3月8日は国際女性デー。「女性の生き方・働き方」に注目が集まる今、医学部の女性合格率は上昇し、2025 年度の医学科合格率において女性が占める割合は 39.9%(2018 年度34%)と、医師における女性医師の比率は年々上がっており、女性医師の働き方には注目が集まっています。※
そのような医療の最前線でキャリアを切り拓く一人の女性医師がいます。京都大学の医局を経て、現在は東京・新宿で保険診療から美容までをカバーする「新宿駅前IGA皮膚科クリニック」を開業し、院長を務める伊賀那津子先生です。
結婚、移住、出産、そして開業。人生の節目ごとに訪れるさまざまな岐路を、彼女はどのように選択してきたのか。その傍らには、一人の女性として寄り添い続けるMRTエージェント・國分友奈氏の姿がありました。出会いから約7年。複数回にわたる非常勤・常勤先の仲介を通じ、國分氏もまた、先生に寄り添い続ける中でキャリア10年を数え、現在は40名のメンバーを率いるマネジャーへと成長を遂げています。
二人の対話を通して、これからの女性医師、そしてエージェントが輝き続けるためのヒントを探ります。
※ 日本医師会「令和6年度 女性医師の勤務環境の現況に関する調査 報告書」より抜粋
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写真左:新宿駅前IGA皮膚科クリニック 院長 伊賀那津子先生
写真右:MRT株式会社 メディカル・ヘルスケア本部キャリア事業部 医師常勤グループマネジャー 國分友奈
ライフイベントと専門性を両立させる女性医師のキャリアの再定義
京都から新天地・東京へ。医局を離れ、患者さんのニーズから見出した新しい挑戦
-まずは伊賀先生、これまでのご経歴と開業に至った経緯を教えてください。
伊賀先生:
私は京都大学の医局に所属し、大学院で医学博士を取得しました。転機は結婚です。夫の転勤で東京へ移住することになり、知人もいない土地で「まずは働かなければ」と、エージェントさんの力をお借りしたのが始まりでした。当初は皮膚科での保険診療のみでしたが、勤務する中で「ニキビ跡の赤みを取りたい」「色素沈着をなんとかしたい」といった治療後の人生に関わる美容のニーズの高さを実感し、保険診療から予防、そして美容へと繋がる今のクリニック(新宿駅前IGA皮膚科クリニック )を開設しました。
-そのプロセスで伊賀先生が培われた医療観や大切にされていることはどんなことでしょうか。
伊賀先生:
できる限り患者さんに寄り添っていきたいですね。肌の状態や生活環境をふまえた治療や投薬をご案内しています。新宿もお忙しく働かれている人がたくさんいらっしゃいますので、駅チカで受診しやすいようにといったことも考えました。
-生活の変化により思い通りにならないこともたくさんあったかと思いますが、そのあたりはいかがでしたか。
國分:
伊賀先生が東京に来られたばかりの頃は、まだお子さんがいらっしゃらなくて、ご夫妻でバリバリ働かれていたので、大きな変化でしたよね。
伊賀先生:
そうですね、東京に来た頃は体力もあって、千葉県の方で17時まで働いて、都内で19時から21時まで働けるところを探していただいていました。
やはり子どもが生まれると結構時間的な制約はでてきますね。2歳と4歳の子どもがいまして、夫も忙しいので、ベビーシッターさんや義理の両親にお願いしたりしてなんとか回っている状況です。
-國分さんのご紹介もお願いします。
國分:
私は、2016年にMRT株式会社へ入社し、医師の非常勤紹介エージェントとしてキャリアをスタートしました。2023年に常勤紹介部門の立ち上げに携わり、現在は医師常勤紹介グループのマネジャーを務めています。
MRTは「医療を想い、社会に貢献する。」という理念のもと、医師・医療従事者・医療機関を大切にし、常勤・非常勤の両部門が連携して先生方のキャリアやライフスタイルに寄り添ったサポートを行っています。そんなMRTが大好きで、あっという間に10年が経ちました。
エージェントとしては、この10年で延べ約600人の先生方のキャリアデザインに携わらせていただきました。多くの先生と長きにわたるお付き合いをさせていただく中で、ライフスタイルの変化や夢の実現など人生の転換点での大切なご相談をしてくださることがとても嬉しく思っています。
女性医師を取り巻く環境。働き方改革が進む現場で「変わったこと、変わらないこと」
-働き方改革が進む中、現場の変化を感じますか?
