舞台「ぼくの名前はズッキーニ」のゲネプロが2月27日(土)、東京・よみうり大手町ホールにて開催。その後、囲み取材が行われ、主演の辰巳雄大(ふぉ~ゆ~)、川島海荷、稲葉友、平田満、脚本・演出のノゾエ征爾が出席した。

本作は、2002年にフランスで発刊されるや世界中でベストセラーとなった小説を、世界で初めて舞台化。孤独な少年・ズッキーニが厳しい現実の中でも前を向いて生きようとする姿を描く。

主人公・ズッキーニを演じる辰巳は、「ものすごい濃密な稽古を重ねた上で、皆でここに立てていること、明日、初日を迎えるられることにホッとしています」と安堵した表情を見せ、「この作品を1人でも多くの方に届けられることに胸が躍っています」とニッコリ。

ズッキーニが養護施設で出会う少女・カミーユ役の川島は「明日公開という実感はまだないんですけど、このメンバーで稽古を重ねて、遠回りをしながらもこうやって1つの作品を作り上げられたのはうれしいです。これからも毎日変わっていくのかなと思うので、その舞台の楽しみを感じながら日々過ごしたいです」と爽やかな笑み。

また、養護施設でズッキーニが仲良くなるシモン役の稲葉は「皆さんに見ていただけるのが楽しみだと思える作品になっているので、早く届けたいです」とはにかみ、警察官役の平田は「いろんなものが詰まってる作品。歌ったり、踊ったりもしますし、社会的なことなど、いろんなことを考えられると思います」とアピールした。

脚本・演出を務めたノゾエは、「開幕できることが感慨深いです」と感極まっている様子。また、本日のリハーサルが劇場での初めての通しだったと言い、「もうちょっと修正して、明日はいい初日を迎えられると思っています」と胸を張った。

今回、辰巳、川島、稲葉は6歳の子供役。34歳の辰巳は「自分の愛してる演劇をやらせていただいてるなと実感しながら稽古してました」と振り返り、「スタートから終わりにかけて、どんどん自分たちで作っていく感が強い作品。僕にとってターニングポイントになる作品になるんじゃないかなと思います」と難役にも手応えを感じている様子。

役作りはいろいろ考えたそうで、「稽古の最初の方は、逆に子供らしくし過ぎてしまって。稽古をやりながらいらないものを排除していくことで、子供っぽくなってきました。今の僕らはすごく飾ってしまってるんだなと感じましたね」としみじみ。

また、6歳の姪っ子の動画を役作りに活かしたと言い、「みんなに見せたりして(笑)。姪っ子の無邪気な一言は勉強になりますね。コンサートを見に来てくれたことがあって、そういう時は『ゆうくん、かっこいい』と言ってもらえるんですが、あの素直に人を褒めれられる、言葉に混じりっけない一色の色で届けてくれる言葉の出し方は参考になりました」と打ち明けた。

川島は「私は見た目が子供なので、逆に恥ずかしいです。この舞台中、27歳になるんですけど、『すごい似合ってる』って周りにいっていただけるので、それを自信に頑張りたいです」と苦笑いしつつも、意欲十分。

デビューから15年経つが、「数えると恐ろしいですが、今回、6歳で頑張りたいと思います」と意気込むと、辰巳が「15年?」と川島の芸歴の長さに驚き。川島は話を広げようとする辰巳に「やめてください」と制するも、辰巳は「大丈夫大丈夫!俺22年だから」と満面の笑みで返答。稲葉がすかさず「ベテランばっかりじゃないっすか」とつっこみ、笑いを起こしていた。

同じく6歳の子供役に挑戦した稲葉は「最初はいろんなアプローチの仕方があるなと思いながらやってました」と振り返り、「僕が演じる役は、自分を守るためにちょっと斜めな思考回路がある子で。ちゃんとやってたら、お客さまたちが6歳にしてくれるかなと。逆に期待して飛びこんでいこうと思ってやっています」と心境を告白。

また、子供らしくするためにチークをつけていて、辰巳と稲葉は楽屋でチークの濃さを研究しているそう。稲葉は「川島さんがチークブラシでやるより中指でやった方がいいよって教えてくれた」と明かすと、辰巳は「そうなの!?教えてくれなかった。俺、ずっとブラシでやってる」とぼやき。

それに対して、川島から「だってチークブラシ握りたいんでしょ!?」と返されると、辰巳はそれを認めながら「仲良くチークを塗っているのを、平田さんに見守ってもらっています」と笑顔で明かしていた。

今回、セットが大きな黒板になっていて、演者たちが絵を描いていくという変わった演出に。辰巳は「ノゾエさんが『ブレーキかけず、まず描いてみましょう』と言ってくださって。思ったことをまず描いていくってところから始まりました。チョークの粉まみれになった稽古着が思いです」としみじみ。

本番も絵の要素は決まっているものの、やっていく中で変わっていく可能性もあるそうで、辰巳は「お芝居もその日その日で全く違って、もう1回同じことやるのは不可能だと思うんですけど、絵も気持ちで変わってくので、自分たちも見たことのない絵が毎回完成されていて。1公演1公演、全く違う景色になるのかなと思います」と期待。

また、絵心について聞かれると「たっぷりです」とニヤリ顔で答え、「自粛期間中は、アクリル絵の具を始めて。去年、片岡鶴太郎さんとお仕事させていただいた時に、絵のことを教えていただいたんですけど…描けなかったですね」と苦笑いしながらエピソードを披露した。

さらに、自分の子供っぽいなという一面を明かす一幕も。辰巳は「子供っぽいなっていうのがコンプレックスなくらい、自分のことを子供っぽいと思う」と口にし、「好きなものができてしまうと、のめり込んでしまったり、楽しいことが起こってると、そこに足を運んでしまいます」と告白。

また、「今はブリーフをはくことに熱中してます。皆さんがトランクスやボクサーパンツをはくようになって、みんなと一緒なのやだなと思って。色は黒なんですけどね」とぶっちゃけると、川島から「どういうテンションで聞いたらいいのか…」とこぼされ、「すみません!」と照れ笑いを浮かべていた。

一方、川島は「自分の感情がすごい顔に出ます。不機嫌なときや喜んでるときは分かりやすいですね」といい、「もっとちゃんと隠せる大人になりたいです」と苦笑い。

辰巳と稲葉もそれに同意。辰巳が「初めてご一緒したんですけど、かわいい川島さんが、たまにヤンキーっぽい歩き方してるのを発見した」と暴露すると、「やめて、隠してたんだから~。それは素です」と恥ずかしそうにし、笑いを誘っていた。

最後には、辰巳が「僕たちも少なからず養護施設に詳しい方にお話を聞いて、登場人物たちのことを深く知ろうと努力しました。演劇はフィクションだと思いますが、この中に生きている子供たちが闘ってるところに嘘は全くなくて、こうやって闘ってる子供たちがいるのを深く実感しました。登場人物たちが前を向いて笑顔で生きていて、たくさんの愛が詰まった作品だと思いますので、一人でも多くの方にこの作品を届けられたらいいなと思います」とアピールし、締めくくっていた。