2月23日(火)26時55分より、フジテレビでは『第3回世界SF作家会議“2121年、世界は・・・・・”』(関東ローカル)が放送される。

また、同日の28時より「会議」の全容を収めた、オリジナル全長版の配信を、フジテレビが運営する YouTube 「8.8チャンネル」にて予定している 。

番組概要>

SF作家の言葉・知性・想像力を武器に、ホモ・サピエンスの行く末を照らし出すTVプログラム、『世界SF作家会議』の最新回。COVID−19との戦いが長期化の様相を見せはじめるAD2021年、作家たちがあえて遠視するのは100年後、<2121年>の青写真だ。ずっと先のことのようでもあり、かといって1000年後ほどには遠い未来でもない<2121年>に、われわれ人類はどこで、何をしているのか?SF作家の想像力に導かれて、100年後の荒野を彷徨(ほうこう)せよ!

<『第3回世界SF作家会議』参加者紹介>

過去2回の「会議」にいずれも参加し、揺るぎないオプティミズムで悩める人類を励ました新井素子。第1回「会議」で、緻密かつ大胆に「アフターコロナ」の未来を描き出した冲方丁。

この2人に加え、第3回には中国SF の旗手として注目を浴びる陳楸帆(チェン・チウファン)、SF という文芸ジャンルの最先鋭をひた走る新鋭・樋口恭介の2人が満を持して初登場。陳氏は、未来都市・上海からリモートでの参戦となる。

新井素子(あらい・もとこ)

AD1960 年生まれ。高校2年生のとき、「あたしの中の……」で鮮烈なデビューを飾る。恐るべき10代から以後43年 、今も大活躍中の日本SF界のレジェンド。自分の生活感覚に根ざしたタフで明快な主張を繰り出し、またその太陽のようなキャラクターで白熱する論座を爆笑の海にたたき込む。代表作に「星へ行く船」シリーズ、「グリーン・レクイエム」ほか。

冲方丁(うぶかた・とう)

AD1977年生まれ。1996年「黒い季節」でデビュー。2003年「マルドゥック・スクランブル」で日本SF大賞受賞。マンガ原作やアニメ脚本も手がけ、ジャンルを越境して活躍。時代小説「天地明察」(2009)、「光圀伝」(2012)でも高い評価と支持を集める鬼才。第1回放送では、パンデミックによる国際社会の断絶を経て訪れる「アフターコロナの第三次世界大戦」の危機を予言した。

陳楸帆(チェン・チウファン)

AD1981年、広東省生まれ。「中国のウィリアム・ギブスン」の異名を持つ、現代中国S Fを代表する若手作家。Googleや百度への勤務を経て、数々の雑誌にSF短篇を発表し、2013年には第一長編「荒潮」を刊行(2020年に日本語訳が発売された)。同作は、巨大なリサイクル企業が支配する近未来の島を舞台にするポスト・サイバーパンク。

樋口恭介(ひぐち・きょうすけ)

AD1989年生まれ。2017年、「構造素子」でハヤカワSFコンテスト大賞を受賞しデビュー。会社員として勤務し、ベンチャー企業Anon Inc.のCSFO(Chief Sci-Fi Officer)も務める傍ら、小説・評論を執筆。2020年には評論集「すべて名もなき未来」が刊行された。フィクションを武器に、現実そのものを更新しようと挑む、最先鋭の作家である。

<VTR参加者紹介>

さらに、第2回「会議」に引き続き、世界各国のSF作家たちがビデオメッセージで「VTR参加」する。「三体」の劉慈欣(りゅう・じきん)、「紙の動物園」のケン・リュウ、27歳の新星キム・チョヨプという3人が想像する〈2121年〉の明日はどっちだ?

劉慈欣(りゅう・じきん/リウ・ツーシン)

AD1963年中国生まれ。「三体」で人気が爆発し、3部作が全世界で2900万部以上を売り上げる。2015年、アジア人作家として初めてSF最大の賞「ヒューゴー賞」を受賞。オバマ元米大統領をはじめ、世界中に多くのファンを持つ。第1回・第2回の「会議」では、宇宙人の到来/宇宙からの災害という〈危機〉に立ち向かうためのテクノロジーの必要を説き、人類への警鐘を鳴らした。

ケン・リュウ(Ken Liu)

