明日への活力となるようなイケメンを紹介する「眼福♡男子」Vol.60は、水野勝が登場。

水野がリーダーを務める、名古屋発のエンターテインメント集団・BOYS AND MEN(通称ボイメン)は2010年に結成され、東海エリアを中心に人気を博し、個人でもドラマや映画、バラエティとさまざまな分野で活躍中。

昨年デビュー10周年を迎え、主演舞台や全国ツアーなど多くのイベントが用意されていたものの、新型コロナウイルスの影響により、中止を余儀なくされてしまった。

しかし、彼らはそこで歩みを止めることなく、今もあらゆる手法で発信を続けている。

そんなグループを率いる水野の最新主演作、映画「お終活 熟春!人生、百年時代の過ごし方」は、葬儀会社に入社したばかりの主人公が案内した終活フェアをきっかけに、離婚秒読みだった熟年夫婦が、家族や友人を巻き込みながら人生の整理に動き出す、笑って、泣けて、役に立つハートフルヒューマンコメディ。

水野は、主人公の菅野涼太に扮し、橋爪功や高畑淳子、西村まさ彦ら実力派俳優を相手に堂々の熱演を見せている。

葬儀会社で事前講習を受けて撮影へ。葬儀に関して驚くことばかりでした

――まずは、完成した作品を観た感想から聞かせてください。

自分が出演している作品について、普段は「あの場面はもっとこう演じることができたな」と反省点ばかりを頭の中で反芻してしまって、あまり冷静に観られないのですが、この作品はすんなりと物語へ入れて、素直に楽しむことができました。家族をテーマに描いている内容なので、どなたでも共感できると思いますし、いつの間にか涙が流れていましたね。

――香月秀之監督というとVシネマなど、アウトローを題材にした作品の印象が強い監督ですが、香月組はどのような現場でしたか?そして、監督自らが手掛けたオリジナル脚本の印象を聞かせてください。

香月監督の作品に出演するのは、今年2月に公開された「新 デコトラの鷲」に続いて2本目なのですが、監督はアングルを決めたら「あとは自由にやってくれ」というスタンスなので、俳優部がどれだけ準備をして臨むのかが求められる現場でした。

脚本に関しては、とてもためになると感じましたね。男性脳と女性脳の違いや、誰かが亡くなると直後の手続きがこんなにも大変なんだということを、たくさん勉強させていただきました。

終盤は、僕が演じた菅野の成長物語でもあるので、西村まさ彦さん扮する父親との確執や、それまで伝えることのできなかった父への感謝の思いなど、きちんとお届けしなくてはと思いながら演じていました。

――出演にあたって、葬儀会社で実際に講習を受けたそうですね。

社内の見学と、葬儀会社が通常、どのような業務を行っているのかということをレクチャーしていただきました。

それまでは、葬儀そのものしか知らなかったのですが、葬儀前にご遺族の方にどのようなことをお伝えするのかとか、遺産(相続)のことなどをつなぐ重要な役割で、相当なディスカッションを経たうえで葬儀を行っているのだと、驚くことばかりでした。

ほかにも、現代は外国人労働者など日本で生活している外国人の方がたくさんいらっしゃるので、キリスト教の祭壇なども用意されているというのは、この講習を受けないと知らないことでしたね。人の数だけドラマがあり、そこをきちんとバックアップできる体制になっていることに感心しました。

――家族愛をテーマにした物語ですが、この作品に携わって以降、水野さん自身、ご家族への対応に変化はありましたか?

まぁ、人間、そんなにすぐには変わらないですけど(笑)、自分が出演している映画のDVDやポスターなどは、普段から祖父母に贈るようにしています。両親にも、つい先日が母の日だったので、プレゼントを贈りました。

――ご家族はこの「お終活」をご覧になったんですか?

はい、さっそく観てもらいました。僕の両親世代にはちょうど刺さる内容だったらしく、「泣いてしまった」と言っていました。

熟年夫婦を見て、結婚は試練なのだと痛感。お互いに忙しいことが理想の夫婦像

――橋爪さんと高畑さんが演じた大原夫妻を見て、夫婦の在り方について考えることもあったのではないでしょうか?

お二方がとてもリアリティをもって演じていらっしゃったので、いがみ合い、罵り合うさまを目の当たりにして、「これが熟年夫婦なのか」と。そして、結婚って試練なんだと痛感しました(苦笑)。

僕らの年代って、結婚=ゴールみたいな感覚ですけど、その先にはまだまだ乗り越えていかなきゃいけないものがあるんだなって。

――水野さんは、11月22日の「いい夫婦の日」生まれですが、理想の夫婦像を聞かせてください。

まったく想像できないですけど、「お互いに忙しいこと」が理想かな。抽象的すぎますか?片方が忙しく、片方だけに余裕があると「こっちは頑張ってるのに…」と、パートナーに対してマイナスな感情を抱いてしまうじゃないですか。そうならないためにも、同じベクトルで忙しい人のほうが、同じものを背負うことができていいですね。

――互いに忙しいほうが、時間を共有する時に新鮮な気持ちで向き合うことができると?

僕が今イメージしているものって、おそらく「夫婦になったら…」ではなく、理想の恋人関係なんですよね。どちらかというと依存されたくないタイプなので、相手も仕事ややりたいことがあって、自立している人のほうがいいです。

――ということは、家事や育児も分担したいと考えている?

実際、どうなるかは別として、僕の気持ち的には分担してやりたいです。

地元・名古屋を背負っているグループであることが僕の誇り

――劇中、大原夫妻の金婚式を記念して、菅野がメモリアル映像を制作します。水野さん自身のメモリアル映像をつくるとしたら、これだけは入れたいというエピソードはありますか?

