恒松祐里さんが、松本ハウスの“コンビ愛”を称えました。
恒松さんは、『ザ・ノンフィクション「人生と笑いと震える手~相方が心を病んだ時~」』(9月10日14時~/フジテレビ※関東ローカル)のナレーションを担当。
1991年にコンビを結成し、『ボキャブラ天国』などの番組でブレイクした松本ハウス。ハウス加賀谷さん、松本キックさんのコンビで人気を博すも、ほどなくしてテレビから姿を消します。
ボケ担当の加賀谷さんが持病の統合失調症を悪化させたのです。松本キックさんは、相方の復帰を待ちながら、ピンで活動をするも泣かず飛ばず…。
2009年、10年のブランクを経てふたりはステージに復活しますが、「完全復活」にはほど遠く、そこから苦難の道が待っていました。それでもお互いを信じるふたりは、松本ハウスの復活をあきらめません。
フジテレビュー!!では、ナレーション収録を終えた恒松さんに、VTRを見た感想などについて聞きました。
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病気、コロナ、年齢…立ちはだかる現実にも夢をあきらめないふたり
「もう一度、ふたりで売れたい。再び、世の中を笑わせるために――」。そう願い、あがき続けるお笑いコンビがいます。
90年代に人気番組『ボキャブラ天国』でブレイクしたお笑いコンビ・松本ハウス。若き日の爆笑問題やネプチューンたちとしのぎを削り、人気となったふたりの当時の最高月収は300万円を超えたといいます。しかし、人気絶頂のなかでその姿はテレビから消えました。
売れっ子となり、忙しくなったことのプレッシャーから、ボケ担当のハウス加賀谷さんが統合失調症を悪化させて長期入院。残された松本キックさんは、ひとりで活動しながら、相方の復帰を待つことにするも、ピン芸人としては鳴かず飛ばずの日々が続きます。
ようやく「活動を再開したい」と加賀谷さんから連絡があったときには、活動休止から10年の月日が過ぎていました。
2009年、松本ハウスは復活のステージに立ちますが、その芸は「完全復活」にはほど遠いものでした。加賀谷さんは、病気の影響からか、ネタを覚えることも難しく、手の震えが止まりません。舞台上で体調を崩すこともあります。
一方、松本さんは、相方の病気を学び、体調に合わせながら復活できるよう試行錯誤の日々。活動休止期間に結婚をし、妻の稼ぎと週5日のアルバイトでふたりの子どもを養うギリギリの生活を続けていました。
そんななか、コロナが追い打ちをかけ、ライブもできなくなり…。再起を懸けて、笑いのステージに立ち続けるベテランコンビの夢と人生の行方を見つめます。
<恒松祐里 インタビュー>
――松本ハウスを取り上げた『ザ・ノンフィクション』の収録を終えていかがですか?
コンビ結成から32年、おふたりの人生の山あり、谷ありがすべて凝縮されているような映像でした。
多分、一番大変だった時期は映像よりももっと前にあって、現状は、まだ大変だけれど、少し落ち着いて自分たちを見られるといった状況だと思います。
それでも、おふたりを見て、今大変な状況にある方たちも、いつか波が「凪」になる瞬間はあるんだろうということを感じられるのではないかな、と思いました。
――今回、初めて知ったという松本ハウスの印象を聞かせてください。
おふたりのやさしさ、お互いへの愛が伝わってきました。特に、松本キックさんの仏(ほとけ)のような愛がすごくて。どうしたら、こんなふうになれるんだろう、と感じました。
ハウス加賀谷さんは、病気と向き合いながらも、芸人を辞めずに松本さんと一緒にやり続けていることが、まず素晴らしいと思いました。(一時期よりも)自分をコントロールできるようになり、だからこそ、即興だけではない漫才もできるようになったりして。
また、おふたりをYouTubeで見て、(病気の体験を話す)講演会のときにも、いかに聞いている人に伝わるかということを考えて、話す内容をネタのように構築して覚えて臨んでいることを知り、努力家でまじめな方々だと感じました。
加賀谷さんが自分を大切にしながらも、松本さんのこともとても大切にしてふたりで歩んでいる感じもすごく素敵な関係だと思いました。
――30年以上辞めずに芸人を続けている、その原動力はどこにあると感じましたか?
やっぱりお笑いが好きという気持ちだと思います。
特に、加賀谷さんは躾(しつけ)が厳しい家庭で育ち、親の期待に応えなきゃと思うなかで、お客さんを笑わせる芸人という職業があると知り、勇気づけられたと思います。
松本さんもお笑いが好きで飛び込んだ世界で加賀谷さんと出会い、夢を持ち、(お笑いが)好きで「これしかない」という気持ちが、厳しい状況を乗り越えられる原動力になっているのかなと思います。
そういうおふたりだからこそ、厳しい状況でも、なんだかキラキラして見えましたし、好きなことを仕事にしている人にしか出せないオーラといいますか、輝きを放っているなと感じました。
――ご自身にも共感する部分、通じる部分はありますか?
私も好きでこの仕事をやっていて、もう18年くらいになるんですけれど、中学卒業のタイミングであるとか、辞めようと思えば辞めるタイミングはありました。
でも、好きだから続けてこられているというのはありますので、すごく共感できます。
――ほか、VTRで印象的だった場面や共感した場面があれば教えてください。
30周年記念のライブのシーンです。それまで単独ライブができていなかったなかで、長い間待ってくださっていたお客さんがたくさんいたというのを見て、うれしくなりました。お客さんの温かい拍手が染みました。
私は仕事柄、なかなかファンの方に会うことができないので、自分にもこうやって見てくれている人がいるんだろうな、と想像ができ、勇気づけられました。
――松本ハウスは、ファンとの関係もそうですし、コンビ間、家族間でも、支え合いが印象的でした。恒松さんが“支えられている”と感じるのはどなたですか?
家族です。私も(ハウス加賀谷さんと同じで)実家に暮らしているので、生活的にたくさん支えてもらっています。
長くこの仕事をしているので、そんなに干渉されることはないのですが、疲れていると、ハチミツレモンのお湯割りを置いておいてくれたり、私の日常の変化をみて気遣ってくれるので、支えられているな、と感じます。
――改めて今回この作品に触れて感じたことを教えてください。
病気を乗り越えてお笑いを続けていく姿勢やおふたりの関係性が深く感じられて、自分自身、今後、悩みを抱えながら仕事をする方に出会ったときに、今までとはまた違った接し方や考え方ができるようになるんじゃないかと思いました。
また、松本さんが「結局は人と人との関係」ということをおっしゃっていましたが、どんな病気や障がいがあっても、大事なのは、相手を見るその人自身の目線や姿勢なんだということがすごく勉強になり、自分もそういう人でありたいと改めて思いました。
<ナレーションの一部を紹介>
<予告動画>
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9月10日(日)14時~「人生と笑いと震える手~相方が心を病んだ時~」予告