大地真央さんと花總まりさんが、お互いに“正反対”だと思うところを語りました。
ともに宝塚歌劇団出身で、在団中から現在にいたるまで数々の作品に出演し、存在感を放っている大地さんと花總さん。そんな2人が初共演して話題となった、ニール・サイモンの代表作「おかしな二人」が、2020年の初演以来、3年ぶりに上演されます。
オリーブ・マディスン(大地)のアパートは、その不精な性格から荒れ放題。しかし、毎日のように女友だちが集まって、ゲームやおしゃべりで盛り上がります。そこへ、夫から離婚を切り出された傷心のローレンス・アンガー(花總)が転がり込み、オリーブと同居することに。しかし、ローレンスは病的なまでにきれい好きで――。
衝突を繰り返しながらも、それぞれの幸せを見つけていくオリーブとローレンス。そんな2人を演じる大地さんと花總さんに、再演への意気込みや、共演してのお互いの印象、自身にとって舞台とは何か、などを聞きました。
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大地真央「いい意味の緊張感が、コメディのテンポを作る」
――初演を振り返って、いかがですか?
大地:「え、もう3年経ったの?」という感じですね。前回は、ちょうどコロナが流行りはじめた頃で、お稽古にも、ソーシャルディスタンスなどいろいろな枷(かせ)がありました。でも結果、それもよかったのかなと思う仕上がりになったと思います。
花總:前回は、「見に行きたくても行けない」という方が大勢いらっしゃったので、今回はぜひ多くのみなさまに見ていただきたいです。コロナ禍で、最初の頃は演劇界も押さえつけられていましたが、今は「負けないぞ」という気持ちで走り出しているので、その勢いも、「おかしな二人」に乗せていきたいと思います。
――改めて「おかしな二人」の魅力をお聞かせください。
大地:やっぱり、ニール・サイモンの戯曲が非常に面白い、というところですね。登場する8人のキャラクターが、とても面白くて、「おかしな二人」どころか「おかしな八人」という感じで(笑)。登場人物がそれぞれ自立していく姿も描かれているので、ご自身をキャラクターの誰かに置き換えてみても、楽しんでいただける作品ではないかな、と思います。
花總:初演は、大地さん率いる“おかしなメンバー”で一丸となって作っていったので、お客さまにすごく楽しんでいただけたのではと思います。今回はメンバーも変わるので、“2023年版おかしな二人”をみんなで作って、また新たな面白さをお届けできたらなと思います。
――それぞれが演じる役柄は、どんなキャラクターですか?
大地:私が演じるオリーブはテレビ番組の敏腕プロデューサーなんですけれど、仕事以外のことは正直「どうでもいい」というタイプ。家がぐちゃぐちゃでも平気で、おおらかというか、大雑把というか…。家に集まってきた友だちと、みんなでゲームをしたり話したりする時間が、彼女にとって一番のリラックスタイムなんです。汚い家だけどなぜか落ち着く、変な魅力がある人だと思います。
花總:フローレンスは夫から離婚を切り出され、未練タラタラのまま、オリーブの家に転がり込んできます。悪気はないんですけれど、病的なまでにきれい好きなので、オリーブにとって“豆台風”的な存在です(笑)。でも憎めなくて、少しちゃっかりしているところもあるので、そのウザったらしさと愛らしさをうまく同居させていきたいと思います。
――前回公演で、コメディならではの手応えを感じたところ、苦労した点はありましたか?
大地:劇中では、リラックスしているときならではの、自然な会話が繰り広げられます。そのなかで、空気をクッと持ち上げるような、いい意味の緊張感が、コメディのテンポを作っていくと思いました。
花總:とにかく、ストレートプレイであれだけの量のセリフをいただいたのが初めてだったので、テンポ感を大切にしないといけないと思って、すごく緊張していました。
大地:「セリフ多いよね」って、言ってたよね(笑)。
花總:はい、その記憶がすごくありますね。とにかくセリフが多くて、毎朝、セリフをぶつぶつ言っていました。そういう日々がまた始まると思うと、大変ですけれど(苦笑)、前回はすごく楽しかったですし、いい結果につながったと思うので、また挑戦できるのが、すごくうれしいです。
花總まり「もし、大地さんと共同生活をしたら…」
――前回、共演した際に感じた、お互いの印象を教えてください。
大地:年齢がすごく離れているんですけれど、最初から、相性がいいなと感じました。「コメディは初めて」とおっしゃるわりに、体当たりで思いっきりやられるので「初めてじゃないでしょ?」と思いましたし、一生懸命ですっごくかわいいなと思いましたね。
花總:大地さんには、私のすべてを受け止めてくださる、大きな愛がありました。“そこに、愛はありました”(笑)。大地さんの愛を、毎日感じていました。
――オリーブとフローレンスは正反対な性格ですが、大地さんと花總さんは、お互いに「自分と正反対だな」と思うところはありますか?
