出川哲朗さんが、実験的なバラエティ番組の見どころを語りました。

出川さんのことを“アニキ”と慕うフジテレビの3人の若手ディレクターが、「出川哲朗の新たな魅力を引き出したい」と考えた3つの新たな企画に挑戦する実験的バラエティ『出川のアニキ!』(3月31日/フジテレビ ※関東ローカル)が放送されます。

<出川哲朗×フジ若手ディレクターによる実験的バラエティ『出川のアニキ!』放送>

入社8年目、玉置遼ディレクターの企画は、街にいる「なぜ?WHY?」と気になるような人生を送っている人を自らディレクターとなって徹底取材をする「WHY!?そんな人間に!?」。

入社6年目、坪井一季ディレクターの企画は、出川さんを“オイシく”してくれる新たな料理を子供料理人が考えて振る舞う「出川哲朗が“オイシくなる”料理 ~出川専属 天才子供料理人~」。

入社6年目、岡耕平ディレクターの企画は、令和のモテ男のデートをウォッチングし、女性がリアルに「この人、かっこいい!」と思った言動をズバリ当てる「REALにかっこよくない?」。

三者三様、出川さんのことを考え、練り上げた渾身のバラエティ番組です。

番組の収録を終えた出川さんとディレクター3人が取材会に出席。収録の感想のほか、出川さんにはこれまでの芸能生活で印象的だったディレクターとの出会いについても聞きました。

出川哲朗 スタッフの熱量に「しびれました」

<出川哲朗、玉置遼、岡耕平、坪井一季 インタビュー>

──番組のオファーを受けた時の心境を聞かせてください。

出川:正直言うと、フジテレビさんが一番仕事していない局なんですよ。だから、逆によくこういう企画をやらせてもらえたな、という印象が強いですね。

すごくありがたくて、うれしかったんだけど…正直、こんな大変な規模でやると思っていなかったので、今日収録に来てびっくりしました。だって、収録終わりにこんな取材を受けると思ってないし(笑)。

ただ本当に、収録には熱を感じて…とにかくセットにびっくりですよ。とても深夜番組のセットじゃない。3つの企画を収録しましたけど、3本ともちゃんとセットを組んでもらっていて。ただでさえ(テレビ番組は)お金がないのに(笑)。だから、申し訳ないのとありがたいのと、そんな気持ちでした。

企画を立ててくれたディレクター3人の方ももちろんだけど、技術さんとかスタッフの皆さんの熱量をめちゃ感じたので、それだけで演者は「頑張ろう!」って素直に思える。しびれましたね。

──セットのどんなところに驚きましたか?

料理の企画では、キッチンセットを対面で2つ作っていて。

あと細かいところで言うと、僕のいろんな顔のパネルを飾ってくれていたり、僕がスワローズファンだからっていうことでつば九郎の人形を置いてくれていたり、3本目の収録ではバンクシーみたいな…(番組スタッフ「バスキアですね」)あぁ、バスキアだ!バスキアみたいな雰囲気で僕のことを描いてくれた絵が置いてあって。

そういう細かさに驚きました。

料理企画では2つの“おいしさ”が共存するんだとびっくり!

──収録を終えて、率直な感想を聞かせてください。

出川:どんな感じになるのかなと思ってたけど、リアルガチに3本とも本当に面白かったですね。それぞれ特徴があったから、1時間半の番組にしちゃうのがすごくもったいない!

──玉置Dが担当した「WHY!?そんな人間に!?」は、街で見つけた不思議な人生を歩んでいる人の中から、特に気になった“WHY人間”に出川さんが1対1で直接取材を行う企画。今日の収録では街録インタビューを見て、後日取材となりますが、いかがでしたか?

出川:最初は「どんな人たちが出てくるのかな?」と思っていて。途中、奇抜な格好をしたおじさんとかも出てきたんですけど…テレビだとそういう人たちを並べがちだけど、そうじゃなく、見た目は普通だけど「この人の話、ちょっと聞きたいな」っていう“気になる人”をちゃんとチョイスしてて。

チョイスのし方が、うまいなと思いましたね。あれはたぶん、とんでもない数の人を取材してると思います。

玉置:出川さんは、たぶん日本一いろいろな人がガードせずに話しかけられる方だなと思ったことが今回の企画の発端でした。そんな出川さんが、話を聞く側に回ってみたら、皆さんは何を話してくれるのか。出川さんの取材パートは収録前ですが、すごく楽しみです。

