4月22日(木)、映画「中村壱太郎×尾上右近 ART歌舞伎 花のこゝろ」取材会が都内のスタジオで行われ、歌舞伎俳優の中村壱太郎(かずたろう)と尾上右近が出席した。

本作は“歌舞伎界の若きプリンス”といわれる壱太郎と右近が昨年のコロナ禍において制作し、好評を博したオンライン公演「ART歌舞伎」を壱太郎自ら演出し、映画館向けに5.1chサラウンドと英語字幕付きインターナショナル仕様で編集したもの。

5月1日(土)よりポレポレ東中野ほか、全国順次公開されることになり、5月5日(水・祝)には壱太郎と右近が舞台あいさつに立つほか、同日、公開記念イベントに壱太郎&右近、ART歌舞伎楽団の浅野祥、藤舎推峰、中井智弥、山部泰嗣が参加することも発表された。

さらに、そんなART歌舞伎楽団4名による劇中曲12曲を再録音したアルバムCD「中村壱太郎×尾上右近 ART歌舞伎 MUSIC COLLECTION」として映画公開と同日、リリースされることに。

壱太郎と右近が映画公開と音源リリースへの喜びを会見で語った。

壱太郎は「昨年7月に配信という形で皆様にお届けした公演が、念願かなって映画館で上映できることになりました。一度ご覧になった方もこの機会に新たなサウンド、画面表現で楽しんでいただけたら」とアピール。

右近は「昨年の緊急事態宣言下、壱太郎さんの発案で動き出したART歌舞伎は、壱太郎さんの『何かできないか、何かしなければいけないんじゃないか』という思いから立ち上がったプロジェクトで、同じ思いを重ねて僕も参加させていただいた作品です」。

続けて、「当時はこのような発展があるとも思わず、目の前にやると決めたことがあって、それを皆で作り上げるという一つの思いだけでしたけど、このように映画館での上映という形になり、多くの皆様の目にふれることをうれしく思います。目の前のことを一つ一つ丁寧に仕事をすると、思わぬ発展を生むということを改めて感じました」と感激していた。

そんなART歌舞伎に関し、諸先輩や俳優仲間からの反応を問われると、壱太郎は「ちょうど同じ時期にZOOM歌舞伎というものを松本幸四郎さんが始められたんですけど、ART歌舞伎の配信直前、私もZOOM歌舞伎の撮影に参加しておりましたところ、市川猿之助のお兄さんから『アップになった時に瞬きしすぎだよ』などとおっしゃっていただいて、それが直後のART歌舞伎に活きました」と回顧。

そして、「諸先輩方も配信を見てくださって、『すごいね』と褒めていただいたり、松本幸四郎さんは直後に電話をくださったり、叱咤激励がありました」と振明かした。

一方の右近は「一番印象に残っているのは、幸四郎のお兄さんが電話で『かっこよかった』と言ってくださったことです。もちろん、賛否両論もあるんでしょうし、僕が耳にしていないご意見もあるかと思うんですけど、その中でも先輩たちが注目してくださったことがうれしかった。これが“始まり”という感覚を、幸四郎のお兄さんからのお電話をいただいてすごく感じました」と、それぞれ感慨深げな表情を浮かべた。

最後に壱太郎は「僕らができるのは表現をすること。それは映画になっても変わらないと思っています。映画を観ていただくと同時に、音にこだわったCDも手に取っていただいて、僕らと4人の音楽家が思いを込めてつくった作品を体験していただきたい」とメッセージ。

右近は「壱太郎さんをはじめ、仲間たちで一丸となってつくった、ひと夏の思い出のような作品でもあるこのART歌舞伎が映画館で上映されることによって、いよいよキチッとした形となる瞬間がこの映画公開だと思っております」

「一人一人に届く作品、そして、歌舞伎について再発見していただけるきっかけになる作品になってくれたらと思っておりますので、ぜひともよろしくお願いいたします」と呼び掛けていた。

「中村壱太郎×尾上右近 ART歌舞伎 花のこゝろ」は、5月1日(土)ポレポレ東中野ほか全国順次公開。

配給:Atemo・ROJI
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