『監察医 朝顔』(第2シーズン)最終話完全版
朝顔(上野樹里)たちは、凶悪事件に遭遇する。
野毛山署強行犯係の森本(森本慎太郎)が何者かに刺され、意識不明の状態で救急搬送された。自宅でその知らせを受けた桑原(風間俊介)は、森本が意識を失う前に「頬に火傷」と言っていたことを朝顔に伝えると、捜査本部へと急いだ。刑事時代の最後の相棒だった森本が刺されたことに憤る平(時任三郎)も、事件現場に行きたいと朝顔に頼む。
山倉(戸次重幸)たち野毛山署の刑事たちは、森本が刺された現場周辺で犯人に繋がる痕跡を懸命に探していた。山倉は、朝顔とともに現場にやってきた平に、2011年に起きた三田村一家殺人事件と、その三田村邸で最近発生した柴山繁という男性の殺害事件との関連性にも言及する。
山倉は、平を捜査本部の責任者である管理官の五十嵐(松角洋平)のもとへと連れて行く。五十嵐たちは、森本が刺される前に現場付近で不審な男に絡まれていた女性の証言を得ていた。男は30代中盤で、身長は180cm程度。やせ型で頬に火傷の跡があったとのことだった。五十嵐は、協力したいという平の申し出を受けた。
一方、興雲大学法医学教室では、茶子(山口智子)の協力も得て、三田村一家殺人事件に関する当時の解剖資料や、関連した論文などを検証し直す。さらに朝顔は、凶器に関する情報を得るために、森本の担当医にも会いに行く。
桑原は、五十嵐とともに、三田村一家殺人事件の容疑者として逮捕されたものの、証拠不十分で不起訴になった市川(平原テツ)から話を聞く。市川は、三田村一家殺人事件の前日、同家を訪問して金を借りに行ったが断られていた。そこで市川は、顔に火傷があるだけで殺人犯に疑われ、人が殺されるたびに警察に呼び出される自分の人生の責任は誰がとってくれるのか、と訴えた。その姿を見た五十嵐たちは、彼が本心を語っていると感じていた。
朝顔たちは、柴山と森本を刺した凶器の形状が近いことに対し、三田村一家殺人事件で使用されたものはハサミを分解したような特殊な刃物である可能性が高いことを知る。その資料は、ただちに捜査本部へと届けられた。
桑原に連絡した朝顔は、森本を刺した人物が、頬の傷をつけなかったことにも言及し、三田村一家を殺害した犯人とは別の人物かもしれない、と伝える。するとそこに、森本に付き添っていた忍(ともさかりえ)が飛び込んでくる。意識を取り戻した森本が、犯人の頬の傷はフェイクだったと証言したというのだ。
そんな中、さらなる凶悪事件が起きる。刃物を持った男が野毛山学院という小学校の付近で人を刺して逃走中というニュース速報が流れたのだ。野毛山学院に長男の大輔(小山春朋)を通わせていた藤堂(板尾創路)と絵美(平岩紙)は、慌てて小学校へと向かった。
ほどなく、この通り魔事件の犠牲になったふたりの男性が興雲大学法医学教室に運ばれてくる。ひとりは野毛山学院の教員・有田満。もうひとりは、ボランティアで交通整理をしていた大学生の宇賀神秀樹(灰塚宗史)だった。
有田を解剖した茶子、宇賀神を解剖した光子(志田未来)は、凶器の特徴が柴山や森本を刺したものと同一であると判断する。さらに光子は、宇賀神が心臓移植の手術を受けていたことも確認する。2件の解剖に立ち会った朝顔は、犯人は全身に返り血を浴びているはずだと伊東(三宅弘城)に伝えた。
ほどなく、有田の遺族と、宇賀神の両親、友則(佃典彦)と美佐子(山野海)が興雲大学にやってくる。友則たちの応対をした朝顔と光子は、宇賀神が何度も刺されながら身を挺して子どもたちをかばったため、誰ひとり傷つけられることなく無事に逃げることができたと伝えた。友則たちは、息子の死を悔やみながらも、心臓を提供してくれたドナーに対して申し訳ない、と話し、涙に暮れた。
小学校に急行していた桑原は、校舎内へと続く血痕を見つける。その後を追った桑原は、女性教員を人質にしていた男を発見。山倉、岡島(斉藤陽一郎)と連携して男の身柄を拘束する。
犯人は、住所不定無職の北村力也(りんたろー。)という男だった。北村は、柴山を殺害したことは認めたが、三田村一家殺害事件に関しては否認する。だが北村は、海外で日本人の男からある家族を殺害した話を聞き、同じ手口ならバレないと教えられたのだという。その男の右頬には火傷の跡があったため、北村も傷のメイクを施したらしい。北村は、人を殺してみたかった、死刑にしてほしいと話していた。
北村が三田村一家殺人事件とは無関係だったことに落胆する捜査員たち。五十嵐は、そんな彼らに、落胆する時間はない、とはっぱをかけた。
帰宅した桑原は、小学校の校舎に潜入する前、平から冷静に対処するよう電話をもらったことを朝顔に伝える。続けて桑原は、朝顔を見ていて、災害で命を奪われる理不尽さを知っているからこそ、身勝手に人の命を奪う犯罪者が許せない、と話す。朝顔は、捜査本部に戻る桑原に、結婚式は3月11日にしたいと伝える。せめてことしの3月11日だけは、平に少しでも明るい気持ちになってほしい、という思いからだった。
数日後、興雲大学に秋山邦夫(柾賢志)・真由美(まりゑ)夫妻がやってくる。夫妻は、水難事故で亡くなり、宇賀神に心臓を提供した娘の両親だった。朝顔たちは、宇賀神夫妻からの手紙を手渡し、心臓だけ別に荼毘にふさないかと提案する。宇賀神夫妻の希望だった。
平からの情報で、朝顔たちが結婚式を挙げると知った茶子は、みんなに声をかけると言い出す。そんな茶子と、ケアホームの見学に行った平は、結婚式のスピーチ原稿を手伝ってほしいと頼んだ。
3月11日。朝顔と桑原の結婚式には、桑原家や法医学教室、野毛山署のメンバーも皆集まってふたりを祝福した。
サプライズでスピーチを始めた平は、刑事の仕事を優先して家庭を犠牲にした自分は良い父親ではなかったこと、それなのに朝顔が刑事を夫に選んだことに触れ、朝顔が妻・里子(石田ひかり)や桑原のおかげで優しい娘になり、良い母親になり、かわいい孫のつぐみ(加藤柚凪)を産んでくれて毎日が幸せだと続けた。そして、「今日のことを忘れたくないな」とつぶやくと、朝顔たちを温かく見守ってほしいと頭を下げ…。
1年後、朝顔は女の子を出産後、仕事に復帰する。卒園式で、つぐみたちは「My Way」を歌った。朝顔や桑原と一緒にその姿を見つめていた平は、「かわいいね」とつぶやいた。朝顔は、柔らかい笑顔でつぐみを見つめる平の姿に微笑み…。
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