『テイオーの長い休日』を、名セリフで振り返ります。
船越英一郎さん主演の土ドラ『テイオーの長い休日』(7月29日/カンテレ・フジテレビ系)が、いよいよ最終回を迎えます。
このドラマは、仕事がなくなった“2サスの帝王”熱護大五郎(船越)が、ある事情を抱えた女性マネジャー・吉田ゆかり(戸田菜穂)とともに、人生のリベンジに奔走するヒューマンコメディ。
当初は、偏屈で傲慢で傍若無人、俳優としては一流だが、人間としては性格最悪…といった人物に描かれていた熱護ですが、回を追うごとにその株は急上昇!
一本筋の通った考え方と、バシッと響く名セリフで、心にキズを受けた周囲の人間を次々と救い出していくさまに、多くの賞賛や拍手が贈られてきました。
最終回を前に、各話の名セリフをピックアップ。「熱護語録」を通じて、テイオーの軌跡をたどります。
<熱護の心に残る名言集・前編>
HOLIDAY#1「変われない男」
元2サスのテイオー・熱護大五郎(船越英一郎)。彼のもとに、かつて芸能事務所でマネジャーをしていた吉田ゆかり(戸田菜穂)が転がりこみ、熱護のマネジメントをすることに。
生来の偏屈ぶりで、ゆかりを振り回し続ける熱護ですが、ゆかりの亡き夫・康介(大橋彰)が残した洋食店で起きた不審火騒ぎに興味を持つ。
そして、なぜか2サスの主人公「火災調査官・遠藤萌」の扮装で洋食店に現れ、“不審火”の謎を見事に解き明かします…。
セリフ①
「休みなんて御免こうむりたいね。役がなければ、役者は死人も同然だ」
熱護が、旧友の美術担当・東山(諏訪太朗)に言った言葉。オファーを待つことしかできない役者の悲哀と、役者としてしか生きることのできない熱護の生き様を表したセリフ。ゆかりからも同じことを言われました。
セリフ②
「自分のやり方が時代錯誤だということくらい、百も承知だ。でも、だからといってこれまでのやり方を否定し、時代に迎合するなんてことは俺はしない。できない!バラエティも出ない。(中略)クイズもNOだ。街歩きなんかもってのほか。こんなジジイが町を徘徊して何が楽しい。SNSもナシだ。私生活を自慢する人間の気が知れない。どうだ?これが熱護大五郎だ。それでも君は俺を返り咲かせると言うんだな?」
熱護が、ゆかりに初めて見せた自分の弱さ。自らの面倒くささを認めつつ、信念を曲げない熱護という人間そのものを表現しているセリフ。
実際には、バラエティや街歩き番組に、出演多数の船越さんが、このセリフを口にすることに、このドラマの面白みが。
これも名言!
「ドラマ班のころの俺って、嫌なやつだったでしょ。局Pの権力を自分の力だと思い込んでた。まして当時は、2サス調子よかったからね。連ドラよりよっぽど数字とってたし、肩で風切って歩いてたな」
2サス担当のプロデューサーだった有田(岩本淳)が当時の自分の態度を反省した一言。
このセリフを身につまされる思いで見ていた業界人も少なくないとか。
HOLIDAY#2「曲げない男」
ゆかりは、さっそく熱護に超人気刑事ドラマのゲスト主役の話をとってきます。が、熱護は、その台本の“欠陥”を指摘して却下。
脚本を手掛けた柏木美遊(工藤遥)と会って話すことで、もともと才能を持っていた美遊が、プロデューサーに言われるがまま台本を直すうちに、脚本の本質がどんどん損なわれていったことを知ります。
業界の悪しき風潮を「治療」すべく、熱護は闇の外科医に扮して現場に乗り込み、そしてすべてをただしました。
セリフ③
「あなたたちは一体どこを向いて仕事をしているんですか」
ドラマは視聴者を楽しませることが第一義。そんな仕事の本質を見失ったプロデューサーたちにつきつけたセリフ。ドラマ作りのみならず、すべての仕事に通じる言葉。
セリフ④
「『いつか』なんてない。分岐点は常に今だ。今、ここだ」
美遊に向けた言葉だったが、「いつかは、いつかは」と勝負を先延ばしにしている世の人たち全員を突き刺した言葉。
直前に登場する「いつか業界を変える、と言って実際に動いたやつを見たことがない」というセリフと併せて、「やりたいことがあるなら、偉くなれ」という言葉のアンチテーゼにもなっています。
これも名言!
