お笑いコンビの蛙亭(かえるてい/中野周平、岩倉美里)が、2月21日(日)に単独ライブ「蛙亭単独ライブ ネコの日イヴ」を開催する。コンビ結成から9年、昨年4月には東京へと進出した。
最近では『千鳥のクセがすごいネタGP』(フジテレビ)や『アメトーーク!』(テレビ朝日)、『ダウンタウンDX』(日本テレビ)など多くのテレビ番組に出演するなど、注目されている男女コンビだ。
一度聞くと耳を離れない個性的な声で、「バイト先の先輩」や「元気な青年」といった多くのキャラクターを演じ分ける中野と、学校、会社、マッチングアプリ、婚活パーティなど、さまざまなシチュエーションで中毒性の強いコントを書く岩倉は、今、多くのお笑いファンから、熱い支持を得ている。
今回半年ぶりに行われる単独ライブでは、漫才やコントなどすべて新作ネタで勝負するという。チケットは全席ソールドアウトだが、オンライン配信にて視聴することもできる。
そんな蛙亭にフジテレビュー!!がインタビュー。東京での生活やコンビ結成の裏話、気になる2人の関係やコンビ間の独特なルールなどを聞いた。
<蛙亭 インタビュー>
――昨年4月に上京して以来、多くのテレビ番組で見かけるようになりましたが、東京での生活や仕事はいかがですか?
岩倉:仕事はもう意味わからないくらい増えて(笑)。すごくありがたいです。
生活は、私はルームシェアを始めて4人(岩倉とオズワルド・伊藤俊介、ママタルト・大鶴肥満、森本サイダー)で住んでるんですけど。その生活が、平和で幸せすぎて何も不満がない毎日というか。仕事もいっぱいいただいて幸せで、家に帰っても、伊藤くんとかがご飯作ってくれたりして、最高の日々を送っています(笑)。
――中野さんは、今一人暮らしですか?
中野:彼女と大阪から上京してきまして。大阪にいたときから一緒に住んでたんですけど…2月15日で記念日を迎えて、付き合って7年になります。
岩倉:おえっ(と、わざとせき込む)。
中野:生活面で言うと、1日でも早く幸せにしてあげたいなと思っております。
――中野さんの彼女は、岩倉さんに嫉妬はしませんか?
中野:全然しないですね、ちょっとはしてほしいくらいなんですけど。(岩倉といて)帰宅が遅くなっても心配しないでアプリとかやってますよね。
半年ぶりとなる単独ライブ、しかし台本は…
――単独ライブの「ネコの日イヴ」というタイトルはどこから?
岩倉:ライブの日程が、2月22日なら「猫の日だったのにな」と思いつつも、その前日だったので、勝手に「ネコの日イヴ」と名付けました。中野さんが猫を飼っているので、ポスターに写真も載せられるかなと思って。
――普段、コントや漫才はどのように作っているのですか?
岩倉:コントは電車の中や居酒屋など、自分が普段生活をしている中で「こんなお客さんを中野さんがやったら面白いだろうな」と頭の中で考えるところから始めます。その中で、設定を思いついたら、「中野さんが電車の中でしゃべる」とかメモしておいて、あとでコントにする感じです。
――中野さんは、出来上がったネタを、どれくらい練習するのですか?
中野:ネタにもよりますが、ほぼ練習はしないですね。フリー(アドリブ)の部分が多かったりするので、本番をやりながらアドリブを足していくのが僕の役割というか。
ネタを作る段階ではノータッチなので、今回の単独ライブもそんな感じになるのかなと思います。本番でもフリーとはいえ、出ないときは出ないので、出なかったときに出せるやつ(困ったときのリアクションや動作)は常日頃考えるようにはしています。
――コントを見ていて、すごくお芝居が上手だなと思うのですが、お芝居の練習や勉強はしていますか?
岩倉:全然、芝居の勉強とかはしていないです。
中野:自分では上手いと思っていない(苦笑)。
――岩倉さんは、中野さんに演者としての才能や魅力は感じますか?
岩倉:めちゃくちゃすごいなと思って。何のネタでもできるだろうなと思う、本当に。だから「めっちゃしゃべる人をやって」とか言うだけでやってくれる(笑)。
「すごく元気な人をやって」というと、私が思ってる「すごく元気な人」をやってくれるんで、心強いと言いますか(笑)。「スゲー」と思って。
中野:逆に「無礼な人をやって」とか、自分の引き出しにない、難しいキャラクターをやらされる方が困りますね。
岩倉:でも全然イメージ違いなことをされたら、普通に怒るんですけどね(笑)。
中野:たまんないですよね…(苦笑)。周りの先輩からは、「ネタを披露する2週間前には、台本が上がっている」といった話も聞いて。「2週間前に台本が上がると、出来上がるネタも違うだろうな」とは思うんですけど、その後、2週間みっちり練習するので、それはそれでめっちゃ大変なんだろうなって…。僕には、こっちの方が合ってるかなって思います。
――今回のライブでは、オール新作ネタだということですが、台本はいつ頃上がりそうですか?
中野:ぜひとも聞きたいです。
岩倉:(ライブの)前日…。
中野:1本くらいは、もうできてたりするの?
