現在、東京・六本木の国立新美術館で開催中(~12月11日)の「イヴ・サンローラン展 時を超えるスタイル」。
「モードの帝王」と呼ばれたイヴ・サンローランさんが、2008年に亡くなってから日本では初めての大回顧展で、ルック110体のほか、アクセサリー、ドローイング、写真など262点が一挙公開。
豪華絢爛な美の世界を間近に見ることでモードな気分に浸れるだけでなく、女性のファッションの変革をもたどれる展覧会になっています。
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「イヴ・サンローラン」初コレクションイのランウェイも再現!
サンローランさんはクリスチャン・ディオールさんの急死を受けて、1958年、21歳でディオールのデザイナーとして鮮烈にデビューし、引退するまで40数年にわたって世界のファッションシーンのトップを走り続けていました。
筆者がまず興味を引かれたのは、サンローランさんが16歳の頃に紙の人形とそのためにデザインしたという“ペーパードールのためのワードローブ”。
人形は母親が購読していた「VOGUE(ヴォーグ)誌」から、当時の人気モデルのシルエットを切り出したもので、洋服は刺繍やファー襟まで丁寧に描かれ、帽子やバッグもコーディネートされています。
11点のドールと500点を超える服やアクセサリーを創作し、コレクションのプログラムまで考えていたそうで、この頃からファッションに強い興味を持っていたことがうかがえます。
25歳で自身の(高級注文服である)オートクチュールメゾン「イヴ・サンローラン」を立ち上げ、自身の名前を冠して初めて発表したコレクションは、ランウェイを再現した形で展示されています。
先頭にある紺のピーコートは水兵の作業着から着想を得ていますが、金色のボタンを付け、白のプリーツパンツに、編み込みのミュールを組み合わせ、上品な女性らしさが表現されています。ここから壮大なファッションショーの始まりです。
サンローランさんは、当時は紳士服としか考えられていなかったタキシードなどを女性服にアレンジし、ファッション界を革新しました。ちょうど女性解放運動の機運が高まっていた時期でもあり、パンツルックは女性の自立のシンボルともされたのです。黒の細身のシルエットの凜とした美しさは息をのむほどでした。
サファリ・ジャケット(写真中央)については、音声ガイド(津田健次郎さんが担当しています)の説明が「へえ~」でした。
「ボタンを紐に変え、ベルトをリングにし、裾にはスリットを入れた」そうで、そうして細部を見ていくと、サンローランさんが紳士服や実用服をどう女性的に変化させたのかがわかり、ちょっとファッション通になった気分になりました。
旅に誘われる“異国コレクション”や絵画をオマージュしたコレクションも
「想像上の旅」と名付けられたコーナーは、筆者にとってこの展覧会のハイライトでした。
「これまで経験したもっとも美しい旅行は、リビングのソファでの読書を通じたものだった」というサンローランさんが“机上の旅“をしてデザインした衣装の数々です。
ある部族の彫像からヒントを得たという「アフリカ」コレクションは、おびただしい数のビーズに、木やセルロイド、ライトストーン製の貝殻などが素材として使われていて、髪飾りも彫刻のように立体的で、まさに芸術作品です。
これ以降、サンローランさんは折に触れ、異国コレクションを披露しています。
ロシア、モロッコ、日本、スペイン、中国など、美術品や本から発想を得て想像を膨らませたデザインは素材や色合いなど土地柄を反映し、見ている私たちをまさに旅に誘います。
また、サンローランさんは私たちを旅にだけでなく、絵画の世界にも誘います。
というのも、画家へのオマージュ作品を多数作っているからです。最も有名なのがオランダの抽象画家ピート・モンドリアンの作品から着想を得たミニドレスです。
この「モンドリアン・ルック」はファッションとアートを融合させた試みで、今では一般的ともいえますが、自身のブランドを立ち上げたわずか3年後のこの挑戦は、サンローランさんがいかに早くから広い着眼点を持っていたことがわかります。
ファン・ゴッホへオマージュを捧げたジャケットは、おびただしい数のビーズ、スパンコール、リボンの刺繍が立体感を生み出し、二次元の絵が見事に身にまとう三次元のキャンバスとなっています。
ほかにもピカソ、マティスなど名だたる画家へのオマージュ作品があり、この部屋は写真撮影可能なので、お好きなスタイルをカメラに収めて、後でゆっくり画家の絵と見比べるのも楽しいかもしれません。
展覧会の最後は、ファッションショーでもラストに登場するウエディングドレスですが、定番ではない2着が楽しかったです。
ひとつはずっしりと重そうなかぎ針編みのウエディング・ガウン。ロシアのマトリョーシカを参考にしたとのことですが、顔と手の部分しか空いていなくて、モデルさんはランウェイを歩くのが大変だったのでは?と思ってしまいました。
もう一つはビキニのようなウエディングドレス。こちらは軽そうです。サンローランさんは伝統的なデザインだけでなく、こうした斬新なデザインも積極的に考案していました。
今回の展示には、ご紹介した以外にもファーあり、舞台衣装あり、とサンローランさんの40年がぎゅっと詰まっていました。
「ファッションは時代遅れになるが、スタイルは永遠である」というサンローランさん自身の言葉のとおり、今の時代に生きる私たちが見ても、すべての作品がまったく色褪せていないことに、あらためて驚かされました。
text by=Eiko Katsukawa
©Musée Yves Saint Laurent Paris
<開催概要>
イベント名:「イヴ・サンローラン展 時を超えるスタイル」
開催期間:~2023年12月11日(月)まで ※毎週火曜日休館
開催時間:10:00~18:00
※毎週金・土曜日、12月3日、10日は20:00まで ※最終入場はいずれも閉館の30分前まで。
会場:国立新美術館 企画展示室1E
観覧料(税込):一般 2,300円、大学生 1,500円、高校生 900円
※中学生以下(学生証または年齢の分かるものが必要)は入場無料
※障がい者手帳を持参の方(付添の方1名含む)は入場無料
展覧会公式サイト:https://ysl2023.jp
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