3月24日(水)24時55分より、フジテレビでは、第32回フジテレビヤングシナリオ大賞『サロガシー』(※関東ローカル)が放送される。

サロガシー(代理母出産)やLGBTを描いたこの作品で、ゲイである兄のために代理母として妊娠出産することを決意する、センシティブな主人公・江島環を、ドラマ初主演となる堀田真由が熱演。

ゲイである兄・江島聡を細田善彦、そのパートナー・水野圭人に猪塚健太、兄の元恋人の医師・西岡麻友を松本若菜。環の同僚でよき理解者・野池幸四郎に田村健太郎、環が女性性に抵抗感を抱くきっかけを与えた母・彰子に宮田早苗、父・忠に井上肇。そして、環の会社の先輩・神谷晃を斎藤工が演じる。

撮影を終え、番組に共感したキャストから熱いコメントが到着した。

細田善彦 コメント>

「実の妹に代理出産を託す同性愛者の役」と聞いた時は、正直、僕にどこまでできるのか不安でした。ですが共演経験のある堀田さん、松本さん、さらには、以前にも同性パートナー役としてご一緒させていただいたことのある猪塚さん。

こんなに心強く素敵な方々とご一緒させていただけるのならば、あとはみなさんからいただくエネルギーに素直に反応しながら、聡というキャラクターに寄り添っていけたらと思いました。

サロガシーという言葉は聞き慣れない言葉かもしれませんが、脚本の的場(友見)さん、監督の清矢(明子)さん、主演の堀田さん、三人の女性が代理出産をする環の心を丁寧に描いています。

環の決断、そして環を取り巻く家族の心の機微を、みなさんにも温かく見守っていただきたいです。ぜひ、お楽しみください。

田村健太郎 コメント>

僕の役は、環の同僚の野池という男性です。参加するにあたって、環のこと、野池のこと、野池から見た環のことなど、いろいろ考えました。ですが、いざ現場で堀田さんが演じる環を目の当たりにすると、男性である自分がイメージしきれていない“痛み”や“思い”があるんだと感じました。

そして、少しでもわかった気でいた自分への恥ずかしさも。だから、この作品に耳を傾けよう、そうすれば多くのことに気づけるかもしれない、という希望を持って演じました。みなさまにとっても、この作品が今よりも広い場所への入り口になることを願っております。

猪塚健太 コメント>

この作品の脚本を読んだ時、幸せのかたちというものは本当に人それぞれバラバラで、でもそれを知り、考えることもまた大切なことだということを改めて感じました。

環、聡、そして僕が演じさせてもらう圭人の3人も、それぞれが悩み、葛藤し、そして共に決断をしてこの物語の冒頭に繋がっていきます。ドラマでは描ききれない、そんな背景も大切に演じられたらと思っています。

このドラマを見て、「自分や、自分の大切な人の幸せってどんなことだろう?」と、一瞬でも心のどこかで感じてもらえたら素敵だなと思っております。

松本若菜 コメント>

最初にこのお話をいただいた時、アメリカの61歳の女性が息子カップルのために代理母となり出産するというニュースを思い出しました。その時は、「究極の親子愛だな」くらいにしか思っていませんでしたが、この脚本を読んで、その愛情の中にはさまざまな苦しみや葛藤があったのだろうと考えるようになり、ぜひとも影で支えた麻友を演じたいと心から思うようになりました。

今回は、共演経験のある方が多く不思議な安心感がありましたが、現場に入るとその安心感は、さらなる信頼感へと変わっていきました。特に堀田さんの芝居根性は素晴らしく、出産シーンでの演技は必見です。

脚本家・的場友見さんの生み出した『サロガシー』。みなさまの心に深く残る作品になっていると思います。ぜひ、お楽しみに。

井上肇 コメント>

「サロガシー」。初めて耳にする言葉でした。調べてみれば、「代理母出産」のこと。しかし現代社会でその意味合いは、もっと深いものがあるようです。

今回のドラマは、“究極のサロガシー”。妹が同性愛者である兄の代理母になるという…。その父親としてこの現実をどう受け止めるのか、そして家族としてどう向き合っていくのか、役を演じる上で本当にいろいろ考えさせられました。

撮影に入り、芝居を重ねていくことで、家族それぞれと感情をぶつけ合い、また家族への思いを共有することができたように思います。この究極の“サロガシー”は、究極の“家族のドラマ”でもあるのです。

宮田早苗 コメント>

妊娠することも、出産することも、子どもを育てることも、答えがあるわけではないし、一人ひとりの思いや決断、そしてそこに、倫理的に…などという意見も入ってきたりすると、いよいよ複雑になる。だからこそ、物事を広く捉え、疑問や選択を繰り返し、違うということを許容できたら…。

ドラマを通じて、彰子として、一個人として、迷いながら改めて考えてみたいと思います。

斎藤工(友情出演)コメント>

――今回、友情出演を決めた理由は?

