2019年、高岡早紀が“恐怖の純愛モンスター”雨宮リカを演じ、世間を震撼させたオトナの土ドラ『リカ』。そのリカ誕生の物語『リカ~リバース~』が、明日20日からスタートする。
高岡が本作で演じるのは、リカの実母・雨宮麗美(あまみや・れみ)。麗美は、美しく完璧な妻であり、双子の娘・結花(山口まゆ)と梨花(田辺桃子)の母。夫・武士(小田井涼平)はクリニックを経営する外科医という、誰もがうらやむような家族を持つ。しかし、実態は、嘘と嫉妬、愛憎にまみれた見せかけの家族で…。
五十嵐貴久の人気サイコスリラー小説「リカ」シリーズの中から、リカの幼少期を描いた原作「リバース」を“エピソードZERO”としてドラマ化。
いかにして“純愛モンスター”リカが生まれたのか?「前作をご覧になった視聴者は、『母親から虐待された』というリカの言葉を信じているでしょう?でも、本当のリカはどういう人物なのかが解かれていきます」と高岡が語るように、驚がくの展開が待ち受ける。
モンスターを産んだ母とモンスターの娘、その二役を演じた高岡に、本作の魅力や役作り、共演者について聞いた。
<高岡早紀 インタビュー>
──前作『リカ』の好評が、本作『リカ~リバース~』につながったと思います。高岡さんの耳には、前作についてどのような評判が届いていましたか?
「雨宮リカ、28歳です」というキャッチーなセリフが、みなさんのツボにハマったようで、そこから、「この主人公は、冗談なのか、真剣なのか、なんなんだ?」と興味を持っていただけたようです。
見てくださった知り合いの方たちは、「そういう役を演じる早紀ちゃん、おもしろすぎる!もうサイコー!」と言ってくださる声が多かったですね。
その一方で、私が何気なく言ったひと言に、「リカみたいで怖い!」と言われたり(笑)。どちらにしても、衝撃的な役柄だったということを感じました。
──本作では、リカの母親役を演じます。それを聞いた時のお気持ちを教えてください。
純粋におもしろいなと思いました。自分が演じた役の母親役で違う作品に出ることは、なかなかないじゃないですか。リカを演じていた私としては、リカを産んだ母親として責任を取れるので、最高にありがたいことです。
そして、母親をやらせていただくことによって、さらにリカとしての深みを自分で作ることができる。とてもおもしろいことだと思います。
──ということは、麗美の役作りにおいては、いつもとは違いましたか?
そうですね。ただ、原作がしっかりしていますし、逆にいうとリカができあがっているので、それとは重ならないように。とにかく台本に忠実に、原作を壊さないようにおもしろくできればいいなと思いました。
母親として、麗美に共感できることは多い
──麗美は、表向きは美しく優しい母親ですが、リカが誕生した原因を作った人物です。演じる上で、芯となるもの、もっとも大事にしたことは何ですか?
それは、リカに受け継がれているものですけれども、“幸せになりたい”ということ。家族みんなで幸せに過ごしたい。ただそれだけなんです。麗美は、とても切なくて悲しい人だと思います。
──麗美を演じていて、彼女を理解できるなと思ったところはありますか?
麗美は、娘たちを愛している気持ちがとても強くて、娘たちが幸せになるためには自分がいろいろなことをどこまででも背負って、守りたいと思っているんです。そういう気持ちは、母親として共感できるところですね。
そして、麗美は“自分たちが幸せになるためにはこうあるべきだ”という気持ちが、人よりも強いんです。テストでも100点満点じゃなければいけない、と思っているから、娘のテストの点数がちょっと悪いとピリピリしてしまう。“こういう育て方をする”という目標があるから、“そうじゃなきゃいけない”という考えになるのでしょうね。
私は、そういうふうに育てているわけではないので、100点じゃなくてもいいし、98点取ってきたら、「ママは98点なんか取ったことない。スゴイわね!」と大喜びしますけど(笑)。
──リカのキーワードは“純愛”でしたが、麗美もピュアゆえに壊れていくのでしょうか?
麗美も純愛です。旦那様に対しての愛もそう。だから、“ゆえに”なんです。でも、リカは狂気ですけど、麗美は狂気ではないんです。そこが、本作のおもしろさで、後々リカにつながっていく謎解きがあったりするんです。
たとえば、前作で、「母親に虐待されたから、私はこんなふうになってしまった」というリカのセリフがありましたが、視聴者はリカの言葉を信じているでしょう?でも、続編ではリカが本当はどういう人物なのかが解かれていきます。
──双子の娘役の山口まゆさんと田辺桃子さん、旦那様役の小田井涼平さんとの共演はいかがでしたか?
フランス人形のような梨花(田辺)と、日本人形のような結花(山口)。華やかさと奥ゆかしさという対照的な雰囲気を、彼女たちはとても上手に演じてくれました。まさに、リカになるべき要素をしっかりと目の奥で表現していたなと思います。二人は、普段でも対照的で、キャスティングもすごくよかったと思います。怖い感じは、とてもよく出ていると思います(笑)。
小田井さんは、かつて昼ドラ『真実一路』(2003年)でご一緒した時もダメダメな男性役でしたが、今回もダメダメぶりがとても似合っていました(笑)。表向きは素敵な家庭を持つ開業医ですが、裏では浮気ざんまいですから。麗美や娘たちに囲まれて、いたたまれない感じは、よく表現されていました。
──『リカ』を上回る怖さとの評判ですが、本作の見どころをお願いします。
前作では、リカが絶対的にかき回していました。今回は、もう少しサスペンス色が強い感じです。
リカの母親である麗美が主役ですし、彼女はすごく恐ろしい母親なんだろうとか、きっと何か企んでいるのだろうと思われがちですが、家族やそれ以外の人物の“この先どうなるのだろう?”“この人がこんなことを?”という人間模様が次々と描かれます。目線の絡み合いなどでも表現しているので、次がどうなるのか待ちきれない作りになっています。
コロナ禍のため、家で家族と過ごすことにすっかり慣れてきて、今やそれが当たり前になっているじゃないですか。家族とより深い絆を持てたり、家族と一緒にご飯を食べたりできることは、私にとってはいい時間だと思っています。だから、ぜひ、みなさんもお家でテレビを見てください(笑)。
撮影:今井裕治