オトナの土ドラ『リカ』で、高岡早紀演じる純愛モンスター・雨宮リカ。
家族の愛に飢え、愛する人を手に入れるためなら手段を選ばず、狂気に満ちた言動がますますエスカレートしている。
そんなリカが手に入れようと必死になる男性2人を演じるのが、小池徹平と大谷亮平だ。
小池が演じるのは、現在放送中の第1部で、リカに運命の相手だと信じ込まれ、異常な愛情で追い詰められる花山病院の副院長・大矢昌史。
リカは、大矢との結婚を阻む人間はすべて敵とみなして攻撃し、消していく。大矢はリカを怪訝に思うも、彼自身の運命も暗転していくことに…。
大谷が登場する第2部は、1部の3年後を描く。そこでリカのターゲットとなるのが、大谷演じる映画製作会社のプロデューサー・本間隆雄だ。
リカは、妻子と別居中の本間と、マッチングアプリを通じて知り合う。当初は一般的なメールのやりとりだったが、次第に常軌を逸した数のメールが届くように。やがて、リカの魔の手は、娘に向けられるようになり…。
そんな“追い詰められる”役を演じる小池と大谷に、男性目線から見た「リカ」の恐ろしさや、役柄への思い、それぞれの見どころなどを聞いた。
<小池徹平&大谷亮平対談>
――小池さんは、すでにクランクアップされたそうですが、現在放送中の『リカ』をご覧になっていかがですか?
小池:自分が想像していたより、リカの表情が怖いな、と思いました。大矢に対する思いをつぶやいていたり、大矢の使ったゴム手袋をハーバリウム(オイル漬け)にするシーンは、僕の知らないリカを初めて見たのでゾクゾクッとくるものがありました。
――特に、どのあたりに怖さを感じましたか?
小池:やっぱり、目ですね。高岡さん演じるリカの目力がすごくて、しかも、ずっと僕を見ているんです。ロックオンの目線が…。第1話でリカを面接するシーンだと、台本上ではまだリカの異常を感じてはいけない段階なんです。だから、なるべく目線を合わせないように履歴書を見たりして、いろいろなお芝居をしました。
リカは、ちょっと変わっているけど、普通に人に話しかけたりして、「この人、絶対に殺人を犯すな」と見えないところが怖いなと思います。
――大谷さんのご出演は第2部ですね。
大谷:そうなんです。怖いです。だから、いつか大矢先生と手を組みたいなと思うくらいです(笑)。
小池:ははは。いつかリカを“ぎゃふん”と言わせてください(笑)。
――これからターゲットとなる大谷さんは、小池さんに聞きたいことはありますか?
大谷:あまりにもキャラクターのインパクトが強すぎるので、どうしてもリカの存在を最初から色眼鏡で見てしまうんです。台本を読んでいても、登場のシーンから「怖い」って思っちゃうんですよね。
一人の女性として扱うところからスタートしないと変化が見せられず面白くなくなってしまうのですが、最初からモンスター扱いしてしまいそうで(笑)。表情をどう作っていったらいいかを聞きたいです。
小池:徐々に、リカが危ない人物だということに気づいたり、自分への愛情が異常なのではないかと気づいていく話なので、最初は鈍感でなければダメなんですよね。
病院内でいろいろな事故が起こった時も、その事態に驚くというお芝居から、だんだん違和感を覚えて、リカが恐怖に変わっていく瞬間があるので、その流れを大事にしました。
――リカの追い詰め方も、大矢先生と本間さんでは違うのですか?
大谷:そうなんです。それぞれ違う攻め方なんですよ。本間の場合は、出会って結構すぐに、おかしいなと思うようになるんです。
小池:マッチングアプリで出会って、最初はメールでやりとりするのと、最初からダイレクトに会って、そこからジワジワ追い詰められていくのと、それぞれ違った恐怖感を感じる構成になっていると思います。
この脚本は、読むのにすごく疲れるんです。読むのに体力がいるというか。リカに追い込まれる自分を想像をしながら読むと、ドッと心にダメージを食らうんです。
大谷:確かに、しんどいです。普通に読むだけでなくて、演じる立場で読むので、いろいろと思考を働かせたり、追い込まれてダメージを食らうので、だんだんこめかみが痛くなってきて、「しんどいわ、ちょっと休憩」ってひと息入れることもあります。
しかも、リカはこれだけのことをやらかしているのに、なんで止められないんだって、その歯がゆさがイライラになってきたりして、どんどん感情が乗ってくると、読んでいて非常につらいです。
小池 :そう。「なんで気づかないんだよ?」って思うようになってきて、だんだん腹が立ってくるんです(笑)。
大谷 :(そんな状況で演じてきた)「小池さん、ホントにお疲れさまでした」っていう気持ちになりますよ(笑)。
――現場の雰囲気はいかがですか?
小池:現場は、メッチャ楽しいです。和気あいあいとしているし、収録スピードも速いので。それに、高岡さんは、気さくでやさしいし、気配り上手で現場をすごく盛り上げてくださいます。
かつて共演させていただいているので、コミュニケーションも取りやすかったですね。とても頼りになる方だから、現場が和やかなのは高岡さんのおかげだと思います。
大谷:僕は、高岡さんと初めましてです。オトナの土ドラというくらいですから、そういうオトナの年齢の方々が、あの時間帯に楽しく見るにふさわしい女優さんだなという印象なので、楽しみです。
オトナの土ドラは、『結婚相手は抽選で』以来、2度目の出演です。1日中詰めて撮るというスタイルが多いので、しっかり計算して段階を踏んでいかないと、あとで心配事が増えるので(笑)、よく話し合いながら演じていこうと思います。
――改めて、それぞれ、第1部と第2の見どころを教えてください。
小池:病院が舞台なので、患者や看護師に対して、「死ねばいい」と言いながらリカは憎悪をむき出しにします。その理由が「大矢先生とイチャイチャしていたから。だから、あなたが悪いのよ」みたいな感じなんです。
思考回路が普通ではないので、どんどん不可解な行動がエスカレートしていくリカと、彼女の罠に落ちていく大矢の恐怖に満ちた表情を、ぜひ楽しんでください。
大谷:本間の場合は、 彼の一番大切な娘にリカの手が下り、こちらが手を出せない状況にされてから追い込まれるので、そこが見どころになっていくと思います。
撮影:斉藤美春