「予算はどうするんです。僕らだって意地悪で言ってるわけじゃないんですよ。情けないほどお金がないんです。どうやってそんなシーン撮るんです?撮るんだったらどこ削るんです?言うんだったら代案も出してくださいよ!」
予算優先の台本直しをしていたプロデューサー・丸山(吉成浩一)のセリフ。敵役をただの悪人にせず、その立場だからこその苦悩もしっかりと見せることで、業界の問題点を浮き彫りにしました。
このセリフを受け、熱護は一番金(ギャラ)がかかっている自身の降板を提案。
HOLIDAY#3「妥協しない男」
ゆかりは、熱護に、今度は再現ドラマの仕事をとってきます。当初、拒否感を示していた熱護ですが、吉田家の長女・陽向(宮下結衣)が友人関係で悩んでいることを知り、なぜか出演を了承。
自分のやりたい仕事ができずにくすぶっているディレクター・豆原(市川知宏)らスタッフを巻き込み、徹底した役作りを始めます。
チームとして優れた成果を出すためにはどうすべきか、自分が本当に大事にしているものは何なのか。その答えの一つを示すために、熱護は、ゴルフシーンで完全一発撮りのホールインワンを決めました。
セリフ⑤
「目的のためになれ合いを排除する。実に合理的な判断だ」「だが随分と楽な道に逃げるんだな。(中略)ひとつだけ忠告しておく。角を矯(た)めて牛を殺すようなことはするな」
コンテストで良い結果を得るために、友人たちとのチームを 解散しソロで参加することを決めた陽向に向けたひと言。「角を~」は、本当に実現したい「大きな目的」を見失うな、という意味。
目標に拘(こだわ)るあまり、本当に大事なものを見失いがちな現代人に突き刺さる言葉かもしれません。
セリフ⑥
「携わる人間全員が、それぞれの持ち場でそれぞれ輝かなくては、いい結果は得られない」
チーム全員が輝くことが、俳優の自分にとっても最高の結果につながる、というドラマ作りの仕事の在り方を語りつつ、陽向に「チーム」の尊さを感じさせる狙いも。
これも名言!
「君があのこだわりの映像を撮れたのはなぜだ?一人で撮ったとでもいうのか?スタッフは常に自分の本気を引き出してくれる演出家を求めている。後は君次第だ」
ドラマ志望にもかかわらず、予算が守れずバラエティ班に飛ばされた豆原に告げた熱護のセリフ。豆原に、自分を信頼してくれる仲間がいることを思い出させ、物づくりへの情熱を再燃させました。
HOLIDAY#4「父親になれない男」
日置(河相我聞)が営む、地元の食堂に出入りするようになる熱護。しかし、その商店街で連続窃盗事件が起き、しかも吉田家の長男・悟(石原颯也)がその事件に関係していることがわかります。
悟は、何も語ろうとしませんが、実は、亡き父・康介(大橋彰)と交わした約束でジレンマを抱いていました。熱護は、孤独の料理人に扮して、「思い出のメンチカツ」を作り、康介への思いが断ち切れない悟にも、ゆかりたちにも、前に向かう勇気を与えました。
セリフ⑦
「いない人間を想っても状況は変わらねえぞ」
「当然だ。俺はお前たちの父親でもなければ夫でもない」
一つ目は、事故で亡くなった夫への思いを語るゆかりに向けたもの。二つ目は、父であり夫である康介を失った吉田家のために孤独の料理人・鯵野滑郎(あじの・なめろう)に扮し思い出のメンチカツを作るも、「味が違う」と言われた熱護のひとこと。
この言葉を受け、ゆかりは康介の死と向き合う覚悟を決めました。
セリフ⑧
「悟、料理人に最も必要なのは、味を記憶する能力だ。お父さんと同じ味を再現できる人間がいるとしたら、おまえだけだ」
父への思いで後ろ向きになっていた悟の目を、大きく未来に向かわせた言葉。ここまで「長男」としか呼んでいなかった悟に対し、初めて名前で呼び、1人の人間として真摯に向き合いました。
これも名言!
「世の中、損得で動く人間ばかりだ。大人がそんなだから、子どもも真似をする。そうやってどんどんみんな生きづらくなっていく。人が生きてくうえで一番大切なのは思いやりだ。お前は友だちを守った。父さん、お前を誇りに思うぞ」
生前の康介が、いじめにあっている友人を助けた悟に向けて言った言葉。大橋彰さんがやさしい父を好演しました。
『テイオーの長い休日』最終話は、7月29日(土)23時40分より、東海テレビ・フジテレビ系で放送されます。
<第8話あらすじ>
多額の負債を抱えたオリジンプロダクション。そんななか、熱護にビッグなオファーが舞い込んでくる。
アメリカの配信大手の有名監督、ジョディ・ハリス(太田緑ロランス)が日本とアメリカ共同製作で2時間サスペンスを撮るというのだ。
ただし、主役はオーディションで決めるという。そしてその競争相手こそ、熱護が最も嫌悪する大物俳優・桐林藤吾(大和田伸也)だった。
大ベテランの意地がぶつかり合うオーディションが始まる。お互い子どものケンカのように相手を罵(ののし)りながら自らの力を見せつける二人。そんな二人をただ面白がるジョディ。
そんななか、ゆかり(戸田菜穂)は、匠(今井悠貴)から熱護と桐林のある共通項を聞き出す。そこには熱護が熱護になった大きな理由が隠されていて…。
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