『テイオーの長い休日』より、松本圭右プロデューサーからコメントが到着しました。
船越英一郎さん主演の土ドラ『テイオーの長い休日』(6月10日/カンテレ・フジテレビ系)第2話が放送されます。
このドラマは、仕事がなくなった“2時間ドラマの帝王”熱護大五郎(船越+)が、ある事情を抱えた女性マネジャー・吉田ゆかり(戸田菜穂)とともに、人生のリベンジに奔走するヒューマンコメディです。
熱護大五郎(船越英一郎)は、時代の流れでテレビ局が2サスを作らなくなった結果、1年以上仕事がない状態。
そんな熱護のマネジメントをすることになった吉田ゆかり(戸田菜穂)でしたたが、熱護の「自分ルール」に縛られ、なかなか次の仕事が決まらない。
バラエティには出ない。SNSもやらない。台本が面白くなければ出ない…。時代に合わせて変わればいいのに、変われない不器用な男。
しかし、そんな男が、周囲の悩める人間を前向きに変えていくストーリー。なぜ、船越さんでこのドラマを作ったのか。そして、その狙いは何なのか。
同作の松本プロデューサー(以下、松本P)に話を聞きました。
『テイオーの長い休日』第2話は、6月10日(土)23時40分より、東海テレビ・フジテレビ系で放送されます。
<松本圭右 コメント>
――まず、このドラマが誕生したいきさつを教えてください。
そもそもの始まりは、船越さんとずっと一緒に仕事をして、それこそ何十本もの2時間ドラマを作られてきたホリプロの井上竜太プロデューサーとの出会いでした。
“2サスの帝王”という唯一無二の存在である船越さんで、ドラマを作りたい。しかも、土曜の夜に見てもらうものとして、大人の鑑賞に堪えられる“骨太なドラマ”を描きたい。そうしたところから、アイデア出しが始まったんです。
視聴者にどういうメッセージを伝えるか。これが何よりも大事でした。そんななか、なんで2時間ドラマは作られなくなったのだろうと改めて考えまして…正直、そこにはスタッフやキャストにはどうしようもない「時代の流れ」というものがあったのではないかなと。
それってもしかしたら、企画のキーになるんじゃないかと思ったんです。
ここ数年、時代が令和に変わったり、社会情勢も変わってきているなかで、自分の思いとは違うところで壁にぶつかっている方も多いんじゃないでしょうか。でも、それって誰のせいでもないと思うんです。悲しいけれど、時代はどんどん変わっていくものなので。
それに、その時代を作ってきたのは間違いなく、これまでの人生のはずですから、それを否定する必要もないと思ったんです。
そう気づいたときに、「今まで生きてきた道を貫くことだって、いいんじゃないか。そう!それでいいんだよ」と、エールのようなことを届けられたらと思い、あえて、“仕事がなくなった” 2サスの帝王を、船越さんに演じていただく内容としました。
――肝心の船越さんにOKをもらえるかどうかは、やはり不安だったのでは?
こういう企画で、1年以上仕事がない2サスの帝王なんですけどいかがでしょうか?と、ご本人にプレゼンするのは…本音を言えば、怖かったです。
場合によっては、それこそ熱護のように「ふざけるな!こんなのに俺は出ないぞ!」と却下されても仕方ない設定でしたから(笑)。
でも、船越さんは、企画の意図にのってくださって「面白いね」と言ってくださったんです。その後は、もっとこうした方がよりメッセージが伝わる、もっと面白くできる、というアイデアもくださって。
第1話では、冒頭で、熱護が自宅でコーヒーを飲むシーンがあるのですが、台本ではそこは普段の熱護のつもりだったんです。でも、「ここからもう演じたキャラで見せた方が面白いんじゃないか?」とアイデアをくださって、放送した形になりました。
でも、それって実は演じる側にはものすごくカロリーが高いことなんです。まずは、船越さんが2サスの帝王の熱護を演じる。その熱護がさらに別のキャラを演じるんです。
船越さんではなくて、熱護としてキャラを作るので、正直、船越さんの負担は普段の3倍以上じゃないかなと。でも、そんなときに船越さんがおっしゃった言葉が印象的で…。
「自分は、今まで、いろいろな作品に出てきたけど、こんな、ひとつの物語の中で何役もやらなければならないような話は初めてだ。この年になってまだチャレンジさせてくれて、ありがとう」と。
それを聞いて「ああ、船越さんが帝王で居続けられる理由は、まさにこの部分なんだな」と感動しました。
船越さんは、常に成長を止めない。それこそが帝王の帝王たる理由なんだなと思いました。
――放送後の反響はいかがでしたか?