伊賀先生:
大きな組織を離れてから働き方改革が始まっているので、詳細まではわからないですが、大学病院でも子育て支援など制度が整いつつあり、多様な働き方が認められる過渡期ではあると思います。
私が医局に所属していた頃は、土曜勤務も当たり前でした。 皮膚科で女性の医師も多かったので、お子さんがいて当直ができないときには他の人でカバーするという受け入れ体制はあったかと思います。逆に別のことで周りの人に協力的であることは必要とされていました。
また、専門医を取るためには総合病院で働き、症例を重ねて、臨床経験をたくさん積む必要がありますし、土日も学会発表や論文執筆があり、一時的に大変な時期はどんな業界にもあるのかな、とは思っています。
理想の働き方を手繰り寄せる。女性医師の「厳しい条件」を突破したエージェントの交渉とは
駅の改札前で。若手エージェントの熱意と女性医師の「明確なビジョン」が結んだ信頼
-お二人が初めて会った時の印象はいかがでしたか?
國分:
駅の改札前で待ち合わせしたのを今でも鮮明に覚えています!伊賀先生はとってもサバサバしたお話しやすい方で。「専門医を取りたい」「将来は開業したい」というビジョンが驚くほど明確で、芯の強い先生だなと圧倒されました。
私は当時入社2~3年目の駆け出しの頃でしたから、そんな先生にアドバイスするなんておこがましくて、とにかく先生のご希望にあう求人案件をたくさん探して選んでいただけるようにしていました。
伊賀先生:
私は東京に来たばかりでとにかく必死で(笑)。でも國分さんが一生懸命に紹介してくださる姿を見て、「この人ならお任せできる」と確信しました。
「不妊治療中」を理由に断られた過去。医師の事情に寄り添い、エージェントが切り拓いた道
-サポートを通じて、気づかなかった価値観や可能性は見つかりましたか?
伊賀先生:
実は以前、他社のエージェントさんに「不妊治療中なので急に休む可能性がある」と伝えたら、「そういう方は受け入れられません」とはっきり断られたことがあったんです。でもMRTさんに相談したら、國分さんは私の事情を受け止めてくれました。都内でも症例数、勤務医師の多い、つまり急な休みでも対応が可能なクリニックを紹介してくださいました。
國分:
条件が厳しいから無理、ではなく、「どうすれば可能になるか」を考えました。先生がプライベートなことまで信頼して話してくださったのが嬉しくて、なんとかお力になりたいと思い全力で探しました。伊賀先生がご希望を明確におっしゃってくださっていたので、ご希望にあうクリニックをイメージしやすかったことも大きいです。
伊賀先生:
出産後も、美容医療を行っているクリニックに、未経験で週3という条件でお願いしたこともあります。結構難しい条件だったと思うのですが、私からは言いづらいことも事前に話をつけておいてくださったのはありがたかったです。
國分:
難しいのは事実です。医療機関の採用担当者によっては、女性のライフイベントについての理解を得づらいことも多くあります。でも、「難しい」と「不可能」は違います。
このときは、医療機関の院長先生が女性で子育てをしながらクリニック運営をしているということがわかり、院長先生に直談判しました。
伊賀先生:
私個人では絶対に無理だったと思います。國分さんの後輩の方に担当いただいた際にも、「この案件はやめたほうがいい」と率直な意見をくださったり、開業後のことを考えて競合回避のために別エリアで提案してくださったりしました。ネットの求人票には載っていない「多角的な情報」を知っているエージェントさんの存在は、本当に心強かったです。
國分:
先生方は私達が思っている100倍忙しいと思っています。MRTのエージェントはみんなその忙しい先生方にご迷惑をかけないよう、余分な時間をとらせないように意識しています。私自身、先生のお時間を取らせない工夫として、先生の情報やご希望については、勤務条件だけにとどまらず、先生の価値観、お時間的なご都合、将来のビジョンなど多岐にわたりしっかりとヒアリングするようにしています。そうすることで、そのあとのご提案の精度が上がりミスマッチのないご紹介に繋がります。先生の人生に関わることですから、目先のことにとどまらず、先生の長期的なキャリアデザインを自分のこととして考えてご紹介しています。
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伊賀先生のご経験、こだわり、想いが詰まった「新宿駅前IGA皮膚科クリニック」は、「治す・整える・予防する」まで総合的にケアし、根本改善を目指す皮膚科・美容皮膚科。開業前から取り組んできた「IGA LAB (アイジーエーラボ)」では、肌免疫研究から着想を得た独自のスキンケア・メソッドを反映したメディカルコスメを商品開発。さらに、Instagram「皮膚科医 いが」では、解説から啓蒙までを伊賀先生自らが行う。
医師×エージェントの共通点:「誰かのために」という想いを仕事のプライドにのせて
壁にぶつかった時の切り替え術。孤独な決断を支える「一人で抱え込まない勇気」
-お二人とも「誰かのために尽くす」お仕事ですが、困難の乗り越え方は?
