日向未南さんが、『王様ランキング』ボッジ役への思いを語りました。
出演作のことをはじめ、“声優”について語ってもらう連載企画「声優FILE.」。第12回は、アニメ『王様ランキング 勇気の宝箱』(4月13日スタート/フジテレビ)で主人公・ボッジの声を担当している日向未南さんが登場。
2020年に声優デビュー後、『クレヨンしんちゃん』(テレビ朝日系)やWebアニメ「コタローは一人暮らし」などで声の出演をする日向さん。
初めて主演を務めた前作テレビシリーズ『王様ランキング』(2021年~2022年)で、耳が聞こえず言葉も話せない非力な王子・ボッジを、「あう」といった発声だけで時にかわいらしく、時に切なく演じ注目を集めました。
どのような思いでボッジを演じていたのか、アフレコのエピソードのほか、声優を目指したきっかけや活動を始めた当初の苦悩、仕事をするうえで大事にしていることを聞きました。
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前作の放送時「自分の芝居は、遠目で見ていました(笑)」
──『王様ランキング』は、日向さんにとって初めての主人公役でした。ご自身は放送をどのように見ていましたか?
前作の1話、2話は完成に近い状態のアニメーションでアフレコをさせていただきましたが、それ以降は完成前の状態でアフレコをしていました。なので、完成版を見るのは放送が初めてだったんです。
しかもコロナ禍で、大人数で一緒に収録をすることができなかったので、どんなお芝居をしているかも放送までは分からない方もいて。アニメーションとお芝居がどう組み合わさったのかということを、いち視聴者として楽しんで見ていましたね。
ただ、自分のお芝居のときは、遠目で…「大丈夫かな?」、「私、ちゃんとやってるかな?」と思いながら見ていました(笑)。
──当時、出演声優陣がリアルタイムにSNSで実況しながら見るということもしていましたね。
そうなんです。アニメに関わられたスタッフの方々も実況されていたので、自分のTwitterのタイムラインがすごいにぎわっていて。
ボッジの継母・ヒリング役の佐藤利奈さんが「体感5分」とつぶやかれていたところに、私も「分かります!」とリプライしたりして、すごく楽しかったです(笑)。
──その前作放送時に、周囲から反響はありましたか?
知人が息子さんと見てくださっていたそうで。『王様ランキング』って、意外とグロテスクなシーンも多いので、親子で見ていることにまず驚きましたね。
ちなみに、その方はやはり“母”であるヒリングに共感すると言っていました。そうやって、近しい人と『王様ランキング』について話すことができてうれしかったです。
──ボッジの声優をしていることはご存じの方ですか?
いえ、言わずに、バレずに話していました。普段はボッジよりも低いトーンで話すので、一生気づかれないと思います(笑)。
村瀬歩との出会いで芝居への意識が一新された
──改めて、ボッジ役にはどういう思いで臨んでいましたか?
はじめはプレッシャーが大きすぎて、アフレコに行くのがすごく怖かったです。
「頑張らないと」という思いと「私にできるのか?」という思いがあって、アフレコに向かう足取りが重かった記憶があります。
今となってはそれって、自分のことしか考えられていなかったんだなと思います。私がボッジを演じるプレッシャーは、作品を作るうえではいらないものじゃないですか。
村瀬(歩)さんだってカゲを演じることに全力だし、梶(裕貴)さんも(ボッジの弟)ダイダを演じることに情熱を捧げているなかで、「私、新人なのにできるの?」なんて考えているのはおかしなことだな、と。私は私で、自分なりのボッジをつくり、音響監督にディレクションをしてもらい、軌道修正していくことに一生懸命にならなくてはいけないのに。
そのことに気づいたのが、5話から7話くらいのところでした。
そこからプレッシャーは少し落ち着いて、皆さんのお芝居を生で聴けるという環境と、大好きな漫画に声がつく瞬間が見られるということが楽しみになっていきました。
最後の10話分くらいは楽しみ過ぎて1週間がとても長く感じて。「まだかな、まだかな」と収録が待ち遠しかったです。
──心境の変化の裏に、誰かの言葉などはあったのでしょうか?
村瀬さんです。「自分のセリフは、相手のセリフに繋げるためにあるんだ」ということを教えてくださって。それがきっかけで、お芝居に対する考え方も変わっていきました。
前作のラストシーンは、ボッジとしての涙と私情の涙でぐちゃぐちゃに
──前作は、カゲが王になったボッジから離れていったものの、再会して新たな冒険に出るラストとなりました。印象的なシーンですが、アフレコの思い出を聞かせてください。
当時、声優陣でリアルタイムに(漫画投稿サービス「マンガハック」で連載中の)原作を追っているのは私だけだったのですが、連載であの再会のシーンを読んでからアフレコが楽しみでした。
でも、実際にアフレコをするとなると、楽しみだけど、「これをやったら終わるんだ」「村瀬さんとの掛け合いもこれで終わりだ」という、悲しみ、喪失感みたいな感情もあって…。
そして村瀬さんが持ってこられたカゲのお芝居が最高で。私情の涙とボッジの涙でぐちゃぐちゃになりながら、カゲと再会しました。あのアフレコはたぶん一生忘れないです。
──『王様ランキング 勇気の宝箱』の見どころを聞かせてください。
前作は割とシリアスなお話が続いていたと思います。『勇気の宝箱』は、ちょっとダークな部分がありつつも、ほのぼのとした部分もあり、それぞれのキャラクターを描くことにフォーカスをしています。
前作では描ききれなかったキャラの良さ、かわいい部分、かっこいい部分が詰まっていて、アニメーションもやっぱりすごいので、ぜひご覧ください。
──『勇気の宝箱』は、前作の各エピソードの合間に起こったことなどを描くそうですが、「このシーンの裏話が見られて高まった!」というエピソードはありますか?