まだ30年しか生きていないので、正直よくわからないですけど(苦笑)、その30年の中で一番長いキャリアが、5歳~18歳までやっていたサッカーなんですね。で、その次がボイメン。

2016年の「日本レコード大賞」新人賞と、2019年のナゴヤドームコンサートは必ず入れたいですね。ほかには、学生時代の青春の思い出などを入れたいです。

――大原夫妻のメモリアル映像には、本作の主題歌(「切手のないおくりもの」)を担当した財津和夫さんもメンバーであるチューリップの名曲「青春の影」が流れ、よりハートフルなものとなっていました。水野さんのメモリアル映像は、もちろんボイメンの曲で?

いや、そこは映画と同じように財津さんの曲でいきたいですね。僕らの曲だとどうしても、仕事モードになってしまうので(笑)。

――終活について思うところはありますか?

「終活は?」と言われると、まだ30歳なので現実的なことを考えるまでは至りませんが、とりあえず後悔しない1日を過ごすことを意識しています。

――ということは、自身の最期を想像することもないと…。

まだ夢を追いたい年齢なので、正直「そこを考える段階ではない」という心境です。所属事務所の社長が60歳を超えたのですが、今もチャレンジャーの姿勢で、ネガティブなことを口にすることなく、ずっと夢の話をしている。60代の社長が夢を語っているのに、「もし、自分が死んでしまったら…?」というマインドになったことがないんです。

――死ぬまでにやっておきたいことはありますか?

これはいろんなところで発言しているのですが、ピラミッドが見てみたいです。知人が数年前にエジプトへ行き、ピラミッドを見てきたのですが、生で見ると「想像していたよりも10倍デカい」そうで。

実物を見たことがない僕らが想像するピラミッドも相当大きなものですが、さらにその10倍の大きさって、これはヤバいなと。「これは、ぜひとも自分の目で見なくては」と思いました。

――では、男性として成し遂げたいことは?

僕は、ボイメンというグループに対して危機感を感じていて、現状維持のままでは次の10年を迎えられないと思っています。個人としてはこれからもお芝居を続けていきたいので、役者としての成功がボイメンを守ることにつながると考えています。

――橋爪さん扮する大原が「誇りをもってネジをつくってきた」と訴えかける場面がありました。水野さんは、自身の仕事にどんな誇りをもっていますか?

まず、僕らボイメンは地元・名古屋を拠点にしているグループで、帰る場所がある。そんな名古屋を背負っていることが誇りです。

「まだ誰もやっていないことをやろう」という思いでスタートしたグループで、ここまで地元愛をアピールしている男性グループはいないと自負していますし、つんく♂さんも「ボイメン以外はいない」と言ってくださいました。

僕らが活動を長く続ければ続けるほど、ずっと日本一なんですよ。これってやっぱりすごいことだと思うし、11年やってきたという思いは大きな誇りです。

――水野さんがこの作品で特に観てほしいのはどんな部分でしょうか?

作品のタイトルからいくと、死やお葬式などネガティブなものを想像してしまいがちですが、家族愛をテーマに描いたとても温かいコメディ作品です。

熟年夫婦を演じた橋爪さん&高畑さんをはじめ、西村まさ彦さんや石橋蓮司さんなど、アベンジャーズのような豪華俳優陣が多数出演していらっしゃいますが、僕と同世代、もしくは、ちょっと下の世代が観ても楽しめる内容になっていると思います。

絶対に後悔させない作品になったと自信をもっていますので、ぜひ劇場でご覧ください。

――菅野くん的見どころは?

橋爪さんと対峙するシーン、西村さんと対峙するシーンは、菅野が人間として成長するうえで欠かせない大切なシーンなので、そこは特に注目していただきたいですね。

30代はさまざまな役柄に挑戦したい。そこでの苦労が40代で成果として表れる

――ボイメンは昨年、結成10周年を迎えましたが、どんな思いでアニバーサルイヤーを過ごしましたか?

コロナの影響でアリーナツアーや舞台も中止になってしまったので、大きなイベントは何もできませんでした。でも、僕らはそんな状況下でも配信ライブをやるなど、前を向き続けました。結成当時からの目標である『NHK紅白歌合戦』出場をまだ実現させていないので、そこはこれからも諦めずに目指していきたいです。

今、上の子が7歳で下の子が3歳。上の子は、僕らが主演した「BOYS AND MEN~One For All,All For One~」という映画に3歳で出演したので、成長を感じますね。長生きしてほしいというのが今の願いです。

――最近の「おうち時間」はどのように過ごしていますか?

ありがたいことに今、「おうち時間」というものがまったくない状態で、空いた時間はNetflixを見ていますね。映画はほぼ毎日見ていて、食事をする時は『水曜どうでしょう』を必ず見ています。大好きな番組で、同じシーズンを何度も見てしまいます。

――昨年、30代へと突入しましたが、30代をどのように過ごしたいですか?

30代でどれだけ苦労をしたか、そして、どれだけの役を演じたかによって、40代で演じる役が決まってくると思うので、30代の10年間はできるだけ多くの役柄に挑戦したいです。

――最後にファンの皆さんへメッセージをお願いします。

今は配信でのイベントが主流で、なかなか生でお会いすることができない世の中ですが、発信することは続けていくので、皆さんがそれを受け取ってくださる限り、僕らボイメンは存在し続けます。だから、ずっと見守ってほしいです。11年間、支えてくださってありがとうございます。そして、これからもよろしくお願いします。

「お終活 熟春!人生、百年時代の過ごし方」
5月21日(金)全国ロードショー
配給:イオンエンターテイメント
©2021「お終活」製作委員会

「お終活 熟春!人生、百年時代の過ごし方」最新情報は公式サイトまで

撮影:河井彩美