伊賀先生:
開業当初は患者さんが来ない不安や家賃の重圧もありました。でも「引きずっても仕方がない」と切り替えるようにしています。本当にどうしても嫌なことがあったら呑んだりもしますが(笑)。同じ境遇の友人や先輩に話して共感を得たりアドバイスを貰ったりしています。
國分:
私は、先生方が向き合っているのは「命」であり、「患者さん」であり、過酷な現場にいることを忘れないようにしています。先生方のサポートをさせていただいているので、私たちエージェントが壁にぶちあたって辛いと言っている場合じゃないと思っています。
「生きやすさ」の鍵を握る、職場・友人・家庭、それぞれのコミュニケーション術
-理想を実現するため、よりよい職業生活のため、など目的とそのためのコミュニケーションにおける工夫はどのようにされていますか。
伊賀先生:
勤務医だった頃と、開業してからでは大きく変わりました。勤務医の頃は看護師さんとのコミュニケーションだけだったのが、開業してからは受付の方にもいろいろとお願いすることも増えたりして。直接の会話を大事にしています。
仕事関連で話したいときには同じ時期に開業した友人と話したり、開業されている先輩に相談します。先輩には2回相談していて、1回目は開業したてで患者様になかなか認知されていなかったとき、実務的な方法をお聞きしました。2回目は人とのコミュニケーションについてで、開業したら人の問題は永遠に起こり続けるから来たら来たでその時に対処しましょうとアドバイス頂きました。最近は、そこまで重く受け止めすぎないようにはなってきたかな、と思います。
家ではクリニックの話はあまりしませんね。夫とは職業も違いますし、私も少し仕事から離れて家族との関係も大切にしたいですし。
國分:
私は仕事で悩んだときには、エージェント同士で話すよりも、先生に直接お聞きするようにしています。先生のことで悩んだときは先生に直接聞く、夫のことで悩んだときは夫に直接聞く。ストレートなコミュニケーションを大切にしています。
マネジャーとしても、メンバーとのコミュニケーションは伊賀先生と同じく直接の会話を大事にしています。その中で、メンバーにも、一つの選択肢として私の方法を提案しています。
心地よい人生をデザインし続ける。次世代へのメッセージ
体調管理を最優先に。オンオフを切り替えて描く「未来」
-今、未来に向けて意識的に取り組んでいることはありますか?
伊賀先生:
開業医として体調管理を最優先しています。子どもが風邪を引いたときに自分の免疫力も弱っていると症状が出てしまいますし、私が休むとクリニックも休診にしなければならない。勤務医の頃は深夜まで働いていましたが、今は夜10時には寝ています。オンオフをはっきりつけ、休日は子どもとしっかり遊ぶ。若い頃とは価値観が変わりましたが、今のバランスが一番心地よいですね。
國分:
先生がご自身の幸せを大切にされている姿、本当に素敵です。私自分自身にも、チームのメンバーにも「まずは自分が幸せで、余裕を持つこと」を伝えています。自分が楽しんでいないと、先生を幸せにするための良いアイデアも浮かんできませんから。
それから自分で選択することを意識しています。何事も「やらされている」のではなく「自分で選択する」。そう決めるだけで後悔のない日々を送ることができます。
「ブランク」を強みに変えて。自ら選択し、人生を謳歌するエール
-働く女性たちへ、メッセージをお願いします。
伊賀先生:
若いうちは体力もありますし、失敗しても取り返しがつきます。私自身、保守的になって一歩が遅れたかなと思う時期もありましたし、長く仕事をしていれば、挫折やブランクを経験することはあると思います。でも、それがいつか必ずプラスになると思いますから、思い切って何でもチャレンジしてほしいですね。
國分:
先生が仰る通り、歩んできた道に無駄なことなんて一つもないんですよね。私は、この10年、多くの先生方の人生の選択に立ち会ってきましたが、その度に「自分で選ぶこと」の強さを教えていただきましたし、それを私からも伝えていきたいです。先生みなさまの「自分で選ぶ」、その意思決定を支えるのが私たちの役割です。情報が不足している状態では、最適な選択はできません。医療機関で経験できること、組織文化、院長の考え方まで把握し、判断材料を提示する。それがエージェントの責任だと思っています。一歩踏み出すのが不安な時は、ぜひ私たちエージェントを頼ってください。
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7年にわたるお付き合いを続けてきた國分と伊賀先生はとっても仲良し。友人関係とはまた少し異なる、確かな信頼関係を感じる。
おわりに
伊賀先生と國分氏の対話を通して見えてきたのは、キャリアとは単なる「職歴の積み上げ」ではなく、人生という物語をどう豊かにしていくかという「選択の連続」であるということです。
住み慣れた土地を離れる不安、結婚、出産、育児と言っためまぐるしいライフステージの変化、家庭と仕事の両立への葛藤、そして未経験の分野への挑戦。女性医師が直面するこれらの壁は、決して一人で抱え込むべきものではありません。専門的な知見を持ち、人生の節目に深く共感し、時には本人以上にその可能性を信じて「直談判」も厭わない――。そんなエージェントという伴走者の存在が、医師が本来持っている力を最大限に引き出す鍵となります。
【女性医師の生き方・働き方FAQ】
Q1:現在の職場を離れて転職・開業する際、失敗しないためのポイントは?