ヒリングと、ヒリングを守るために登場する女戦士・アンの回想シーンですね。「ここは、みんな見たかっただろうな」と思っています。2人がどういう関係なのかが深く知れるシーンなので、高まりましたね。
「声優は向いていないと思っていた」それでも続けたことで運命の出会い
──声優になりたいと思ったきっかけはなんですか?
きっかけはたくさんありますが、一番は少年への憧れですね。
小さい頃からアニメが好きなのですが、好きなキャラは主人公の男の子ということが多くて。ただ、その頃はまだ「声優になりたい」とはまったく考えていませんでした。
大きくなるにつれて、「この子たち(好きなキャラのような男の子)にはなれないんだな」と気づき始めて。そして、いわゆる“冒険”に行くことはできないということに漠然とした不安というか…将来の楽しみがないなと絶望のような気持ちがあったんです。
そういうものが積み重なったときに「待てよ。声優になれば少年になれる」「憧れの世界に行けるな」と気づいたことが大きなきっかけだったと思います。
でも、注目されることや、単純に人前で声を出すのが恥ずかしくなってしまう性格なので、事務所に所属してからも、自分では「声優には向いてないかも…」と思いながら過ごしていました。
それでも、オーディションを受けさせていただいて、『王様ランキング』というステキな作品に関わらせていただける人生になるなんて…声優になってよかったなと思っています。
──好きな作品の主人公を演じられるのは、運命の出会いですよね。
私の前世の人は、絶対に何か徳を積んでいたんだと思います(笑)。
──3年ほどの声優活動のなかで、ターニングポイントはありましたか?
やはりどうしても『王様ランキング』との出会い、村瀬さんとの出会いですね。
声優を始めたころは、お芝居というものがよく分からずにいました。憧れていた少年の役を任せてもらえて、アフレコをしているときは楽しいのですが、「これで合っているのだろうか」とモヤモヤすることが多くて。
でも、村瀬さんと出会って、(合ってるかどうかよりも)みんなでお芝居をすることが大事だということを教えてもらって、それからはお芝居を楽しむことができるようになりました。
──声優の仕事をするうえで大事にしていることは何ですか?
「作品全体のことを考える」ということです。私が与えられた役は、この作品でどういうポジションなのか、何がこの子の面白いところなのか、お客さんが見たときにこの子をどう思うんだろか、と考えてお芝居を作っていく。
あとは、周りのキャラクターたちとの関係性を考えることも大事にしています。
──それは、台本をもらった段階で考えるのですか?
また村瀬さんの話になってしまうのですが…村瀬さんが作品全体の起承転結を自分で書いて、この子はどういう役割なのか、どういう立場なのかをメモしていくといいと教えてくださって。
『王様ランキング』で言うと、前作23話で一つの物語ではありますが、1話の中にも起承転結があるんです。それを書き出して、自分のキャラクターだけではなく、この話は誰にスポットが当たっているのかということを考えて、家で整理をして、アフレコに臨んでいます。
【コラム:最近、気になる“声優さん”】
坂本真綾さんが大好きで、坂本さんは永遠に気になっている人です(笑)。
あとは、最近、小倉唯さんと共演させていただいたのですが、もともとファンだった小倉さんと初めてお会いすることができて、さらに大好きになりました。
纏(まと)っているオーラに圧倒されましたし、息をしているのか心配になるくらいお人形さんのようにかわいらしくて、目がすごく透き通っていて。今改めて魅力にはまっています!
撮影:今井裕治
<アニメ『王様ランキング 勇気の宝箱』概要>
■イントロダクション
耳が聞こえず、話すことができない非力な王子・ボッジと、その親友・カゲの冒険を描いた テレビアニメ『王様ランキング』。
本作『王様ランキング 勇気の宝箱』では、ボッジやカゲ、彼らの周りに集いし仲間たちの、知られざる“勇気の物語”が描かれる。
■作品紹介
放送:4月13日(木)より、フジテレビ“ノイタミナ”ほかにて毎週木曜24時55分~放送開始
※放送日時は予告なく変更になる場合があります
配信:Prime Videoにて見放題独占配信、毎話フジテレビ放送開始1時間後より配信予定。他各配信サイトにて配信予定。
原作:十日草輔 『王様ランキング』(ビームコミックス/KADOKAWA 刊)
スタッフ
監督:八田洋介
シリーズ構成:岸本卓
キャラクターデザイン・総作画監督:野崎あつこ
サブキャラクターデザイン・総作画監督:村田理
チーフ演出:渕上真
美術監督:金子雄司
美術設定:藤井一志
色彩設計:橋本賢
撮影監督:上田程之
編集:廣瀬清志
音楽:MAYUKO
音響監督:えびなやすのり
音響効果:緒方康恭
アニメーションプロデューサー:岡田麻衣子
アニメーション制作:WIT STUDIO
キャスト
ボッジ:日向未南
カゲ:村瀬歩
ダイダ:梶裕貴
ヒリング:佐藤利奈
ドーマス:江口拓也
ベビン:上田燿司
アピス:安元洋貴
ドルーシ:田所陽向
ホクロ:山下大輝
デスハー:下山吉光
デスパー:櫻井孝宏
オウケン:遊佐浩二
ミランジョ:坂本真綾
公式HP:https://osama-ranking-treasurechest.com/
公式Twitter:@osama_ranking
©十日草輔・KADOKAWA 刊/アニメ「王様ランキング 勇気の宝箱」製作委員会
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