大地:前回共演したときはコロナの影響で、お話ししたりお食事へ行ったりできず、稽古場で役としての付き合いしかできませんでした。ですから、役の印象もあるかもしれませんが…私自身、オリーブと似ているところがあって、花總さんも意外とフローレンスと似ている部分があると思うので、まさにそこが正反対かもしれません(笑)。
花總:おっしゃるとおりですね。
大地:私もオリーブみたいに、仕事にはグーッと入り込むけれど、それ以外はわりと、どうでもいいタイプなんです。彼女ほど部屋を汚さないですけれど。でもやっぱり演じていると、「私もこういうところがあるしな」と、共感してしまいます。
大地:花總さんは、(フローレンスみたいに)家に帰ったら、お掃除するんでしょ(笑)?
花總:ふふふ(笑)。もし、大地さんと共同生活をしたら、私はチャカチャカ動いて、掃除をしているかもしれません。フローレンスとあまり変わらないのかな。もちろん、大地さんご自身がズボラだということでは決してなくて、私はわりと、こまごまと動いていそうな気がします。
大地:たぶん“縮小版オリーブと、縮小版フローレンス”みたいな感じですね。
――(この日は、全国のメディアが集合。富山県の記者から)富山の印象や思い出を教えてください。
大地:私は、ドラマ『最高のオバハン 中島ハルコ』(東海テレビ・フジテレビ系)の撮影で、よく岐阜県に行っていたんですけれど、東京へ戻るときに、富山駅を何度か利用させていただいて。富山駅で売っていた駅弁(※)が美味しかったんです!お重に入って、風呂敷包みで、すごくきれいで美味しくて。
※その場でスタッフが調べて、「富山味づくし」だと判明。
花總:私は、宝塚のときに、全国ツアーで富山へ行っているんじゃないかな…。今回、富山へ行けるのは、すごくうれしいですし、とっても楽しみです。大地さんのお話を聞いて、絶対に駅弁を買おうと思いました(笑)。
デビュー50周年の大地真央「自分のライバルは、ひとつ前の自分」
――大地さんは今年、デビュー50年を迎えますが、どんな心境ですか?
大地:まわりに言われて振り返って「あ、50年だ」って思う、正直そんな感じです。私は、本当に運が良かったのだと思いますし、今まで携わってくださった方々のおかげだなと、改めて感じます。でも、50年経ったから特別だということはなく、これからも、あまり変わらずいくと思います。
――大地さんにとって、舞台とはなんでしょう?
大地:宝塚という舞台からスタートしたので、やっぱり私の基本かな、と思います。猫と一緒で(笑)“切り離せない”もの、みたいな。ただ、「一つひとつのことに、真摯に向き合ってきた」という自負はあります。それが、たまたまつながってきた。
舞台って、ライブ感が楽しいと思うんです。同じことは二度とできませんし、ご覧になる方も毎回違いますし。常に「この作品が一番面白い」と言われたいので、“自分のライバルは、ひとつ前の作品の自分”という意識はあります。まぁ、好きでやってきたんですけれど、50年はびっくりですね。
――では、花總さんにとって舞台とは?
花總:そうですね…舞台ってもちろん楽しいこともあるけれど、つらいことは、その何倍もあって。正直、「なんで、こんなにつらいことをやっているんだろう」と思うことも、たくさんあります。なんで辞められないんでしょうね。
私なんて、大地さんに比べたらまだまだ経験も浅いので、10年後、20年後、30年後になってようやく、自分にとって舞台は何なのか、言葉が見つかるのかもしれません。逆に、その時に見つけられるように、歳を重ねていけたらいいのかなと思います。今はまだまだ中途半端で、定められていない気がします。
――どういう時に「舞台って楽しい」と思いますか?
花總:楽しいというか、「今日もがんばってよかった」と思えるのは、やっぱりお客さまから拍手をいただいたり、お手紙やコメントで想像以上の言葉をかけていただいたときですね。こんな私の舞台が、みなさまに思っていただける、影響を与えられる、と感じたときに、がんばってよかったと思えます。
「おかしな二人」
作:ニール・サイモン
出演:大地真央、花總まり、青木さやか、宮地雅子、平田敦子、山崎静代(南海キャンディーズ)、渡辺大輔、芋洗坂係長
【東京公演】4月8日(土)〜26日(水)/シアタークリエ
【宮城公演】4月29日(土)〜5月1日(月)/トークネットホール仙台(仙台市民会館)
【富山公演】5月6日(土)〜7日(日)/富山県民会館
【大阪公演】5月11日(木)〜14日(日)/梅田芸術劇場シアター・ドラマシティ
公式サイト:https://www.tohostage.com/okashinafutari/index.html
撮影:河井彩美
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