廣野凌大 ポルノ・新藤晴一が手がけるミュージカルで主演「破天荒さで道を切り拓いていく」【推し☆メン】
編集部の“推し”を紹介する「推し☆メン」Vol.7は廣野凌大(ひろの・りょうた)さんが登場。
2016年に俳優活動を開始し、舞台『ヒプノシスマイク-Division Rap Battle-』Rule the Stageの波羅夷空却(はらい・くうこう)役などで人気に。
今年、3月に上演された舞台『鋼の錬金術師』で主人公のエドワード・エルリック役に抜擢されたほか、Bimi名義でアーティスト活動を行うなど幅広く活躍しています。
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この夏は、ポルノグラフィティのギタリスト・新藤晴一さんがプロデュースと原案と作詞作曲を手がけた「a new musical『ヴァグラント』」に出演。
めでたいことや不吉なことがあった場所へ赴き、歌や踊りを披露する“マレビト”と呼ばれる芸能の民と、事情を抱えながらそれぞれの運命に苦しむ3人の若者とのふれ合いを描いた物語で、主人公の佐之助に平間壮一さんとWキャストで扮します。
オリジナルミュージカルに挑む心境や環境の変化、さらに、廣野さんのパーソナルな部分に迫るべく、“推し”やプライベートについて聞きました。
<廣野凌大 インタビュー>
――人気原作をもとにした作品が多く舞台化されている中、本作はポルノグラフィティの新藤さんが手がけたオリジナルミュージカルということで注目されていますね。
新藤さんといえば、音楽畑の第一線で走り続けてきた方で、佐之助を僕とWキャストで演じる平間さんは俳優だけでなく、ダンサーとしても活躍されている方。僕も音楽活動を行っていますし、そんなメンバーが集まって新作を立ち上げることに意味があるのかなと。音楽で人々を魅了してきた新藤さんがミュージカル界に吹かせる新風に、僕も期待しています。
――脚本・演出を担当する板垣恭一さんと新藤さんが、構想から実現まで約4年の歳月をかけて仕上げた作品なのだとか…。
むしろ、今のタイミングでよかったと思います。4年前の僕は自分の芝居に納得がいかず、ジレンマを抱えていた時期で。
そんなときにコロナが始まり、公演を打てなくなったことで芝居に対する考えが整理されていき、物事を客観的にみられるようになったんです。25歳の今だからこそ表現できるものをお見せしたいです。
――Wキャストで佐之助を演じる、平間さんの印象について聞かせてください。
平間さんと僕って、演劇に携わるうえで感じるジレンマや価値観がすごく似ているんです。平間さんもおっしゃっていましたが、「初めて会った気がしない」というのが、お互い感じた印象でした。
――同じ役を演じるということで、ライバル心はありませんか?
まったくありません。舞台『鋼の錬金術師』も一色洋平さんとのWキャストでしたが、「お互いいいものを見せようぜ」というバトルはあったものの、その環境がとても心地よかった。
役者ってお客様に酔っていただくだけではなく、自分にも酔わないといけないと思うので、まわりのレベルが高ければ高いほど、僕は自分を鼓舞することができます。
何もないことが僕の武器、ニュートラルな状態で飛び込みたい
――Wキャストには稽古で自分の役を客観的にみられるというメリットがありますよね。
相手がいい芝居をしたときに「いい」と言わないプライドって、演劇をやるうえで一番のノイズだと思っています。いいものは「いい」と認めて盗ませてもらう場合もありますし、逆に「僕はこっちの武器で戦うから」と宣戦布告することもある。
その役柄のセリフも抱えた感情も知っているはずなのに、相手が自分とはまったく違う表現をしてきたとき、「なんて贅沢なことなんだ!」と僕はうれしくなるんです。
――平間さんはダンスという武器をもっていますが、廣野さんはどんな武器をもっていますか?
何もないことが武器です。だからこそ、ニュートラルな状態で飛び込んで、全部吸収して帰ろうと思います。
――“マレビト”の仕事は「ヒト様の人生に区切りをつけること」という設定です。これにちなんで、廣野さんが区切りをつけたいことはありますか?