岩倉:大体はありますけど、まだ。言ってもいいんですけど、まだ言わないです(笑)。
中野「大喜利のコーナーでひとりだけウケていた」
――お2人がコンビを結成したきっかけを、教えてください。
中野:2011年の4月に、それぞれが違うところから大阪に出てきて(中野:岡山出身、岩倉:宮崎出身)。僕は昔から前に出るタイプではなかったんですけど、「NSC吉本総合芸能学院(以下、NSC)に入るからには、変わりたいな」と思っていました。
でも入ってみても変われず、イケイケの同期が授業で前に行っているのを見ながら「まずいな。完全に(今までの自分と)同じルートを行ってるな」と、焦っていました。
相方ができずにいたところ、5月に“相方探しの会”が開かれ、みんなで自己紹介をしたり、ギャグを披露したりしました。そこで、大喜利のコーナーがあったんですけど、ひとりだけウケてる人がいて「すごい人がいるな」と思って話しかけたのが、岩倉さんで。
宮崎から出てきたてで、地味で声が小さくて暗い感じだったんですけど、言ってることは面白くて「なんか持ってそうだな」と思って、話しかけました。
――どんな風に声をかけたんですか?
中野:「面白かったね」って話しかけて。でもそのときは「コンビを組もう」というつもりはなかったんですが、同期の別の男が来て「岩倉さん、面白かったで」と話していたので「あれ、もしかしたらこれ、取られちゃう?」と思い、やっと連絡先が聞けました。そこで「まずい」と思った、オス同士の戦い。それがなかったら聞けなかったですね。
――岩倉さんは当時、中野さんにどんな印象を持ってましたか?
岩倉:私は大喜利の授業の時に見て「全然面白くないな」とは思ったんですけど、中野さんが喋りかけてきたので「この人と組んだら、私のことをずっと面白いって言ってくれるかな」という感じで。
そこからは仲良くなって、ネタとかも見せ合ってました。私は、面白いボケはできるけど、構成はちゃんとできなくて、中野さんは“ボケ0”でまったく面白くないんですけど…。
中野:口、悪いな(笑)!
岩倉:構成はしっかりしてたので「これだったら2人でいいネタを作れるかな」と思って、私から「コンビを組んでください」って言いました。
――ちなみに、岩倉さんの中で相方の候補はいたのですか?
岩倉:私は、同期にいいなと思う人はいたんですけど、その人は他の人とコンビを組んでいたので、じゃあ中野さんでみたいな…(笑)。
中野:巡り合わせで、そんなのも決まってたんですね、元から。
芸人を志したのは「小学生のとき」(岩倉)、「中学3年の進路のとき」(中野)
――そもそも、芸人を目指したきっかけは?
中野:きっかけは中学3年のときに、進路で悩んでまして。家も裕福じゃなかったんで「何もやりたいことがないのに、高いお金出して高校に行かせてもらうのも悪いな」と思って。かといって、「中卒で就職するのも違うな…」とかいろいろ考えてたんですけど。
そんなときにテレビで放送してた『リンカーン』(TBS)を見ていて、ふと「芸人になる人って、芸人になることを決めて、なったんだな」と思って。「なろうと決めればそっちの道に進んでいくんだな」と思って、その日のうちにNSCのこととか調べてました。
気持ち的には中卒で行きたかったんですけど、「さすがに中卒ではうまくいかないだろうな」と思ってグッと堪えて、高校に行かせてもらって、卒業後に芸人を目指した感じですね。
――そのときに見た、番組の内容は覚えていますか?
中野:“リンカーン大喜利”をやってたんですけど。大将、副将とか5人が座布団に座って、先鋒から戦って勝ち抜き戦で。大将が先に倒されたら負けという大喜利をやっていて、「すごいな」と思いながら、見ていたのを覚えています。
そのときに芸人になりたいなと思って。それまでも『ダウンタウンのごっつええ感じ』(フジテレビ)や『笑う犬の冒険』(フジテレビ)、当時は『あらびき団』(TBS)などのネタ番組が好きだったので「あの空間に混ざりたいな」という、漠然とした思いがありました。
――岩倉さんはいかがでしたか?
岩倉:私は小学校のときに、大阪に住んでいた親戚のおばさんにNGK(なんばグランド花月)へ吉本新喜劇を観に連れて行ってもらって。そこで、新喜劇や漫才を初めて観て「なんかすごい。吉本興業に入りたいな」と思って。
そこからもう「吉本に入る」といって、中学生くらいのときにNSCがあるのを知ったので、「高校を卒業したらNSCに行こう」と思ってて。高校を卒業して、入学金を貯めるため2年間バイトをして、20歳のときに吉本に入りました。
――吉本新喜劇の道には進まなかったのですか?
岩倉:きっかけが新喜劇を見たことで、そこからはお笑いを好きになって、次長課長さんやロバートさんのコントや、『爆笑オンエアバトル』(NHK)などを見て「コントとか漫才って面白い。芸人になったらやりたいな」と思ってました。
蛙亭のルール 「(食べ物を)パッて渡したら、全部食べてくれる」(岩倉)
――お2人の中で、なにかルールや約束ごとはありますか?
岩倉:ルールとかあまりないんですけど、私がお腹いっぱいで食べられなくなったものとかは、パッて渡したら全部食べてくれる(笑)。今はこの状況なのでやってないですけど。 炭酸とかちょっと飲みたいときは、ちょっとだけ飲んで「はい」って渡す感じでした(笑)。
中野:岩倉さんは食欲に負けるので、「めっちゃお腹空いてる」と言って、めっちゃご飯を買うんですよ、食べきれないのに。僕はそれを見て「もらえるな」って(笑)。
岩倉:(笑)。
――ひとくちだけ食べたいときとかありますよね。
岩倉:はい。あとは、食べて美味しくなかったらあげる。
中野:美味しくないものなんかないんですよ。
――蛙亭としての今後の目標を教えてください。
岩倉:単独ライブとかも定期的にやらせてもらって、そこでやるネタで、「キングオブコント」の決勝に行けるようなネタを作っていこうと思います。
中野:そうですね、「キングオブコント」の優勝を、デカく1つ掲げたいと思います。
<動画:蛙亭からメッセージ>
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