放送はリアルタイムで自分も見るのですが、みなさまの温かな反応が本当にありがたく、「見ていただきありがとうございます!」と放送後もずっとSNSを見てしまって…。
そんななか、「熱護大五郎の語る言葉は、悲しいくらい古臭い。でも心に響くものばかりだ」というコメントを見つけて、思わず涙が出そうになりました。
それこそ、このドラマの狙いそのものだったので。
実は、熱護は弱者の代表なんです。作品がなければひとりでは何もできない。抗おうにもそのチャンスすらもらえない。
船越さんが演じるのでパッと見、弱くは見えないのですが(笑)、実は熱護こそが救われるべき弱者なんです。
それでも熱護は、自分を信じ続けている。弱者だからこそ、その強さ、言葉は、劇中の悩んでいる人々にも届くんです。
上から偉そうに言われても、人って素直に聞けないじゃないですか?対等だからこそ、響く言葉ってあるんじゃないかと思うんです。
それが視聴者の人にも届いていたんだと思って…このコメントを見つけたときは、本当にうれしかったです。
――この作品には、「テレビ業界モノ」のドラマとしての側面もありますね。
ホームコメディということで、ぶっ飛んだ展開や、設定なんかも盛りだくさんにしているのですが、ストーリーの中で解決されていく悩みは“リアル”なものにしようと決めていました。
そうしないと、ただの別世界の話になってしまうので。なので、ドラマの中で登場人物たちが言うセリフには、過去に我々、制作スタッフの誰かが実際に言われたり、そういうことを感じた、という言葉が盛り込まれています。
ドキュメンタリーに近い感覚で、自分たちの 心の中のキズ をさらけ出して作っているといってもいいかもしれません。誰かから傷つけられたキズ、逆に誰かを傷つけてしまった後悔のキズ…本当にいろいろなキズがあるんだな、と改めて痛感しました。
似たようなキズは、どんな業界の、どんな職場でもあるのではないか、と思います。そのキズをあえてえぐり出して、キズを負った人間たちがその先をどうやって生きていこうとするのかを描くことで、そこに希望を見出せたら、と思ってこのドラマを作っています。
手前勝手なことではありますが、それを見た視聴者の方が「あ、こんなやつらが頑張っているんだから、オレも頑張ろうかな、ワタシもがんばろうかな」と思っていただけたら、幸せかな、と思っています。
台本作りでは、プロデューサー、監督、脚本家、みんなが自分たちの体験を話しながら、ある意味、セリフドキュメントを作っている感覚があります。
特に第2話は、工藤遥さん演じる新人脚本家が、台本打ち合わせでものすごく苦労する話なのですが…自省の念もこめて、結構ひどいプロデューサーが登場したりもしています(笑)。
そんななか、それこそ船越さんのことを誰よりも知っている井上プロデューサーも台本作りには参加しているので…もしかしたら、「船越さんご本人のキズ(思い出?)」もどこかに反映されているかもしれません。
制作の現場にいる僕らも、「これはもしかして、リアル船越さんの姿なのかも…」と思いながら撮影しているシーンもあったりするので、視聴者のみなさまには、そういう楽しみ方もしていただけると、面白さがいっそう増すかもしれません。
ただ、最後にひとつだけ声を大にして言いたいのは…船越さんは熱護と違って、めちゃくちゃいい人です(笑)!
<第2話あらすじ>
元2サスの帝王・熱護大五郎(船越英一郎)のマネジメントをすることになった吉田ゆかり(戸田菜穂)。
なぜか熱護の家で3人の子どもたちも含めた奇妙な同居生活を強いられることに…。
そんななか、ゆかりは7年前まで担当していた人気俳優・伊集院大樹(白石隼也)のツテで、超人気刑事ドラマのゲスト主役の話を持ってくる。
が、熱護は「この本は欠陥品だ」と却下。自ら脚本家の柏木美遊(工藤遥)に会いに行くと言い出す。
熱護をなんとかなだめ美遊に会いに行ったゆかり。そこには、プロデューサーに言われるがまま台本を直す美遊の姿があって…。
「仕事をもらうためには仕方がないんです」 という新人脚本家に、熱護は…。
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