東京・上野の森美術館で開催されている「モネ 連作の情景」(~2024年1月28日)。
フランス・パリで第1回印象派展が開かれて150年目を迎えることを記念する、すべての作品がモネ=100%モネ、という画期的な展覧会です。
アートの魅力を英語で発信するTokyo Art Vibes∞のナビゲーターである佐久間みなみフジテレビアナウンサーがモネの世界を体感してきました。
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「睡蓮」「積みわら」など象徴的な作品もたっぷり!
会場を入るとすぐにあるのが、セーヌ川流域のジヴェルニーにあるモネの自宅の「睡蓮の池」を体験できるゾーン。
光輝く庭園の映像を横に見ながら、足下の睡蓮の上を歩き進むと、水面のようにゆらゆらし、ピタピタと水が揺らぐ音もします。モネの世界への入り口です。
この展覧会の見どころのひとつは、印象派になる前のモネについても知ることができるところです。
「大きいですね~」と佐久間アナが驚いたのは日本初公開の「昼食」(1868-1869年)。後にモネの妻となるカミーユとその息子が描かれています。
当時の最高の市場だったサロンでこの絵が落選したことで、モネは仲間と新たなグループ展を開くことにしたという、印象派が誕生するきっかけとなった作品です。
そのお隣の「ルーヴル河岸」(1867年頃)も今回初来日となった作品で、セーヌ河畔で日傘を差すご婦人やシルクハットの紳士、馬車が行き来する様子が描かれています。
その写実は実に見事で、佐久間アナも「今にも集う人たちの声が聞こえてきそうで、街の活気を感じます」と感嘆しました。
ユニークなのが小さな小屋の乗った舟の絵。陸地からではなく水上から見た風景を描くことのできるアトリエ舟です。この移動式の仕事場で、天気が悪くても描き続けていたそうです。情熱を感じる作品です。
フランス北部ノルマンディー地方のエトルタの奇岩“ラ・マンヌプエルト”を描いた2枚の絵には連作の発想が感じられます。描いた時期に3年の開きがあるものの、対象物は同じで構図もほぼ一緒。
先に描かれた「ラ・マンヌポルト(エトルタ)」(1883年)は波が青黒く砕け散り、岩のアーチの内側だけが太陽に照らされ輝いています。一方の1886年に描かれた「エトルタのラ・マンヌポルト」では波は穏やかで、岩肌は上の方が赤みがかっています。
同じ題材でも、構図の違い、筆使いや色使いの違いで異なる印象を受けることに興味をそそられました。
そして、みなさんもご存じの「積みわら」。この展覧会のテーマ「連作」の手法を体系的に実現した最初の作品です。
モネは自然が好きでしたが、ある風景を描いても、季節や時間が変わると自分が描いた景色と違ってしまうことに限界を感じていました。何枚も描けばそのハードルを乗り越えられることに気づき、それが「連作」につながったそうです。
こちらもご存じの方も多いかと思いますが、ロンドンのテムズ川に架かるウォータールー橋の連作です。曇り、夕暮れ、日没、という時間と天気の違いで、橋の色、空の色、空気の色、川の色、それぞれが異なり、来場者はその変化で、時間と空間を旅しているような境地に陥ります。
最後のコーナーでは、パリの「オランジュリー美術館」に展示されている大装飾画の構想につながったと言われる横幅2mの大きな「睡蓮の池」(1918年)に出会えます。
遠景になるほど光の量が増し、池の片隅に立ち制作するモネの目線と、絵を見る者の目線とが重なると言われ、視覚障害を患いながらも、制作に打ち込んだ晩年の大作の一つだそう。
優しいタッチがモネらしく、見ていると心が癒されます。
「睡蓮の池」はドイツのハッソ・プラットナー・コレクション、隣の「睡蓮」(1897-98年頃)はロサンゼルス・カウンティ美術館と、この展覧会には海外30館以上を含む、国内外40館以上から集められた代表作などが60点以上展示されていて、それぞれがどこの所蔵なのかを見るだけでも楽しめます。
世界各国に散らばっているモネ作品が一度に見られる、この100%モネの「モネ 連作の情景」。「睡蓮」や「積みわら」だけではない、印象派以前のモネの魅力も堪能できる展覧会でした。
text by=Eiko Katsukawa
<開催概要>
イベント名:「モネ 連作の情景」
開催期間:~2024年1月28日(日)
※12月31日(日)、1月1日(月・祝)は休館
開館時間:9:00~17:00
※(金・土・祝日は~19:00、12月24日から日は~18:00)
会場:上野の森美術館
入館料:(日時指定予約制)
平日(月~金)
一般 2,800円/大学・専門学校・高校生 1,600円/中学・小学生 1,000円
土・日・祝日
一般 3,000円/大学・専門学校・高校生 1,800円/中学・小学生 1,200円
展覧会公式ページ:https://www.monet2023.jp
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