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持続可能な社会の実現が求められるなかで、企業にとって環境保全は、いまや避けて通れないテーマだ。
一方で、「環境のために何かしたい」という思いはあっても、何から始めればよいのかわからない、単独では継続が難しいと感じている企業も少なくない。
そうした企業が環境保全へ踏み出すための入口として、ブロードリーフが2008年から続けてきたのが、企業参画型の環境保全活動「GrowLeafプロジェクト(以下 GrowLeaf)」だ。社員の「お客さまやお取引先さまと、社会のために何か一緒にできることはないか?」という発案から始まったこの取り組みは、今年で18年目を迎える。
これまでGrowLeafは、認定NPO法人環境リレーションズ研究所が運営する森林再生プロジェクト「Present Tree」を通じた寄付による植樹活動を中心に、会員企業とともに活動を続けてきた。そして2026年5月、ブロードリーフ創業20周年記念の植樹イベントを機に、初めて自社で主導し、地域と連携する森づくりに取り組んだ。
今回は、ブロードリーフ 企画グループの木村里恵に、GrowLeafが大切にしてきた考え方、活動の輪を広げるなかでの試行錯誤、そしてこれから目指していく姿について聞いた。2021年の入社以降、このプロジェクトを受け継ぎ、社内外へ広げてきた木村に、環境保全を理念で終わらせず、現場で形にしていくことへの思いを聞いた。
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「子どもたちの未来、その先の世代へ」
GrowLeafは、ブロードリーフが推進する企業参画型の環境保全活動だ。
このプロジェクトの趣旨に賛同したお客さま企業とともに、1社1社では成し得ない活動に取り組んでいる。
これまで続けてきた寄付による植樹では、2008年以降、会員企業とともに活動を継続しており、これまでに植えた木は、4,987本(2026年5月時点)にのぼる。
木村は、GrowLeafが目指すものについてこう話す。
「子どもたちの未来、そしてその先の世代へ、かけがえのない地球環境をバトンタッチするための取り組みです」
GrowLeafの特徴は、1社だけで完結する活動ではないことにある。
それぞれの企業がそれぞれに環境保全へ取り組むのではなく、同じ想いを持つ企業がつながり、ともに森を育てていく。
「1社単独で行うのではなく、皆さまと手を取り合いながら、持続可能な循環型社会の実現を目指しているのが大きな特徴です」
ただ木を植えるだけではない。企業が参加し、ともに育てていく。GrowLeafには、環境保全を“誰かの活動”にしないための仕組みがある。
企業の「社会のために何かしたい」を、環境保全への参加につなげる
GrowLeafは、2008年に社員の発案から始まった。
「お客さまやお取引先さまと、社会のために何か一緒にできることはないか」。その問いが、プロジェクトの出発点だった。
木村の話のなかで印象的だったのは、「環境や社会のために何かしたい」と考えている企業は多い一方で、実際には行動に移せていないケースが少なくない、という点だった。
「環境のために何かしたいけれど、何から始めればいいかわからない」
「単独で取り組むには、資金や人員のリソースに限界がある」
「明確なメリットが見えづらい」
そうした悩みを抱える企業が集い、無理なく社会貢献できる場をつくる。
GrowLeafには、発足当初からそうした考え方があった。
「環境問題は、1社だけで解決できるものではありません。だからこそ、お客さまやお取引先さまと一緒に取り組むための『大きな輪』をつくる必要があると感じました。1社では難しいことも、皆さまと協力することで、持続可能な循環型社会の実現に少しずつ近づいていけると考えています」
GrowLeafは、単なる社会貢献活動ではない。
「ブロードリーフ」という社名の由来、そして企業理念そのものを体現する活動でもある。
※ブロードリーフの社名の由来はこちら
受け継いだ取り組みを、どう広げていくか