今日は僕たちが撮ってきた、出川さんがインタビューする方を選ぶための街録を見ていただく収録でしたが、終わったあとに出川さんが「面白かったね」と言ってくださって。

しかも今お話してくださったように、テレビ的な方ではなくて、市井に生きている人だけど、お話を聞いてみたらすごい人生を歩んでいたり、変わったことに熱中していたり、“内面の興味”をテーマにしていました。そこに気づいてくださったことが一番うれしかったです。

──坪井Dが担当した、「出川哲朗が“オイシくなる”料理 ~出川専属 天才子供料理人~」は、キッズ料理コンテストで入賞経験などがある3人の天才子ども料理人が出川さんを“オイシく”するための美味しい料理を振る舞う企画。収録はいかがでしたか?

出川:最初に企画を聞いたとき、天才子ども料理人だったら、「『出川がオイシくなる料理』よりも『ちゃんとした料理』を食べたいですね」とか言っちゃって。でも、今回は若いディレクターが企画を考えてくれたということだったので、あまり口を出さず、やりたいことをやってもらったほうがいいのかなと思って、僕の意見は気にせずにやってもらいました。

収録前の打ち合わせのときに、「採点のなかに、『リアクションがオイシくなった』ということだけじゃなくて、『料理の美味しさ』も半分入れてくれ」と言われて。「この人は何を言ってるんだ」と思いましたね(笑)。

罰ゲームとしてリアクションがオイシくなる料理が、美味しいわけ無いじゃないかって。「それは矛盾してますよね?」って言ったんだけど、「でも、子どもたちは美味しいと自信を持ってるんで」と言うから…。それも、いつもだったら「おかしいですよ!」となっちゃうんだけど、ディレクターの熱い思いがあるので、やってみようと思って。

そうしたら、(料理が)めちゃくちゃ熱いし、辛いし、苦いんだけど、その直前の一瞬が美味しかったりするんですよ!だから、「リアクションがオイシい」と「(味が)美味しい」は、共存するんだということにびっくりしました。

あとは、散々、熱々おでんとかやってきましたけど、今回は地獄谷みたいな(熱い)料理が出てきて(笑)。今までにない初めての画を見せてもらいました。

それに、ある子が僕に「長生きしてほしいから」と言ってセンブリ茶の料理を用意してくれて。カメラが回ってなかったら、その場で抱きしめていたくらいかわいかったです!

坪井:僕としては、とにかく出川さんに助けていただいたなと感じています。この番組は『出川のアニキ!』という大きな枠のなかで、僕らが出川さんの胸を借りる番組です。

そこで、僕がいつも考えているようなことじゃなくて、出川さんがもっと体当たりできるものがないかと考え、今回の企画を思いつきました。見たい画が撮れて、僕が見たい出川さんが見られて、すごく幸せな時間でした。ありがとうございました!

──岡Dが担当した、「REALにかっこよくない?」は、今いちばんモテる人気格闘家・皇治さんのデートを見ながら、女性をキュンとさせる“リアルにかっこいい言動”を当てる企画。この企画の収録はいかがでしたか?

出川:一緒に皇治さんのデートのVTRを見た陣内(智則)くんも、あの…ゆきりんごちゃん……(番組スタッフ「さゆりんごです」)さゆりんご(松村沙友理)ちゃんだ!2人も言ってましたけど、これも面白い企画でした。

デート企画はこれまでにもいっぱいあったけど、モテる男のデートを見させてもらうという番組はなかったな、と。そこを気づいたのも素晴らしいと思うし、番組として面白かったですね。

今回は皇治さんだったけど、女性のモテる方のデートを見せてもらうっていうのもいいなと思ったし、可能性をすでに感じてます。

岡:皇治さんと打ち合わせをしたとき、気さくな方で、本当にモテそうな方だなと感じました。そして「この人とデートをしてもらうのは、誰がいいんだろう」と考えて、ご本人にも聞いたところ、目の前にいた林さん(番組スタッフ)を指名されて。

番組の流れ上、これが本当に合ってるかどうか分からないですけど、その皇治さんの言葉を面白がれたことが、今回のデートがうまく運べた要因かなと思っています。

今回は、出川さんと皇治さんと林さんのおかげで、なんとか良いものになったなと思っています。

出川さんをはじめ出てくださる方が、若手の僕が考えたものを「面白い」と言ってくれたことが、本当にうれしかったです。

出川哲朗の魅力は「人に対しての愛情」「男らしさ」「リアクション」

──今回出川さんと一緒に仕事をして、改めて「かっこいいな」「勉強になったな」と思ったことはありますか?

