さまざまな撮影秘話が飛び出しました。
9月3日(日)の『ボクらの時代』は、吉永小百合さん、大泉洋さん、YOUさんが登場しました。
3人は、公開中の映画「こんにちは、母さん」で共演しています。
吉永小百合が命名!?山田“よーい”監督
東京の下町が舞台の映画「こんにちは、母さん」では、隅田川沿いでも撮影を行ったといいます。
大泉:僕は、屋形船を隅田川でずっと見てるっていうシーンを撮ったの。
吉永:すごい渋い顔してね。
大泉:そうそう。で、そのときに山田洋次監督が、なんかそのへんを歩いてた一般の方をいきなり「あの人がいい」って、エキストラで出したんですよ。
YOU:あ、でも、出てくださったんですね。
大泉:出てくださってる。でも、それなりに演出つけるんですよ。見てて、やっぱりヒヤヒヤしました(笑)。
吉永:うふふ。
YOU:そうですね。なんか失礼ですよね。
吉永&大泉:(笑)。
大泉:失礼っていうことはないんですよ、監督だから。でも普通にいた人が、(山田監督の真似をしながら)「ああ、あの人がいいな。あの人に出てもらおう」って。
YOU:まねしなくていいから(笑)。
大泉:私、まねないとしゃべれない。だけど、「もうちょっと、もうちょっとしっかり歩いてもらって」とか…。
YOU:だから、失礼ですよね、本当にね(笑)。私は、(撮影は)ほとんどセット、スタジオだったんですけど。要するにカメラマンさんと、あと小道具さんだったり、いろんなことが整って「スタート」という現場にしか行ったことがなかったんですけれども、全然こっち(スタッフ)が、わらわらしてんのに、監督、集中して…。
大泉:モニターの前でね。
YOU:ね、見てらっしゃるので。「行こう!」とかおっしゃって。こっち、「えー?」みたいになって。でも、監督が「行くと言ったら、行かねば」みたいな感じで。
大泉:(笑)。
YOU:私も(あわてて)「こんにちはー!」とかって(芝居を)やったんですけど。(吉永さんに)あれは、常日ごろ、ああいう感じなんですか?
吉永:私は、あだ名を監督につけてしまったので。山田“よーい”監督という、そういうあだ名(笑)。
大泉:つまり、僕らがまだ準備できてないんだよね。監督はモニター見てて、突然「よーい!」って言うから。
YOU:いや、本当。本当なんです。
大泉さんは「カメラの前に役者いないんだけど『さあ、行こう。よーい!』って」と語り、吉永さんも「私たちは、それについていかなきゃいけない」とうなずき、笑い合いました。
吉永小百合「どれを使われるのか、役者の選択がない」
YOUさんは、吉永さんに「昔の撮り方、現場の雰囲気とか、きっとだんだん変わってきたと思うんですけど、どういうところが一番変わりましたか?」と尋ねました。
吉永:何よりも、やっぱりデジタルっていうね。
YOU:ああ、そっか。
大泉:要は、昔は全部フィルムですもんね。
吉永:はい。
大泉:特に日本なんてフィルムが高いから、だから昔は本当に、欲しいところしか回さなかったでしょう。
吉永:そうそう。
YOU:ああ。
大泉:カチンコをとにかく少しでも速く引けっていうわけでしょう。フィルムがもったいないから。
大泉さんが「今はデジタルだから、いくらでも撮れちゃう。だから全方位を押さえるような撮り方になる」と分析すると、吉永さんも「だから、どれを使われるのか、役者の選択っていうのがない。役者がどこに力を込めたらいいのかわからない。常にね」と続けました。
その流れで、吉永さんは大泉さんに「映画、お撮りになりたいっていう思いはないですか?」と聞きました。
大泉:いやいや。
吉永:あるでしょう?
大泉:いや、ありますね。お芝居には興味があります。「役者さんのお芝居を撮りたいな」っていう思いは、ありますけど。役者の芝居を撮りたいだけだから、例えば夕日を撮りますだとか、じゃあ最後、このアイスコーヒーを撮ろうかとか、興味がないんで。そうなったときにはもう帰りたいんだけど、そういうのって許されるんでしょうかね?
