<コラム>フジテレビ『知ってるワイフ』最終話

運命ってさ…、

引き寄せられる、運命と、

引き寄せる、運命が、あるよね…。

くぅ~!決まったぜ、俺!!

申し訳ございません。最終回、あまりにも美しいエンディングを迎えたもんで、ついつい自分もカッコつけてしまいました。

…うん、だけど、ごめんなさい。カッコつけたとか言いましたが、本当は、全然カッコつけられてませんでした。なぜなら、これまでずっと、“引き寄せられる”運命に翻弄されてきた元春(大倉忠義)が、ようやく自ら、運命を“引き寄せる”べく、動いた、終盤の、“あのシーン”…。

(案の定、長々、振り返ります…)うんうん、元春、ようやく自分の運命と向き合い、そして立ち向かいにいってる!なんて胸熱!そう!それこそが主人公の成長!!なんてドラマティック最終回!!…“あおい銀行”の前、決意の表情を見せる元春…その時…あの男…あぁ、あの激動の日々はいつだったか…それはもちろん第8話から第9話にかけての“マラソン大会事件”…あんとき、あまりの興奮に、“!(ビックリ)”と、“ー(音引き)”で原稿埋め尽くしてたな…懐かしいな…そう!その張本人!!俺たちの津山(松下洸平)!!元春の前を通りがかる…え、この津山は、自らのイケメン具合に囚われていない、“イケメン地獄沼”以前の津山?どの段階の津山?…とかツッコんでる間に、その世界線では出会ったことのないはずの元春に、突然、馴れ馴れしく呼び止められる…ってときの返し「すみません…。人の顔覚えるの得意なんですけど(テヘ)」っていう、(テヘ)!この一瞬、ほんの一瞬の、セリフに付属される(テヘ)!!にすらイケメン地獄炸裂!!尚且つ、急いでる風なクセして「セミナー、またあるんすよ」的な感じでパンフレットまで手渡し、トドメに、“この人(元春)、どこかの世界線で会ったことあるような…”的な、ネットリ、じっとりな、ミステリアスイケメンフェイス!!マキシマムイケメン地獄津山!!!もう、あまりのイケメンさりげなさ、イケメン間違いなさに、笑っちゃったよな!!そして、この世界線での津山は“あのタクシー”で空港へ向かい、双子ちゃんがいる…ケチャップをワイシャツのありえないとこにつけちゃうような、ハートウォーミングファミリーがいる、そんな津山…それはもうイケメン地獄ではないよね!イケメン天国の津山だよね!!とにかく何でもいいからイケメン言いたいよな!!俺たち!!…って、ちょっとよくわかんない横道にそれちゃったけど、そんなことよりも(津山、すまん)、いよいよ、元春、銀行、入っちゃうよ?もうそっから、エンディングへ、畳みかけちゃうよ!?銀行内…みんないる!あの世界線と同じ、“あおい銀行世田谷支店のみなさま”、みんないる!!みんな変わってなさそう!なんて平和!…だけど、やっぱり…澪(広瀬アリス)…澪は、いない!!…そうか…、いくらドラマティック最終回だからって、そう簡単にはね…、澪はね…、いないよね…って、ガッカリしかけたその後ろッ!!元春の背後!!ピンボケで現れる“運命の女”!!…澪!!、俺の澪!!!…(CM)…っておいーーー!!!うん、だけど、わかってらっしゃるー!!そのCMこそが民放ドラマの宿命!!そして、それこそがドラマティック度を高める!!!!…そしてCM明け…元春と澪…ドラマティックに再会!!…元春よ、運命はな、引き寄せられるんじゃない!引き寄せるもんだ!!(『踊る』風に)…からの、どこかで見たことある…、窓口に現れた女性(朝加真由美)…え!?あの!?まさかの!?あれが??ここで?繋がるの!?伝説の第3話…あのかわいすぎる伏線…“鼻をつまむ合図”作戦で振り込め詐欺阻止!!…の、あの!?かわいすぎる伏線が!!“再び!!!!!で、オロロロロロロローーーーー(号泣)って、なったよね。

さっきまで興奮して、カッコつけて、運命とか言い出して、ドヤってたはずなのに、オロロロロロロローーーーー(号泣)って、なったよね。しかも、その“鼻をつまむ合図”が何を意味するのか、状況はまだ把握してないくせに、これから明かされるくせに、それなのに、あの澪の“鼻をつまむ合図”が、キュート&デスティニー!なもんだから、わけもわからず涙腺崩壊しちゃったよね…。なんてドラマ!!

うん、だけど、それこそが、時空を超え、連ドラ的時間も超えた、壮大なドラマティック運命展開!!それをこんなに楽しく、興奮しながら、身をもって体感させてくれるんだもん『知ってるワイフ』…ありがとう!!