GrowLeafは、木村が入社する以前から続いてきたプロジェクトである。
木村がブロードリーフに入社したのは2021年。その後、このプロジェクトの担当となり、18年続く取り組みを受け継ぐことになった。
長く続いてきた活動だからこそ、守るべき考え方がある。
一方で、時代に合わせて変えていくべきこともある。
木村は、参加企業や社内の関係者と向き合いながら、活動の輪をどう広げていくかを試行錯誤してきた。
その中心に置いてきたのは、参加する人が「自分ごと」として関われることだった。
品川区に本社のある企業が集まり、花の苗を植える「しながわ花街道」の活動に参加。
CSR活動を進めていくには、横の繋がりも大切だと木村は話す
モビリティ産業のGX対応を支える、GrowLeafプロジェクトの価値
環境保全というテーマは、一見するとブロードリーフの本業から離れているようにも見える。
この点について聞くと、木村は「お客さまのビジネス推進に直結しています」と明確に言い切った。
「私たちの本業は、モビリティ産業のアフターマーケット領域を中心としたIT・情報サービスの提供ですが、この環境への取り組みはお客さまの資金調達や人脈拡大という「経営実利」に直結しています」
モビリティ産業では今、EV化や脱炭素化といったGXの波が押し寄せている。メーカーだけでなく、サプライチェーン全体で環境対応が求められる時代なのだ。
「『関係ない』では済まされない状況なのです」
GrowLeafへの参加がもたらす価値は、CO2削減への貢献だけではない。
「CO2削減への貢献はもちろん、企業イメージの向上や『環境に配慮する企業で働きたい』と考える若手人材の採用強化など、本業の競争力強化をサポートすることに直接つながっています」と木村は言う。
CSRとして切り分けるのではなく、これからの事業環境のなかで必要な取り組みとして捉える。
その視点が、GrowLeafの輪郭をよりはっきりさせている。
「共感」と「実感」を生む体験設計
では、GrowLeafを進めるうえで何を大切にしてきたのか。
この問いに対して、木村は迷いなくこう答えた。
「私たちが特に大切にしているのは、参加者の皆さまの『共感』と『実感』です」
その言葉の通り、GrowLeafでは単に寄付を募るだけではなく、土に触れ、苗木から森を育てる過程そのものを共に体験することを重視している。
「『どんぐり拾いから始まり、育苗、植樹、そして育樹へ』というストーリー性のある一貫した循環型モデルにこだわっています」
実際に植樹イベントに足を運び、土に触れる。
あるいは、福祉施設で育てた苗木を使った「里山づくりワークショップ」を商業施設やオンラインで開催する。
自分たちの行動が環境保全につながっていることを、頭で理解するだけでなく、肌で感じてもらう。
木村は、そこに強いこだわりを持っていた。
「自分たちの行動が環境保全につながっていることを肌で感じられる『体験の場』を提供し続けることを大切にしています」
自社主導で初めて形にした、地域協働型の森づくり
そうしたGrowLeafの考え方を、より具体的な形にしたのが、2026年5月15日・16日に広島県三原市で開催した、ブロードリーフ創業20周年記念の植樹イベントだった。
これまでの寄付による植樹とは異なり、今回のイベントでは初めて、植樹地の選定から現地パートナー探し、折衝、当日の運営までを自社主導で進めた。
このイベントで木村は、主要運営メンバーのひとりとしてプロジェクトを支えた。
1年以上前から現地団体との折衝を担い、実施に向けた調整や関係各所との連携を進め、当日も運営メンバーとして現場を支えた。
18年続いてきたGrowLeafの取り組みを、創業20周年という節目に、自社の手で、地域とともに形にする。
その裏側には、植樹地を探し、パートナーを探し、関係者と向き合いながら一つひとつ積み上げていく地道なプロセスがあった。
2026年5月に広島県三原市で開催した全社員参加による植樹イベントは、
現地の協力団体との交渉など1年以上にわたり準備を重ねてきた
参加した企業からも、取り組みの意義を実感する声が寄せられている。
