳の抱負を尋ねられた舞は、海外でも仕事ができるように英語を極めたいという。それをきっかけに、それぞれがこの先の目標を発表。武四郎は、「父ちゃんみたいな男になりたいかな。母ちゃんがすげー褒めてたから。で、父ちゃんにとっての母ちゃんみたいな人見つけて、家族になってここで医者をやりながら暮らしていけたらな」と答えた。
そのとき、武四郎のスマホが鳴る。病院からだった。「すぐ行きます」。武四郎はそう答え…。