で、その、鼻をつまんだ俺の澪(しつこく“俺の”つけてるけど、“俺の”じゃないっす)が『知ってるワイフ』史上最もかわいかった瞬間!と言っても過言ではないし、そのせいでなんだかよくわからない感情の涙を流すほど…だった…てのはそうなんだけど、それにも増して、やっぱり、なんやかんや、大倉くんだよね!!もとい、たっちょん(再び、大倉くんのファン界隈での呼び方)だよね!!!ラスト、澪の種明かしがなされた後の、“素直な元春”、見ました?…あの、大学生時代に澪と一緒にいるとき…“過去にはあった”、“素直な元春”が…“今”見ることができる。その表情にたどり着くまでの物語だったんだね…ってわかったときの感動たるやないね。これぞ連ドラの醍醐味!!でしたよ。で、あの、後悔とか責任とか、これまでずっと運命に立ち向かったり逃げたり、いつだって張りつめていた元春が、ようやく自分の人生を見つめ直し、誰にどうなって欲しいじゃない、自分がどうしたいのか!って気付いたときの元春!!THE最終回フェイス!!!すげー。たっちょんって、いつも朴訥としてるから、これまで気付きにくかったけど、こんなに繊細に表情の変化を出せるのね…。だからこそ、日本版にしかない『知ってるワイフ』の味わい…、出せたよね…。

そして、そんな主人公の、ドラマティック夫婦に隠れて、ついつい忘れかけそう…いや、俺は忘れてないぜ!!俺の沙也佳(瀧本美織)…いいや、俺の美織!!(どっちも違う…ってこのくだりも最終回・涙)元春には悪いけど、元春といないときの沙也佳の魅力、爆発してたよね!これまでのTHE沙也佳お嬢様物語!な沙也佳じゃなくって、あの第1話の時に感じた、自由に生きて、ちょっとだけ奔放な沙也佳!になってたよね!!そして、キッチンカー脇の、真昼間の、オープンスペースだってのに、一人ワイングラス持っちゃってる沙也佳お嬢様の片鱗!!が、もうクラクラだったわ…。うん、だけど、それは、決して、沙也佳が水玉シースルー着てて、すこぶるかわいかったから…じゃないぜ!?(なにあの水玉シースルー。似合っちゃうの、俺の美織しかいないぜ?)

そして、スケボー乗ってる花屋というハイブリッド王子(上原/小関裕太)…に、“元春と今ここで会えて運命!”って言わせた直後、それを上書きするように、運命的に出会うっていうな…その世界線でのハイブリッド王子は、花屋なの?!どうなの!?…スケボーで花屋…から感じられる“自由”(意味不明)、その“自由”は、沙也佳の“自由”と重なり、二人のお似合い具合を表している…んだよね(やっぱり意味不明)。だからつまり、沙也佳と、フィーリングが合ってる、ってことになると…俺は…、思うぜ…。だから、王子(上原くんです)、沙也佳のこと、絶対、幸せにしてくれよな!!(遠い目で涙)

そして、前回、“パラレルワールド的にどうなっちゃうの?”とか自分言ってたけど、元春のおかげで謎の男・小池(生瀬勝久)の成長も描くし、澪ママ(片平なぎさ)のこれまでの不思議もちょっとだけ種明かしするしで、これ以上のパラレルワールドなんてしゃらくせー!!これが運命だ!!!って言わんばかりの、用意されていた、美しすぎる物語…。

こんなん見せられちゃったら、“パラレルワールドどうなっとんねん!”とか言うの、野暮だよね(自分で言ってたんだけどね)。だって、このドラマ、過去にさかのぼって、人生を変える…そんなドラマではあったけど、ちゃんと“今を生きる”こと、“今をどう生きるか”ってのが重要で、それさえ強く持っていれば、過去は関係ないし、タイムスリップだって関係ないってこと、教えてくれたじゃん!!パラレルワールドとか言ってた先週の自分、とりあえず、ぶん殴ってくる!!!(令和三年の500円玉でいいですか?)

っというわけで、宴もたけなわではございますが…、このレビューも最終回…涙。ああ、もうホントに、最後の最後まで楽しかった!!開始当初、『知ってるワイフ』っていうタイトルから、どうして自分がここまで興奮できると思ったでしょう?その昔…僕が中学の時、インターネットが普及し始めたあの時代…、ドラマを見終えた後、その興奮を誰かと共有したくて、必死にそのドラマの感想書いてる“個人HP”、探しまわったあの頃…。その時の自分と同じ気分…、このレビューから、誰か一人でも、味わってくれていたら…嬉しい…な。…とか言いつつ、もう後半、レビューどころか、ただの叫び声になってしまってたよね…叫び声に付き合わせてしまって…、本当に申し訳ございませんでした…。うん、だけどさ、ドラマ、楽しかったからさ、それでいいじゃん!?別によくね?!(最後は逆ギレ)また次の、何かのドラマでお会い出来たら~!

text by 大石 庸平 (テレビ視聴しつ 室長)