ある参加企業からは、「貴重な体験になった」という感想に加え、GrowLeafへの参画が自社の社会貢献活動を示す機会となり、金融機関との交渉における好影響や、社外での新たな人脈拡大にもつながったという声が届いた。
このほかにも、実際に木を植えることで環境保全への貢献を実感できたことや、同じ志を持つ企業と参加することで社会貢献の輪が広がると感じたこと、地域に木を植える活動が未来を見据えた環境保護につながると感じたことなど、さまざまな反響が寄せられている。
植樹という体験は、環境保全への参加にとどまらない。
企業にとって、自社の姿勢を社内外に伝えるきっかけにもなり、人や地域との新たな接点を生む場にもなっている。
GrowLeafは、理念として語るだけではなく、人が動き、地域と向き合い、時間をかけて形にしていく実践である。創業20周年記念の植樹イベントは、そのことを示す象徴的な取り組みだった。
CSRで終わらせない。社会性と事業性を両立する新たなフェーズ
GrowLeafを推進していくなかで苦労していることについて聞くと、木村は、いま転換点にあることを率直に語った。
「これまではCSRの側面が強かったのですが、現在は活動規模の拡大に伴い、これを『収益性と社会的価値を両立する事業』へと発展させるという新たなフェーズに挑戦しており、そこが一番の苦労でもあり、やりがいでもあります」
環境保全活動を継続・拡大していくためには、ボランティアに留めず、自社にとっても持続可能なビジネスモデルとして確立させることが不可欠である。
そのため、いま新たな仕組みづくりに取り組んでいるという。
「森林由来のJ-クレジットの創出・販売や、企業ごとに森を設立できる支援など、企業にとってより明確な価値やメリットを提示できる仕組みづくりに日々奮闘しています」
“良いことだから続ける”だけでは、活動は広がらない。
“続けられる仕組み”へと育てていくことまで見据えている点に、GrowLeafの現在地がある。
「子どもたちの笑顔を見ると、胸が熱くなる」
ここまでは、会社としてGrowLeafに取り組む意味を聞いてきた。では木村自身は、どんな思いでこの活動に関わってきたのか。
「日々『未来の子どもたちへ豊かな環境を残すことに繋がっている』という強いやりがいを感じています」
そう話す木村が、特に印象的な場面として挙げたのが、本社のある品川区内の商業施設などで開催しているエコガーデンづくりワークショップでの光景だった。
「子どもたちがどんぐりから育てた苗木に飾り付けをして、本当に嬉しそうな笑顔を見せてくれたときは、胸が熱くなります」
さらに、GrowLeafの趣旨に賛同する会員企業から寄せられる声も大きな励みになっているという。
「『社員の環境意識が変わった』『家族に会社の良いところを知ってもらえた』というお声をいただくと、私たちがやっている『共に育む体験』の提供は、確実に未来の豊かな社会につながっているんだと感じます」
取り組みの価値を、数字や制度だけではなく、人の表情や言葉のなかで実感している。
そのことが、木村の言葉から率直に伝わってきた。
本社のある品川区の商業施設と協働で実施している「マイ・エコガーデン」づくり
ワークショップ。
当社のオフィシャルキャラクター「アースリーフ&ライトリーフ」は子どもたちに大人気
長年の地道な活動が、社内外の評価につながってきた
GrowLeafの積み重ねは、社外からの評価にもつながっている。
2025年2月には品川区の「環境保全活動顕彰」において、最高位の企業大賞を受賞。さらに2026年3月には、日本自動車会議所が主催する「クルマ・文化・社会・パートナーシップ大賞(CSP大賞)」において、『環境貢献賞』を受賞した。
今年の3月、第5回クルマ・文化・社会・パートナーシップ大賞の環境貢献賞を受賞
このような外部からの評価について、木村はこう話した。
「長年の地道な活動が、社会的に高く評価されるようになってきました」
社内でも、少しずつ文化として根づいてきているようだ。
「『どんぐりサポーターズ』という有志による社内での育苗活動が定着してきました。地元で採取したどんぐりから苗木を育てていく活動なのですが、社員が自ら周囲を巻き込みながら、楽しみながら環境保護に関わる文化が育っていることを実感しています」