スマホゲームで課金してしまうクセです。最近のことでいうと「ディズニーツムツム」に2週間で約20万円課金し、親からも叱られてしまったので、このクセに区切りをつけたいですね。
――舞台『鋼の錬金術師』に続いて大劇場での主演に抜擢されましたが、環境の変化をどう感じていますか?
責任感は増したと思います。まわりが僕に求めているのは、「この破天荒さで新たな道を切り拓いてほしい」という期待ゆえの起用だと思うんです。
僕自身も「こういう立ち方もある」という新たなスタイルを見せていきたいですし、大人の方たちに「廣野凌大をバックアップしたい」と思っていただけるよう、今後も自分らしく戦っていきます。
役者という職業柄、“言葉”と向き合う時間をたいせつに
――ここからは廣野さんのプライベートについて聞かせてください。オフはどんなふうに過ごしていますか?
ゲームの課金に続いての話になってしまいますが、ギャンブルです(苦笑)。座右の銘が「Life isギャンブル」というくらいで…。
芸能の仕事をしていると、自分の力だけではどうしようもないこともあるし、運も必要。どうにかしてチャンスを掴もうともがいて、そして、うまくいったときに放出されるアドレナリンの量がハンパない。
そういう感覚を研ぎ澄ませるのも大事だし、常にアドレナリンを感じていないとダレてしまって、何もしたくなくなる。喧騒にまみれながら、生きていることを実感しないとダメな性質なんです。
――マイブームはありますか?
これも課金です(苦笑)。舞台上で満たされた後に、その感情を持続するため、手っ取り早く満たされる場所に逃げてしまうんです。よくないことだと自分でもわかっているのですが、なかなかやめられなくて…。
――それ以外に趣味はありますか?
ギターを弾きながら楽曲制作をしています。5月に出演した舞台『Club キャッテリア』の劇中歌を書かせていただいたんですが、好評だったようで、そこに手ごたえを感じつつ、自分で歌う楽曲にも精力的に取り組んでいきたいなと。
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曲をつくるために、活字とはよく向き合っていますね。例えば、芝居のチラシに書いてあるあらすじを読みながら、この漢字にはこういう意味があるといったことを調べては「へぇ~」と感心して。そのインプットが気持ちいいんですよ。
僕らの仕事って、言葉を発して相手に何かを感じとってもらう職業なので、言葉と向き合う時間をたいせつにしています。
今はエクストララウンド、放り出された場所で楽しんでいる
――コーナー名にちなんで“推し”はいますか?
「北斗の拳」のサウザーです。もともとは愛情深い人間だったのが、孤児だった自分を拾い、育ててくれたオウガイを自らの手で葬ってしまったことで、冷酷非情な人間へと変貌する。愛を求めるあまり、愛を捨ててしまったサウザーの姿にすごく惹かれるんです。
――お気に入りの写真は、とてもなじみ深いお菓子ですね。
これはタイで見つけたコアラのマーチです。日本のコアラのマーチと変わらないように見えますが、よ~く見るとコアラがタイの民族衣装を着ているんです。海外にも日本のお菓子が羽ばたいていたことがうれしくて、つい買ってしまいました(笑)。
――今後のビジョンを聞かせてください。
自分が今ここにいること自体がもともとのビジョンにはないもので、“エクストララウンド(延長戦)”というか、想定外の場所に放り出されたまま、そこを楽しんでいる状態です。
具体的なビジョンは考えていませんが、求められる限りはいろんなことに挑戦していきたい。少し前に、飛び込みでやった海外でのライブがすごく楽しくて、もっといろんな国でぶち上げたいと思いました。
今回の『ヴァグラント』では明治座という歴史ある劇場に呼んでいただけたので、誠心誠意取り組むことはもちろん、一方では若者のカルチャーを捨てることなく、面白いものにどんどん飛び込んでいきたいです。
撮影:河井彩美
<廣野凌大 メッセージ>
a new musical「ヴァグラント」
【東京公演】8月19日(土)~31日(木)明治座
【大阪公演】9月15日(金)~18日(月・祝)新歌舞伎座
公式HP:https://vagrant.jp/
公式Twitter・Tiktok:@vagrantjp
新藤晴一note:https://note.com/haruichishindo/
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