そんな偉そうな立場ではまったくありませんが、数年前から自分の監督作の現場では、極力「託児所」を設けています。出産・育児という希望に満ちたタイミングで、映像業界で働く女性が現場から離れてその多くの才能が現場から失われることは、業界として損失だとかねてから思っていました。

海外の映像業界の体制では、家族が休憩時間に訪れたりと、スタッフ、キャストのプライベートも当たり前に守られている場面を目撃してきました。日本には日本の事情がありますが、その変わるべき変わらぬ体制には疑問を持っていたので、小さくとも行動することで少しずつでも何か変わっていくといいなと思っています。

また、去年から児童養護施設のドキュメンタリーを作るために、とある施設に時おり通っています。そんな私事と作品の内容が少し重なって、必然的な流れで出会わせてもらったと思っています。

――大賞作品を読んだ印象は?

大型のドラマや映画は、準備、撮影、仕上げ、そして届けると数年掛かりなので、でき上がった時に時代との誤差が出ることがあると思うのです。

『サロガシー』は、今作られ、今発表されるべく、数年前だと生みだされなかったドラマだと思います。本を読ませていただき、2021年の今だからこそ生まれる必然性がある作品だなと感じました。

――今回は、女性を特別視して環と対立する役どころ。演じてみていかがでしたか?

そうですね。個人的には、女性蔑視と同時に、過度な女性へのケアということも、なんだか逆差別という気がしていて。そのバランスがすごく難しいですよね。部分的に切りとられたら、差別的になってしまうこともあるのだと思います。

――視聴者のみなさんへメッセージをお願いします。

この作品を一言でまとめることは難儀ですけれど、ヤンシナはとても素晴らしいプロジェクトで、より最前線で本質的なテーマに迫っているのが今回の『サロガシー』なのだと思います。

僕は血縁関係だけが家族じゃないと強く思っていて、それ以上に命が紡がれていくことに思いを馳せます。そして “進化に向かう”のが、本能的な僕らのミッション。

この作品は、そこに大きな選択肢を与えてくれる。誰かがその選択肢によって大きく救われることを期待したいなと思います。ただ、やはりドラマはエンターテインメントなので、主人公の環さん含めて、キャラクターたちの生きた時間というのを気軽に楽しんでいただけたら。何が残るかは、見てくださる方次第だと思うので、気軽に楽しんでいただきたいです。

<あらすじ>

建築士として現場で働く独身の江島環(堀田真由)は、同性愛者である兄・聡(細田善彦)のために、代理母出産(=サロガシー)することを決意する。

妊娠4ヵ月を過ぎた頃、事後報告として両親に妊娠の事実を告げる。

「お兄ちゃんの子」だと言う環に両親は取り乱し、父親は聡に殴りかかる。そこで初めて聡は「俺はゲイだ!」と告白。環は、兄のパートナー・水野圭人(猪塚健太)の精子と自分の卵子で、二人の子どもを代理母出産するのだと説明する。

幼い頃から兄ばかりかわいがり、環の女性性に過剰なほどの嫌悪感を見せてきた母親は、理解できないと詰め寄り、環の反発心はますます強まるのだった。

兄妹は、兄の元彼女・西岡麻友(松本若菜)が医師を勤める産婦人科に二人で通う。当初、麻友は元カレに「妹が俺の彼氏の子を妊娠した」と言われとまどったものの、その生き方に理解を示し二人を応援するように。しかし、母子手帳の“お母さん”の名前欄はずっと空白のまま…。

一方、聡は、産まれた子どもを引き渡す時の妹の心理的負担を考え、環の母性本能の目覚めを心配していた。

仕事を続ける環。会社の先輩・神谷晃(斎藤工)を中心とした男社会と対立し悔しい思いをすることもあるが、同僚の野池幸四郎(田村健太郎)は、そんな環の良き理解者として見守るのだった。

そして、妊娠9ヵ月を迎えたころ、環は切迫早産で倒れ緊急入院してしまう…。