A: 自身のライフビジョンを明確にし、それを共有できる信頼できるパートナー(エージェント)を見つけることです。単なる条件交渉だけでなく、今回の伊賀先生のように「5年後、10年後にどうありたいか」を逆算してキャリアを設計することが、ミスマッチを防ぐ鍵となります。
Q2:不妊治療や出産、育児と、医師としてのキャリアは両立できますか?
A: はい、可能です。ただし、急な欠勤や勤務形態に柔軟な理解がある職場を、事前の交渉で確保することが重要です。医療機関の組織文化(子育て中の医師の在籍状況など)を事前に把握することで、無理のない両立が可能になります。
Q3:信頼できる医師エージェントを見極める基準は?
A: メリットだけでなく、リスクや現場の「多角的な情報」を正直に伝えてくれるかどうかです。また、これまでの実績や経験年数だけでなく、一人の人間として今の悩みや事情に寄り添い、共に解決策を考えてくれる伴走型の姿勢があるかを確認しましょう。
【文中の用語集】
◆国際女性デーとは
「国際女性デー(International Women’s Day)」は、国際婦人年である1975年3月8日に国連で提唱され、その後、1977年の国連総会で議決されました。
日本では、3月8日に、男女共同参画担当大臣が、国際女性の日に寄せてメッセージを発出しています。
女性たちの成果を称えると同時に、教育・雇用・政治参加などに残る格差や不平等、暴力の問題を考える日とされています。国際女性デーは、SDGs(持続可能な開発目標)の目標5「ジェンダー平等を達成しよう」とも深く関わり、女性の権利とエンパワーメントを推進する世界的な取り組みの契機となっています。
※3月8日は、「ミモザの日」とも呼ばれ、黄色いミモザの花がシンボルとして親しまれています。
【参照】
公益財団法人 ユネスコ・アジア文化センター内 ユネスコ未来共創プラットフォーム
公益財団法人ユネスコ・アジア文化センター (ACCU) 教育協力部内 ユネスコスクール
◆医師の働き方改革とは
日本の医療は、医療機関に勤務する医師の献身的な長時間労働により支えられてきた側面があります。
「医師の働き方改革」とは、こうした現状を“改革”し、医師が健康に働き続けられるような環境を整備することで、患者さんに提供する医療の質・安全を確保すると同時に、将来にわたって持続可能な医療提供体制を維持していくための取組です。
このうち、医師の残業時間に上限を設ける制度が令和6年4月からスタートしています。
【参考】
◆女性医師が働く環境について
医学部の女性合格率は上昇し、2025 年度の医学科合格率において女性が占める割合は 39.9%(2018 年度34%)と、医師における女性医師の比率は年々上がっています。
仕事と家庭生活の両立に向けた就労環境・規則の整備状況については、『整備されている』が55.2%(前回52.2%)でした。(中略)仕事を続ける上で必要な支援策としては、『人員(医師)の増員』(71.1%)や『主治医制の見直し』(55.5%)を求める割合が増えました。
休職・離職の経験は『ある』が36.1%となり、前回(49.3%)から減少しました。理由は出産が最多で、次いで子育て。(中略)出産・育児中の働き方では、育児休業を取得しなかった医師の休職・退職が35.7%で、前回(34.2%)より増加しました。
【参考】
日本医師会「令和6年度 女性医師の勤務環境の現況に関する調査 報告書」より抜粋
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