毎回さまざまなジャンルで活躍するゲストが集い、多彩な話題や事象を取り上げていくフジテレビのトーク番組『ボクらの時代』。
6月6日(日)の放送は、菅田将暉、Fukase(SEKAI NO OWARI)、中村獅童が登場し、共演している6月11日(金)公開の映画「キャラクター」の話題や、コロナ禍におけるエンターテインメント、作品制作へのスタンス、次世代の後輩たちに感じる思いなどを熱く語り合った。
ライブ後のFukaseが「暗かった」理由
SEKAI NO OWARIのデビューアルバムが「初めて買ったCD」と明かした菅田。
菅田:ライブ見に行かせてもらったんですけど。めっちゃ楽しかったですよ。めっちゃ楽しいし、何かグッときました。
Fukase:うれしい。
菅田:そのときは「あのころCD買ったFukaseだ!」とかって思いながら見ていて。で、裏で会うと全然違ったからびっくりしたんですよね。
Fukase:そんな違いました?
菅田:いや、全然違いましたよ。暗かったです。
Fukase:あはははは!普通に。
菅田:普通に。
Fukase:たぶんね、ライブが、自分の中で納得しなかったんだと思うんですよ。で、反省中だった。
菅田:あのとき、反省中だったんですか。
Fukase:反省中だったんだと思うんですよ。菅田くん来るって、確かあのとき知ってたんで。そういうのって、やっぱりライブ中に思い出すんですよ。
菅田:申し訳ない。
Fukase:で、なんか…「届け!」って思いますよね、やっぱり。
獅童:わかる!俺ね、(菅田が)歌舞伎、見に来てくれたの。
菅田:めっちゃ良かったっすよ、それも。
獅童:で、ほら「歌舞伎初めて」って言ってたから。
菅田:そう。ちゃんと見るの初めてで。
獅童:「退屈してないかな?」とかっていろんなこと思うし、「初めて見る歌舞伎で、菅田くんのハートに何が届くかな」っていう思いでやってた。
菅田とFukaseが「歌舞伎は、ちょっと敷居が高い感じがする」と言うと、獅童は「歌舞伎は大衆の芸能だから」と説いた。
獅童:江戸時代、例えば、流行してるものすべて取り入れてやったのが歌舞伎なんだよね。
菅田:あ、そうなんですか。
獅童:で、当時はロックも、パンクもないわけだから、そういう精神の人は歌舞伎役者にいたと思うし。今だからこそ「伝統」って、みなさんはおっしゃってくださるけど、やっぱり精神としては、“かぶき者”っていう、時代を切り開いていくっていう、そういう魂でやってたんじゃないかなと思うけどね。
菅田:なるほど。
楽しむのは、自分が一番最後でいいんじゃないか
獅童は、コロナ禍で「こっちも本気になってやらないとエンタメの火が消えちゃう」と危惧。
「1年半以上ライブが出来ていない」というFukaseは、これまで外に出て得たことから音楽を作ってきたといい、自粛期間中は「感情が無になっちゃって。気持ち的には(音楽を)作りたいんだけども、インプットしたものが全部出切ってしまったような」「なんで音楽をやっているのかわからなくなった」と苦悩を語った。
そんなFukaseに、獅童が「やりたいことは100%やれている?」と聞いていく。
獅童:しがらみみたいなものは、音楽ってあるの?例えば、自分は本当はこういうふうな方向性でやりたいけど、レコード会社の人とかが「いや、ちょっと今の時期そうじゃねえよ」みたいな。
Fukase:全然ないっすね。僕が結構、アーティスト型というより、ビジネスライク寄りなんで。やっぱり僕ら4人で活動してるけども、自分たちがメジャーデビューしている以上、関わってくれてるスタッフだったり、事務所のスタッフだったり、その家族だったり。ちゃんとお金を生んでいかないと成り立たないものだと思っている。
と、Fukaseは自身のスタンスを語り「割と事務所の方だったり、レーベルの方だったりと話は合う」と明かした。
獅童:社長みたいだね。
菅田:ね。
Fukase:割と社長みたいな感じ。結構いろんな人に、「Fukaseくんって会う前は気難しいアーティスト気質かなと思ったら、ベンチャー企業の社長みたいな感じ」と(言われる)。
獅童:うん、社長、本当(笑)。
菅田が「自分のやりたいことを突き詰めているイメージもある」と語ると、意外な返答が。
Fukase:うーん。でもやっぱり相手が楽しんでくれてない状態ってすごく不愉快っていうか、気持ちが悪くなっちゃうタイプなんで。楽しむのは、自分が一番最後でいいんじゃないかなと思って。
菅田:えー。
Fukase:みんなが楽しんでくれた一番最後に、自分が楽しめばいいんじゃないかなと思うから、ああいう暗い顔になるんですよ。
菅田:なるほど、落ち込むんですね。
Fukase:落ち込むんです。だから僕がライブが終わった後に「楽しかった」とか「充実した」「気持ち良かった」みたいなことを、思ったことって1回もないです。
菅田:えーっ!
