~子ども時代の原体験を通して生まれた、無理をしない「ホテル帰省」の企画背景~
星野リゾートが全国18施設で展開する都市ホテルブランド「OMO(おも)」。単なる宿泊先にとどまらず、地域と連携してホテルを拠点とした「街ナカ」の楽しみ方を演出するなど、新たな宿泊価値の創造に取り組んでいます。この夏は、現代のライフスタイルに寄り添い、実家に泊まる代わりに近隣のホテルを拠点にする新しい宿泊の形「ホテル帰省」を提案しています。本記事では、OMOブランドのマーケティング担当、川村美穂がその企画背景を語ります。
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私の小学生時代の夏休みの定番といえば、母と妹と共に、福島にある母方の実家で約一週間を過ごすことでした。高速道路のインターチェンジを降りて、峠を超えて50分ほどの農林業を営む田舎ならではの大きな一軒家が帰省先でした。
訪ねるといつも明るく出迎えてくれる、祖父母、特に母の弟にあたる叔父と叔母にお世話になりました。母は4人兄弟のため、夏になると他の兄弟たちも集合し、それぞれの子どもであるいとこたちも勢揃い。毎日のように虫捕りや花火、肝試しをしたり、近くの見晴らしの良い山に連れだって流れ星を見に行ったりと、賑やかで楽しい日々を過ごしました。自宅に帰る日が近づくと、「まだ泊まりたい」と母に渋り、いとこ達との別れを帰りの車の中で惜しんだ記憶が、今も残っています。
今、私自身が2人の小学生を持つ親となり、日々の子育てに追われるようになりました。夏休みともなれば、宿題の確認や遊びの計画に頭を悩ませ、「ああ、夏休みって親にとってはこんなに大変だったのか」と痛感。
そんな慌ただしさの中でふと立ち止まると、かつて小学生だった自分が過ごした里帰りの楽しい記憶がよみがえります。そして、親の視点で当時の叔父や叔母の姿を思い浮かべると、胸をチクリと刺すような気づきがここ数年、生まれていました。
当時、私たちを温かく迎え入れてくれた叔父や叔母は、きっと本当に大変な夏休みを過ごしていたのではないか、ということです。賑やかな親戚一同を迎え入れるための準備や、毎日の食事の計画。大人が数人集まれば、子どもたちの世話も含め、それは相当な労力を伴うものだったはずです。
「味気なさ」と「もったいなさ」の隙間にある、OMOという選択肢
そのような折、数年前から都市型ホテルブランド「OMO」を担当するようになり、実家への帰省の新しい選択肢として、OMOが「丁度良い役割」を果たせるのではないかと考え始めました。実家に全員で泊まるのが難しい場合の選択先としてビジネスホテルは便利だけれどどこか味気ない。かといって、リゾートホテルや高級な温泉旅館を選ぶのは、実家への帰省が目的である旅の宿としては、何だか少しもったいない気もしてしまいます。
その点、OMOは非常に「丁度良い」特徴を持っているのではないかと思うようになりました。客室のバリエーションが多く、3名から最大6名まで同室で泊まれる広めの部屋も一定数用意されているため、家族連れでも日常の延長線上のようにリラックスして過ごすことができます。
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家族連れでも過ごしやすいOMOの客室
しかし、そこで一つの葛藤が生まれます。「実家があるのに、わざわざ近くのホテルに泊まるなんて、冷たい家族だと思われるのではないか。親不孝だと思われるのではないか」という不安がありました。一見すると「ホテル帰省」という提案が冷めて聞こえかねないのではと自問自答を繰り返していました。
総支配人が語った、すでに現場で起きていた家族のカタチ
そんな中、OMO7旭川の総支配人がたまたま、私が在籍するオフィスに立ち寄っていたため、そのようにホテルを活用される可能性があるのだろうかと答え合わせをするような気持ちで尋ねてみました。
すると総支配人は、さらりとこう答えました。「明らかに夏休みや年末年始には、そのような目的のお客様がいらっしゃいますよ。」聞けば、パブリックスペースである「OMOベース」で待ち合わせて、ローカルな会話を交わし祖父母が孫との再会を喜んだり、「明日はみんなで旭山動物園に行こう」と笑顔で約束を交わしたりする姿がよく見られるとのことでした。すでに現場では、OMOが家族の再会の場になっていたのです。
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OMO7旭川の「OMOベース」
さらに、お客様から寄せられるアンケートを読み込んでいくと、想像以上に多様な帰省スタイルがあることが分かってきました。例えば、「数年前に実家じまいをして以来、毎年OMO7旭川に訪れ、OMOベースの決まったスポットで記念撮影をする三世代の家族」、「実家にはペット用の環境がないため、愛犬と一緒にホテルに泊まりながら実家の家族と会う」というスタイル。また、「地方に住んでいる親が、都内に住む娘や息子の元を訪ねる『逆帰省』の宿として利用する」という声など。さらには「地元出身ながら、ゆっくりでき改めて地元の良さを再認識した」という方々もいらっしゃいました。
「快適な距離感」が、再会の喜びを大きくする
現場の総支配人の言葉や、お客様から寄せられたリアルな声は、私の中で一つの確信に変わりました。「実家に泊まらない」ことは、決して親不孝ではありません。ホテルと街の力を借りて少しだけ距離を置くことも、実は家族間での摩擦を減らし、純粋に再会を楽しむための「家族の適温」を作るのだと。
最近では「帰省ブルー」や「帰省離れ」という言葉に加え、個人の精神的な健やかさを保つための「メンパ(メンタルパフォーマンス)」という視点も社会に広まりつつあります。家族が久しぶりに集まる大切な機会だからこそ、お互いに無理をせず、快適な距離を保ちながら再会を純粋に楽しんでほしい。そんな思いから、「ホテル帰省」という新しい選択肢を正式に提案することにしました。
OMOでは、家族で過ごしやすい客室の紹介に加え、この夏、通常は宿泊者限定の夜のイベント「ローカルリズムナイト」に、宿泊していない実家のご家族も参加できる特別なサービスを行っています。街へ繰り出し、夜はみんなで集う。そんな夏の思い出作りを、ぜひ楽しんでいただければ幸いです。
ビジネスホテルや高級宿とはひと味違う、OMOの「丁度良さ」。これからもそれぞれの街で、皆さんの家族の温かな再会をそっと優しく支える場所でありたいと願っています。
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食事の後、寝るまでの時間もホテルの中で楽しめるイベント「ローカルリズムナイト」は家族連れ、三世代でも楽しめる
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