加藤シゲアキさんの最新長編小説「なれのはて」のカバーデザインが発表されました。
10月25日の発売日まで1ヵ月となったこのタイミングで、書籍のカバーデザイン、および加藤さんのティザーポスターデザインが公開となりました。
<加藤シゲアキ「最も壮大なテーマで問題作」長編小説「なれのはて」で戦争が引き起こした家族の亀裂を描く>
本作は、1万字のプロットから始まり、構成をじっくり練り上げ、原稿に向きあった期間は約3年。原稿用紙740枚超の大作。舞台は、東京、秋田、新潟。そして時代も令和から、戦前戦後の昭和、そして大正までが描かれます。
カバーデザインは、「一枚の絵の謎」から始まる本作らしく「絵の具」をモチーフに、秋田・土崎空襲と密接な関係のある「石油」を想起させる黒が映える美しい装幀に。紙の手触りや箔など、写真では伝わりにくい細やかなディテールが魅力的なビジュアルになっています。
メインのキャッチコピーは「生きるために描く。それが誰かの生きる意味になる」。ボディコピーは「一枚の絵を通じてたどり着く『いつか還る場所』」と、様々な意味と想いを込めたコピーに。
総ページ数は448 ページ。戦争、家族、仕事、芸術、いまの「加藤シゲアキのすべて」を詰め込んだ重厚な1冊となっています。
また、「⼩説現代10⽉号」には複数のライター、書評家が本書についての原稿を寄稿。加藤さんのロングインタビューを担当したノンフィクションライターの⽯⼾諭さんは、「加藤もまた社会を⾒つめて、書き続けるという道を選んだ。それは変化を受け⽌めるということでもある。作家としての道を続けることにも、表現を続けることにも個⼈としての責任が伴う。時に⼤きな困難はあっても⾔葉を紡ぎ続ける責任を引き受けた̶̶。『なれのはて』は、現時点での彼の覚悟の結晶である。そんな評価がいずれついてくるだろう」と記述。
また、加藤さんによる「ミステリ」を待望していたという書評家の⼤森望さんは、「加藤シゲアキは、激動の歴史とどうしようもない⼈間たちのドラマを重ね合わせ、読み応えたっぷりの⼀⼤エンターテインメントに結実させた。新たな代表作と呼ぶにふさわしい傑作だ」と⾼い評価をしています。
同じく書評家の杉江松恋さんは、「他者には他者の理論があり、⽣きるための姿勢は⾃分とまったく異なる。加藤はそのことを理解し、⼩説の形で表現しようとした。⾏間から作者の声が聞こえてくるようだ。あなたを知りたい、⼼から。そうつぶやいている」と語り、同じく吉⽥伸⼦さんも、「『なれのはて』というタイトルの意味は、本書を読んで、実感して欲しい。そして、それが意味することの深さを、重さを、胸の中に沈めて欲しい」と絶賛。
さらに発売に先駆けて校了前プルーフを読んだ書店員からも「凄まじい引⼒を持った作品」「この作家に、この業界の未来を預けてみたくなった」「すごい作品を⼤切に売っていきたい」「この作家に出会えたことに感動を覚えた」など発売前から異例の熱い声がたくさん届いています。
芸術の痛みも、社会の問題も、時代の残酷さも、家族の愛も、あらゆるものが詰め込まれた物語の「なれのはて」。いまの「加藤シゲアキのすべて」を、エンターテインメント小説として昇華させた書き下ろし巨編は、加藤さんが「三十代半ばとなる(なった)私が何を書くべきか、問い続けた結果がこの作品です」と語る、集大成的な作品となっています。
<「なれのはて」あらすじ・概要>
ある事件をきっかけに報道局からイベント事業部に異動することになったテレビ局員、守谷京斗(もりや・きょうと)。異動先で出会った吾妻李久美(あづま・りくみ)が祖母から譲り受けた、作者不明の不思議な古い絵を使って「たった一枚の展覧会」を実施しようと試みる。
ところが、許可を得ようにも作者も権利継承者もわからない。手がかりは絵の裏に書かれた「イサム・イノマタ」の署名だけ。守谷は元記者としての知見を活かし、謎の画家の正体を探り始める。だがそれは、秋田のある一族が、暗い水の中に沈めた秘密に繫がっていた。
1945 年8 月15 日未明の秋田・土崎空襲。芸術が招いた、意図しない悲劇。暴走した正義と、取り返しのつかない後悔。長年秘められてきた真実は、一枚の「絵」のミステリから始まっていた。
戦争、家族、仕事、芸術……すべてを詰め込んだ作家・加藤シゲアキ「第二章」のスタートを彩る集大成的作品。
「死んだら、なにかの熱になれる。すべての生き物の成れの果てだ」
■タイトル:なれのはて
■著者名:加藤シゲアキ
■発⾏:講談社
■発売⽇:2023年10⽉25⽇(⽔)