AD1976年中国生まれ。2002年デビュー。代表作「紙の動物園」(2011年)でヒューゴー賞・ネビュラ賞・世界幻想文学大賞を受賞。短編執筆の傍ら、劉慈欣の「三体」シリーズをはじめとする中国S F小説の英訳も精力的におこなう。第2回「会議」で公開されたビデオメッセージでは、精緻でありながら明るくオプティミスティックな「ポスト人類」論で未来への希望を喚起し、人類を勇気づけた。

キム・チョヨプ(김초엽)

AD1993年韓国生まれ。韓国科学文学賞を受賞した表題作を含むデビュー作「わたしたちが光の速さで進めないなら」(2019)がベストセラーに。2020年には日本語訳が発売され注目を集める。自身の身体感覚から出発し、「私たちの感覚の外にあるもの」による人類滅亡のビジョンを導き出した第2回「会議」での発言は、一つひとつの描写と論理の確かさによって人類の共感を集めた。

<司会/番組顧問紹介>

第1回・第2回に引き続き、「会議」の司会は日本TV界最大の知性・いとうせいこう、番組顧問は日本SF界の重鎮・大森望。

いとうせいこう

AD1961年生まれ。作家・クリエーターとして、あらゆるジャンルに渡る幅広い表現活動を行う。小説「ノーライフキング」「想像ラジオ」のほか、エッセイ「ボタニカル・ライフ―植物生活―」などの著作がある。近作に、「小説禁止令」が発布された近未来が舞台の「小説禁止令に賛同する」(2018)、「夢七日 夜を昼の國」(2020)。

大森望(おおもり・のぞみ)

AD1961年生まれ。SF翻訳家、書評家、アンソロジスト。劉慈欣「三体」など訳書多数。新刊時評・アンソロジー編纂などのSF評論活動も旺盛に行う、日本のSF界のオーガナイザーである。「2010年代SF傑作選」(伴名練との共編)をはじめ、傑作SFアンソロジーを多数編さん。2020年には、アンソロジー「ベストSF2020」、最新評論集「21世紀SF1000 PART2」を刊行。

<挿し絵紹介>

今回も、気鋭の漫画家・森泉岳土が番組に「挿し絵」を提供。作家たちの想像力と、美しく繊細な「挿し絵」の融合による〈2121年〉のビジョン。 さらに、異才・大橋裕之が「100年後の世界」をテーマに描き下ろした新作も登場。

森泉岳土(もりいずみ・たけひと)

AD1975 年生まれ。特異な画風で、世界を静謐(せいひつ)にデリケートに描き出す漫画家。著作に「祈りと署名」「セリー」、文学作品を漫画化した「村上春樹の『螢』・オーウェルの『一九八四年』」などがある。2020年には作品集「爪のようなもの・最後のフェリーその他の短篇」を刊行。「世界SF作家会議」には美しい「挿絵」とタイトル画を提供し、この番組のビジュアル表現を担う存在である。

大橋裕之(おおはし・ひろゆき)

AD1980年生まれ。きわめてシンプルかつ奔放な線によって、オフビートな異世界を出現させる漫画家。代表的な著作に「音楽と漫画」、「シティライツ」「ゾッキA」「ゾッキB」など。2020年には、漫画を原作にした映画「音楽」が公開された。さらに、2021年春には、映画「ゾッキ」が公開予定。各界の支持を集める異才が想像する〈2121年〉とは、果たしてどんな未来なのか?

<サウンドトラック紹介>

大橋裕之の書き下ろし漫画作品の声優としては、オシリペンペンズの石井モタコ、トリプルファイヤーの吉田靖直が参加。そして、漫画作品のサウンドトラックは、SF作家としての顔も持つ大物ミュージシャン、難波弘之が担当。

石井モタコ(いしい・もたこ)

AD1980年生まれ。1999年大阪で結成のバンド・オシリペンペンズでボーカルを務め、ラディカルな楽曲とパフォーマンスで関西のロックシーンをけん引。レーベル「こんがりおんがく」の運営、イラストレーションの提供、山下敦弘監督の映画「ハード・コア」(2018)への出演など、ジャンルレスに活動。オシリペンペンズとしての近作に、「クリスタルボディ」(2017)がある。

吉田靖直(よしだ・やすなお)