誰か一部の担当者だけが進めるのではなく、社員が自分から関わり、周囲を巻き込んでいく。
GrowLeafは、社外への発信であると同時に、社内文化を育てる活動にもなっている。
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社内の有志による育苗活動『どんぐりサポーターズ』(木村は後列右)
本社のある品川等で拾ったどんぐりをプランターに植え、大切に育てている
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プランターに植えたどんぐりから芽が出て苗木が育ってきたら一株ごとに植え変える。 ひと手間をかけることで、より一層苗木の成長が加速する - (写真はアカガシの苗木)
目指すのは、「会員企業3,000社」「植樹30,000本」
今後、GrowLeafをどのような取り組みに育てていきたいのか。
そう聞くと、木村は具体的な目標を挙げた。
「まずは、この活動の趣旨に賛同いただいている皆さまと一緒に『会員企業3,000社』『30,000本の植樹』を達成したいという大きな目標を掲げています」
そのうえで、今後の展開として次のような構想も語った。
「新規に開拓している『ブロードリーフの森』内に企業ごとの森を設立する支援や、オフィスで育てられる育苗キットの販売、J-クレジットの活用など、新たなサービスを本格展開したいと考えています」
そして木村は、GrowLeafの広がりをモビリティ産業の中だけに留めるつもりはないと言う。
「モビリティ産業に留まらず、多様な業種の企業や自治体、さらには一般消費者の方々も巻き込み、GrowLeafを『環境保全活動を牽引する一大プラットフォーム』として大きく育てていきたいと考えています」
企業が単独で頑張るのではなく、多様な主体が一緒に参加できる場へ。
GrowLeafが目指しているのは、そうした広がりそのものだ。
「小さな葉っぱ」が集まれば、大きな森になる
最後に、GrowLeafを通じて社会や社内に伝えたいことを聞くと、木村はロゴに添えられた言葉を挙げた。
「GrowLeafのロゴには『青い地球を守る、緑の葉っぱたち』という言葉が添えられています」
そして、その意味をこう語った。
「1社1社、一人ひとりの力は小さな葉っぱにすぎないかもしれませんが、それが集まれば大きな森になり、地球環境を守り抜く確かな力になります」
大きな課題に向き合うとき、ひとりでは難しい。1社だけでも限界がある。
それでも、小さな力が集まれば、未来に向けた確かな動きになる。
木村の語り口からは、そんな実感がにじんでいた。
木村は、GrowLeafをこれからさらに広げていくうえで大切にしたい姿勢を、こう続けた。
「できることを、できる人が、できる範囲で楽しくやる、というスタンスで、強制ではなく、多くの人が共感をもって自らこのプロジェクトに参加いただけるようにしていきたいと考えています。それは気候変動や環境問題は『誰かがやってくれる』のではなく、『今できること』から未来へ向けて私たち自身が行動を起こすことが大切だと考えるからです」
“参加しやすいこと”と、“続けられること”。
GrowLeafは、その両方を成立させながら、次の世代に向けた責任を形にしようとしている。
【編集後記】
今回のインタビューを通じて印象的だったのは、木村さんの実直さと粘り強さだ。
2008年に社員の発案から始まったGrowLeafは、今年で18年目を迎える。木村さんは2021年の入社以降、この長く続いてきた取り組みを受け継ぎ、試行錯誤しながら活動の輪を社内外へ広げてきた。
創業20周年記念の植樹イベントは、GrowLeafにとっても新たな挑戦だった。木村さんの言葉の端々からは、理念だけではなく、現場で人と向き合いながら、一つひとつ形にしてきた手応えがにじんでいた。そうした積み重ねこそが、GrowLeafという活動の確かさを支えているのだと感じた。
取材・文:尾崎真弓(株式会社ブロードリーフ 広報)
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