片平なぎささんが、30年携わった作品への感謝を明かしました。
“2時間ドラマの女王”片平さんが主演を務める『赤い霊柩車』シリーズ。その最新作にして最終作となる「山村美紗サスペンス 『赤い霊柩車39 FINAL~弔の京人形~』」(フジテレビ)が3月17日に放送されます。
物語は、父が遺した石原葬儀社を営む主人公の石原明子(片平なぎさ)が、遠距離恋愛中の医師・黒沢春彦(神田正輝)の力を借りながら、「葬儀屋探偵」として事件を解決していくもの。
古都の美しい風景のほか、石原葬儀社専務・秋山隆男(大村崑)と、事務員・内田良恵(山村紅葉)のコミカルなかけ合いなど、多くのファンをもつ人気シリーズです。
3年ぶりとなった新作にどのような心境で臨んだのか、また、片平さんの俳優人生を語るうえで欠かせない2時間ドラマへの思いなどを聞きました。
<片平なぎさ インタビュー>
――31年にわたって放送された『赤い霊柩車』シリーズがついに完結するということで、現在の心境を聞かせてください。
自分のライフワークのように長く続けてきた作品ですので、終わってしまう寂しさは当然あります。でも、長年、愛してくださった視聴者の皆さんのイメージを壊してはいけませんし、「ここまでよく頑張った」と。最後まで(主要キャストが)誰一人欠けることなく、元気で完走できたのは、何よりもうれしいですね。
実は40本を目標にしていたところもあったのですが、コロナ禍でロケに出られず、3年空いてしまいました。でも、39本で終わるのは、感謝の意味も込めて「“サンキュー”でちょうどいいね」となって、結果よかったんじゃないかなと思います。
――最後の作品にどんな思いで臨みましたか?
セリフ覚えは結構いいほうで、それまで現場に台本を持ち込むことなくできていたのですが、FINALの台本をいただいたとき、クライマックスの10ページ近くある謎解きのシーンに「私、ノーミスでできるかしら?」と不安になったんです。
自宅では覚えることができても、いざカメラの前に立ったら「セリフが出てこなくなるんじゃないか」と怖くなって、久しぶりに現場へ台本を持ち込みました(※)。それくらい、3年というブランクは恐怖でしたね。
(※)スタッフによると現場で台本を開くことはなかったそうです。
そういう意味でも「ここが限界かな。私も卒業かな」って。だから、やりきった感があるのかもしれません。
神田正輝の「明子と春彦は“サザエさん一家”なんだよ」で腑に落ちた
――片平さんは“2時間ドラマの女王”として多くの人気シリーズを牽引してきましたが、現在、地上波では2時間ドラマはほとんど見られなくなりました。このことをどう感じていますか?
どんどん、番組の枠が減っていってしまったのは残念ですが、これも時代の流れ。育てていただいたという思いがありますし、そこに携われただけでもとても幸せです。
連ドラは連ドラで、「来週はどうなるのかな?」という(続くことの)楽しみがありますが、2時間ドラマは、“2時間で答えが出る”ことが大きいですよね。しかも、途中から見てもおおよその内容がわかるくらい、視聴者にとってすごく親切。
『赤い霊柩車』に関しては、化野念仏寺で明子が語りかけるおなじみのオープニングと、師匠(大村崑)とモミちゃん(山村紅葉)の夫婦漫才、そして、明子と春彦のラブラブのデートシーン。『水戸黄門』(TBS)の印籠じゃないですけど、「また始まった!」みたいな安心感があるんだと思います。
――視聴者の皆さんが気になるのは、長く婚約状態にある明子と春彦の関係だと思います。ついに、ゴールインを迎えることになるのでしょうか?
我ながら「引っ張ったなぁ~」と思います(笑)。10年くらい前から「婚約者の春彦さん」というセリフが毎回登場することに対して恥ずかしくなってきて、「どうしても婚約者って言わなきゃいけませんか?」と(プロデューサーに)聞いたくらいです(苦笑)。
そんなときに神田さんが「なぎちゃん、僕たちは“サザエさん一家”なんだよ」って。その言葉を聞いたら腑に落ちたといいますか、迷いが吹っきれて、逆に楽しみながら「婚約者」と口に出せるようになりました。
でも、FINALではさすがに結婚させたほうがいいのではないかと思いましたし、ファンの皆さんからいただくお手紙にも結婚を望んでいる声が多かったので、私としては“結婚させたい派”に1票を投じました。結果はオンエアをお楽しみに(笑)。
――このシリーズは片平さんにとってどんな存在ですか?
芸能界にデビューして50年近くなり、その中の30年を占めていますから、今、私がこうして活動できているのも『赤い霊柩車』の力が大きかったのだと思います。感謝しかありません。
「山村美紗サスペンス『赤い霊柩車 39 FINAL~弔の京人形~』」(フジテレビ)
3月17日(金)20~21時52分
出演:片平なぎさ、神田正輝、山村紅葉、大村崑、松下由樹、羽場裕一、榎木孝明、佐藤寛太、若林豪ほか