玉置:僕が言うのもおこがましいですが、出川さんは人に対して愛情があって、人に興味がある方なんだなと思っています。VTRを見てひと言何か言うときも、普通なら引っ掛からないところにコメントしていて。そこが魅力的だなと改めて思いました。

出川:ちゃんと見てるなぁ。人は本当に好き。ただ、僕のよくないところは、興味ないことには全く興味を示さないところですね(笑)。

岡:僕は、小さい頃から出川さんはかっこいいと思っていて。生き方やお話する言葉から、すごくステキな人だと思っていて、今回の企画にたどり着きました。

隙がありながら、男らしさもあるというか…。打ち合わせ中も、テレビで見ていた以上のかっこ良さ、頼りがいを感じましたし、すごくモテる方なんだろうなと感じました。

出川:それは、見てれば分かりますよね(笑)。僕、こんななり(容姿)ですけど、心根は“漢”だと思ってるんで。

坪井:今回、企画をつくるにあたって、出川さんのいろいろなパターンのリアクションを勝手に勉強させていただいていました。そのうえで、自分にはどんなリアクションを引き出すことができるのかということも考えていて。

今日、一つすごいことがあったんです。詳しくは番組を見ていただきたいのですが、ある子が作った料理には、想定していた食べる順番があって。でも、出川さんはその順番とは違う食べ方をしたのですが、今までに見たことのないパターンのリアクションをされていて。

その料理は、ゴマ餡の餃子とスープなのですが…もう、あのリアクションには圧倒されました。本当にすごいです!かっこいいです!

出川:あの餃子は、本当に助かりました。素直にリアクションができるくらいまずかったので(笑)。ゲーッと言いながら、心の中では「ありがとう」と言っていました。

──出川さんがこれまで出会ってきたなかで印象的だった製作者について聞かせてください。

出川:フジテレビで言ったら吉田正樹さん(※)ですね。あの方はアメとムチが非常に上手な人なので、コントではすごく怒られていましたけど、体を張るコーナーだと急に「こんな面白いやついない」みたいなことを言われて。

「お前なんか、ウッチャンナンチャンにくっついてるだけだから、魂のひと言が足りないんだ」とか、いろいろ言われましたけど…その頃は、言ってる意味が分からなくて、本当に腹立っていましたけど、何年か経つと意味が分かるんですよね。吉田さんには非常にお世話になりました。

(※)元フジテレビのディレクター、プロデューサー。『夢で逢えたら』『ウッチャンナンチャンのやるならやらねば!』などのディレクターを務め、その後『トリビアの泉~すばらしきムダ知識~』『ネプリーグ』などのプロデューサーを務める。

この間、『ボクらの時代』にホリケン(堀内健)と今田(耕司)さんと出て、そのときにも話していたんですけど、僕ら(芸人)は優秀なディレクターと出会う旅をしてるんですよね。いかにいろんな人と仕事をして、優秀な人に引っ掛かるかという。

<今田耕司&出川哲朗 堀内健は「いつも台本真っ黒!全部考えてやっている」>

僕なんか分かりやすくて、『世界の果てまでイッテQ!』(日本テレビ系)は、テロップで突っ込んでもらって成り立っているんですけど、編集がうまい。「はじめてのおつかい」(※)なんて、最初に企画を聞いたときは「あれは子どもがやるから面白いのに、こんなおっさんのおつかいを誰が見るんだ」と心の中で思っていました。

でも、うまい編集で見せてくれたから番組を代表するコーナーになったんです。ロケは、本当にディレクターさんの編集次第でどうにでもなっちゃうから(笑)。特に僕はこういう芸風なので、すごく助けられています。

(※)出川さんがさまざまな国に行き、現地の人と会話をしながら、番組からのミッションをクリアしていく企画

だから、僕にとっては…まだ分からないけど、今回の3人との出会いが、いい出会いだったらうれしいですね。

──最後に、番組の見どころをお願いします。

出川:3つの企画とも、まったく違う楽しみ方ができると思うので、ぜひ見てもらいたいですね。

3つ目の企画なんて、眠くてたまらない時間だと思いますけど、頑張って目をこすりながら最後まで見ていただきたいです。それぐらい面白い番組だと自信を持っているので、よろしくお願いします!