Fukase:だから、ライブ中も「楽しい」って思ったことないですね。それどころじゃない。
獅童:役者でも、舞台でてめえが一番楽しんじゃったら駄目だっていうね。もう1人の自分が、ちゃんと俯瞰(ふかん)で見てないと独りよがりになっちゃうっていうところはやっぱり気をつけるところ。
Fukaseの言葉に、獅童も役者に通じる部分があると納得した様子だった。
菅田将暉「全力」をやめて変わった芝居
Fukaseと獅童の話に、菅田も舞台での経験を語り始める。
菅田:昔、蜷川(幸雄)さんのところで「ロミオとジュリエット」をやらせてもらったときに、もう全力で、とにかく、ぶつけよう、ぶつけよう、で、やってたんですよ。そしたら蜷川さんに、「ちょっと3割ぐらい捨てろ、引け」って言われて。「お客さん疲れるから」って言われて。引いたら、めちゃくちゃ評判良くなって、「ああ、なるほどな」と。だからそのときぐらいから、もう1個の目線というか…自分の「やりたい、やりたい」は、たぶん(自分だけが)気持ち良くなってたんでしょうね。
獅童:そこのバランスが難しいところだよね。
菅田:難しいですね。
獅童:でも若いときっていいんだと思うよ、それで。出しきるっていうか、もう振りきる感じくらい本気になれるって。そうじゃないと引けないもんね。
中村獅童「役者をやるならアナログでいてほしい」
3人の話は、表現者としてさらに深い部分にまで及んだ。
菅田:悩んだことあります?お芝居で。
獅童:それこそ、Fukaseくんじゃないけど…舞台終わったあとやっぱり落ち込むというか。「ああ、俺、今日やってやった」みたいになることって、まぁないよね。
菅田:獅童さんでもそうなんですね。
Fukase:ね、本当にそう。
獅童:だから、それを一生かけて追うんじゃないかなと思う。引退ないじゃん?
菅田:そうですね。
役者を辞めようと思ったことも「何回もある」と語る獅童は…。
獅童:「向いてない」って思ったことも何回もあるけど、辞めるの悔しいし、「どうせだったら、もうちょっといい役者になってから辞めようかな」とか。
菅田:ああ、それめっちゃいい考えですね。
世の中のデジタル化や、次世代の後輩たちとのやり取りから時代の変化にも言及し「役者をやるならアナログでいてほしい」(獅童)、「表現も変わってくるってことですよね」(菅田)と白熱していった。
Fukase:でも、時代が変わっても、そんなに新しい言葉はなるべく使わないようにしてますけどね。「スマホ」って言わないで「携帯」って言ったりとか。時代が出過ぎちゃうのは、何か嫌だなって思うから、なるべく普遍的なものを伝えたいし。
獅童:そう。「普遍的」っていうことだよ。デジタルはどんどん進化するけど、やがて古くなるんだよ。人の気持ちって古くならないんだと思うよ。普遍的なものって。歌舞伎で400年前のストーリーをやったときに「見ました。泣きそうになった」(と反響があった)。それは、普遍的なもの、何かがあるんだよ。400年前の日本人と同じ血が流れてるってこと。人の気持ちまで変わっちゃうと、歌舞伎も滅びます。
菅田:なるほど。
Fukase:でも、そういうものってありますよね、「普遍的なもの」と「普遍的じゃないもの」ってあるなって。
獅童:そんな気がする。今、自分の中でも答えが出たような気がするな。だからやってる、歌舞伎。
と、最後は3人が笑顔になって終了した。