森野のキャラは“当て書き”オークラの思うバカリズムらしさ

──今作のミコと森野のキャラクターはどのように作ったのでしょうか?

オークラ:いわゆる倒叙ミステリーなので、犯人が分かっているなかで、2人がくだらない話をする…と、最初はそういう漠然としたイメージでつくっていました。

でも、森野役がバカリズムになりそうだと聞いた頃くらいから、どんどんペンが進むようになって。「バカリズムだったらこんなことを言うんじゃないか」と。言い方が悪いですけど、バカリズムの“理論を持っているのに、ちょっと面倒くさいところ”とか、そういう部分をうまく表現できたらと思いながら、当て書きのように脚本を書いていました。

ミコに関しては、篠原さんとは直接お会いしたことがなかったのですが、ぶっきらぼうに突っ走るようなイメージがあったので、そこを盛り込んでキャラクターを作っています。

──森野は当て書きだそうですが、バカリズムさんは台本を読んで“自分らしさ”のようなものは感じていましたか?

バカリズム:“オークラさんが思う僕らしさ”というのは伝わってきました(笑)。

あと、オークラさんは僕を若い頃から知っているからなのか、割と体を張る場面が多いんです。まだなんとなく20代とか30代くらいのイメージなんですかね?運動神経が良くて、体が丈夫だと思われているんじゃないかと思っていて。

オークラ:後輩だし、「元気がいいな」っていうイメージがあるんですよね。あとは、内村(光良)さんがいるマセキ芸能社の人ですから。内村さんが動けるということは、その後輩も動けるのかな、と(笑)。

バカリズム:違う、違う!もう48歳だから!

バカリズムが“感情”を表現するようになった理由

──オークラさんから見た、“役者・バカリズム”の魅力を聞かせてください。

オークラ:バカリズムは、自分の感情が合理的につながっているものじゃないと演じにくさを感じるところがあるのかなと思うのですが、そこがハマるとどんな人も演じられる。だから、僕も感情は意識しながら書いていました。

なんか突然、どこかのタイミングで上手になったよね?

バカリズム:あぁ…そうですね、意識するようになったタイミングありました。

コントをやっていた最初の頃は、芝居を記号的に捉えてやっていたので、無機質というかただ不条理なコントをやっていたんです。でも、ある程度ネタのパターンをやり尽くしていて、さらに広げていくにはもう少し感情を入れたほうがいいんじゃないかと思って、考えを変えたんですよね。

オークラ:微妙な感情を表現するようになったのを見て、「あ、こんな芝居がうまいんだ」と思って、役者業もできるんだろうなって感じた瞬間がありました。

──本作の映像を見た感想を聞かせてください。

オークラ:まだ初回放送前の時点なので完成した映像は見られていないのですが、プロデューサーさんが現場で撮っていた動画を見せてくださったんです。

バカリズム:え、どうでしたか?「大丈夫なのかな?」と不安だったんですけど。

オークラ:すごい面白かった!自分の書いたセリフなのにバカリズムが読んだ瞬間に「これって、こんなに面白かったっけ?」とうれしくなる瞬間がよくあるんですけど、今回も面白くなっていてうれしかったですね。

またどんどんセリフを長くしちゃうかもしれないです(笑)。

バカリズム:今回、変わった演出があって、しっかりセリフを覚えてしゃべっても、途中でインサートが入るんですよ。せっかく覚えてしゃべているのに、その映像が使われなさそうだなと撮影しながら感じるシーンがあって。「覚えたのに!」っていう(笑)。

だから、皆さんにちゃんとお伝えしたい。インサートが入っていても、僕らは何も見ずにセリフを言っていますからね!

オークラ:ははは(笑)。

──これからのミコと森野に期待していることは?

オークラ:期待というか…合理的だけど少し偏った部分もあって、偏屈でちょっとクレイジーなバカリズムに対して、篠原さんが真っすぐ向き合い、情熱でぶつかり合うことを意識して脚本を書きました。それがうまくいっている感じがするので、今後の展開も楽しみですね。