吉永:許されません(笑)。
大泉さんが「あとは、ちょっと撮っといて」と任せたい旨を伝えるフリをすると、吉永さんから「それは(現場に)いなきゃダメなんですよ、監督さんはね」とたしなめられました。
YOU「お葬式なのにぶち上ってる自分がいた」
吉永さんは、YOUさんとも親交のあった樹木希林さんとの関係も明かしました。
YOU:仲良くなったのは、作品ですか?
吉永:そうです。『夢千代日記』というNHKのドラマで。ずっとシリーズで、何年にも渡ってやったんですね。それで、それを最後、映画で撮ったんですけど、そのときに私が、もうすごくわがままなことを監督さんに言って。それを、希林さんにすごく評価されちゃったんですよ。「あんた、なかなかいいわよ」って言われて。それから本当に、仲良くなったっていうか。
大泉:小百合さんが言うわがままって、どんなわがままなんですか?
吉永:「このセリフは言えない」っていうセリフが…胎内被曝の女性の役だったので「言えません」って監督に言って。でも、監督が「言ってほしいんや」って言う。で、みんなをすごく待たせちゃって。撮影の前にね。「待たされたけど、でも、私、あんたを評価するわ」って、そのときに言ってくれて。
大泉:へぇ、かっこいい。
吉永:そうね。(YOUさんに)お葬式、一緒に、あのときね。
YOU:そうなんですよ。希林さんのお葬式で、たぶんこの距離で初めて(吉永さんに会って)。「やべえ、吉永小百合だ」って。小百合さんの話は、希林さんからよく聞いてたので。ちょっとお葬式なのにぶち上がってる自分がいた。ごめんなさい、希林さん。
YOUさんは「希林さんのおかげで、吉永さんに会えた」と語りました。
大泉洋「YOUさんのように気楽にやれるって究極」
大泉さんは、YOUさんの芝居について思うところを語りました。
大泉:あなたなんて、本当に素晴らしいお芝居をなさるじゃないですか。
YOU:バカにしてるんですか?
吉永:(笑)。
大泉:いや、もう本当にそれこそ、本当に名だたる監督とお仕事をして。どういう感覚で役者のお仕事をなさっているの?
YOU:私は全然、何も基礎もないし経験がないから。ダメだったら「もう1回」って言われんだろうと思ってやって。(監督が)「OK」って言うので「じゃあ、いいんだな」くらいの感じでやっている。
大泉:でも、その感覚でいくのが、それこそ山田監督なんかが言う、「究極の挑み方」というか、役者としての。
大泉さんは、拠点を東京に移す際、北海道のバラエティ番組『水曜どうでしょう』のディレクターから「お前は今まで役者でありながら、バラエティという分野で好きに泳いでたんだ」と、メールをもらったことを述懐。
そこには「いよいよ役者として、東京で役者の仕事をする。ここからは言い訳がきかなくなるから、お前にとっては、なかなかつらい道になると思う」という趣旨の内容が書かれていたといいます。
大泉:それ、すごくわかるわけ。確かに俺は「だって俺、役者だから」って言ってバラエティができると。
YOU:うん。
大泉:だから、気楽にできる。それが「役者」ってなったときに、やっぱり硬くなるっていうの?
YOU:ああ、ああ。
大泉:「役者なんだから、できるよね」ってなっちゃう。だから、なんか、YOUさんのように、どこに行っても、気楽にやれるって、究極だなって思う。
吉永:そうですね。
「こんにちは、母さん」の撮影現場で、山田監督から「『演じる』ということだけに、集中するんじゃない」ということを学んだという大泉さん。
吉永さんも、初めて山田監督の作品に出た際に「『男はつらいよ』だったんですけど、監督からお手紙をいただいて。『とらやに遊びに来るような気持ちで来てください』って書いてあった」というエピソードを披露。
続けて「すごくうれしかった。それをいただいて、なんかもう『そういうことなんだ』って。それを私たちがどういうふうに受け止めるか、難しいんですけどね。でも、楽しいんですよ」と、演じることへの思いを明かしました。
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