AD1987年生まれ。2006年、早稲田大学在学中にトリプルファイヤーを結成。同バンドのボーカルとして、内省と笑いに満ちた特異なポップスを世に送り出している。近年はそのパーソナリティが注目を集め、俳優としても活動を展開。トリプルファイヤーとしての近作に、「FIRE」(2017)。今年2月には、自叙伝「持ってこなかった男」が刊行される。

難波弘之(なんば・ひろゆき)

AD1953年生まれ。大学在学中よりバンド活動を始め、1975年、金子マリ&バックスバニーとしてプロデビュー。キーボーディストとして山下達郎、吉田美奈子などの作品に参加しながら、プログレ・バンドSENSE OF WONDERでも活動。SF作家としての顔も持つ。ソロ作品「センス・オブ・ワンダー」(1979)は、SF作品とその作家に捧げる楽曲で構成されたコンセプト・アルバム。

また、今回も音楽家・牛尾憲輔のオリジナルサウンドトラックが、聴覚から〈2121年〉の想像力を刺戟する。

牛尾憲輔(うしお・けんすけ)

音楽家/プロデューサー。ソロユニットagraphでの活動の他、電気グルーヴのサポートメンバーとしても活躍。Netflixにて全世界独占配信中の『日本沈没2020』をはじめ、数多くの映画・アニメの劇伴を手掛ける。2010 年のアルバム「equal」には SF 作家・円城塔が書き下ろし短編を寄稿。

黒沢清が語る やくしまるえつこ『わたしは人類』特別編集版”も放送

前回の放送で宮崎夏次系の漫画作品の声優と劇中曲を務めたやくしまるえつこ。アーティスト兼プロデューサーとして「相対性理論」など数々のプロジェクトを主宰するほか、音楽から現代アートまで領域横断的な芸術活動を展開。生体データや人工衛星なども駆使し、SFマガジンでの連載・特集も行われている。

2016年には、バイオテクノロジーを用い、〈人類滅亡後の音楽〉をコンセプトにした作品「わたしは人類」を発表、25億年以上前から地球上に生息する微生物の塩基配列を基に音楽を制作し、さらにその音楽情報を遺伝子組換え微生物のDNAに保存した。

この遺伝子組換え微生物「わたしは人類」は、半永久的に自己複製し続けることが可能であり、やくしまるは「いつか人類が滅んだとしても、人類に代わる新たな生命体がまたその記録を読み解き、音楽を奏で、歴史をつなぐことになるだろう」と語る。

この作品は、ポストヒューマンへと歴史をつなぐ芸術として国内外で話題を呼び世界各地で展示され、2020年東京・森美術館での展示の最中にCOVID-19パンデミックが発生、その予言的側面にも注目されている。

このたび「わたしは人類」をパンデミック直前に体験した、日本を代表する映画監督である黒沢清がその魅力について語る「特別映像(90秒特別編集版)」が「会議」宛てに来信。

相対性理論のミュージックビデオも監督し、「スパイの妻」でヴェネツィア国際映画祭・銀獅子賞を受賞したばかりの黒沢監督がいま、コロナ禍の中で語る言葉とは。

やくしまるえつこ

アーティスト兼プロデューサーとして「相対性理論」など数々のプロジェクトを主宰。音楽・アート・テクノロジー・文筆・朗読など、スケールの大きい、パースペクティブの広い、クロスジャンルな芸術活動を独自に展開する。「SFマガジン」での特集や連載も。2016年には“人類滅亡後の音楽”をコンセプトとした作品「わたしは人類」を音源と遺伝子組換え微生物で発表、世界最大の国際科学芸術賞アルスエレクトロニカ・STARTS PRIZEグランプリを受賞。その独特な「SF的なセンス、としか言いようのないセンス」で、時空や次元や意味を、平然と行ったり来たりする。

黒沢清(くろさわ・きよし)

AD1955年生まれ。映画監督。大学在学中から8ミリ映画を撮り始め、1983年商業映画デビュー。代表作に「CURE」「アカルイミライ』」「トウキョウソナタ」「岸辺の旅」など。最新作の「スパイの妻」でヴェネツィア国際映画祭・銀獅子賞を受賞。

<「8.8チャンネル」概要>

中心ではなく周緑から、カルチャーは生まれる。文化と文化の境目から、カルチャーは生まれる。8チャンネルよりも、0.8はみ出した場所から9チャンネルよりも、0.2おさまった場所から展開する架空の放送局的な存在。

URL: https://www.youtube.com/channel/UC6tqmjWZpM2UFfG6QBdl1aQ