『うちの弁護士は手がかかる』最終話完全版
天野杏(平手友梨奈)は、蔵前勉(ムロツヨシ)や所長・香澄今日子(戸田恵子)たちからの信頼に応えて「香澄法律事務所」に復帰する。
だが杏は、蔵前たちが総出で川の中から見つけ出してくれた弁護士バッジをつけていなかった。まだ自分に弁護士資格があるかどうか、はっきりしていないからだという。
杏は、事務所の仲間たちに頭を下げ、青海医大病院による看護師・大橋いずみ(志田未来)の不当解雇の件に力を貸してほしいと頼んだ。人に頭を下げてお願いする杏の成長に感動する蔵前たち。
そんな杏の思いに応えて、山崎慶太(松尾諭)、辻井玲子(村川絵梨)の両弁護士もやる気を見せる。
山崎は丸屋泰造(酒向芳)、辻井は岩渕亮平(日向亘)と、それぞれのパラリーガルたちともに情報集めを開始。だが病院内には完全に箝口令が敷かれているようで、思うようには進まなかった。
ただ辻井は、病院に出入りしている葬儀会社のスタッフから、いずみが退職させられた前日、彼女が担当していた真山という患者が亡くなったとの情報を得る。しかも、7年前にも患者が亡くなった次の日に、担当看護師が辞めさせられたことがあったという。
一方、蔵前は杏と別行動をとり、彼女の恩師・椿原(野間口徹)に会いに行く。「天野先生に弁護士資格がないというのは本当なんですか?」と問う蔵前。
するとそこに突然、今日子が現れ、姪っ子の司法試験の答案を見てほしい、と椿原に頼んだ。完ぺきな内容のその答案は、2年前に司法試験を受けた杏のものだと明かす今日子。観念した椿原は、杏の姉・天野さくら(江口のりこ)から口裏を合わせるよう頼まれていたことを告白した。
そんな矢先、いずみは杏に電話して依頼を取り消すと言いだす。
そこに戻ってきた蔵前と今日子は、杏には弁護士資格があり、すべてさくらが仕組んだものだったことを伝える。
蔵前とともにさくらの事務所を訪れた杏は、彼女を非難。だがさくらは、自分は杏のことが嫌いだと平然と言い放ち、すでに焼却処分してしまった白いファイルには、7年前、さくらと杏の父・昌幸(山崎一)が、青海医大の医療ミスを隠蔽した証拠が残されていたと告げた。
「天野昌幸は正義の味方なんかじゃない!」。さくらの言葉に、杏は何も言い返せない。
あくる朝、蔵前が出勤するとすでに杏の姿が。だが、顔色が悪く、立ち上がろうとすると倒れてしまった。慌てる蔵前に、杏は、青海医大で診察を受けると告げる。
杏は、青海医大に入院。心配して杏を見舞う今日子たち。蔵前は、皆に囲まれる杏の姿をうれしそうに見つめながら、そっと病室を出る。そして、いずみの自宅アパートへ向かう。
いずみを慕っている患者たちの声を届ける蔵前は、「もう一度、僕たちと一緒に戦ってくれませんか?」と言って頭を下げた。
杏は、病室を抜け出して情報を集めていた。青海医大には、心臓外科の受診を希望して全国から患者が集まっていた。そのほとんどを担当しているのが、武藤源三郎院長(螢雪次朗)の息子で外科医の武藤慎一(浅香航大)だった。
7年前に亡くなった患者も、いずみが担当していた真山の手術も慎一が担当。今日子たちは、病院ぐるみで医療過誤の罪を看護師になすりつけたのではないかと疑う。
するとそこに、いずみを伴って蔵前が戻ってくる。いずみは、ここで看護師を続けたいから一緒に戦ってほしい、と杏たちに頭を下げた。いずみが訴えを取り下げたのは、いずみの投薬ミスで真山を死なせたと院長に指摘されたからだった。
椿原に会いに行った蔵前と杏は、昌幸はなぜ医療ミスの隠蔽に加担してしまったのか、と尋ねる。
7年前、昌幸と椿原は、手術中の慎一のミスにより亡くなった患者の件を表沙汰にならないよう処理してほしいと院長の源三郎から依頼された。警察に行く、という慎一を止めたのも源三郎だった。
そこで昌幸は、慎一にはこの先たくさんの人を救う未来がある、と言って隠蔽に協力することにしたのだという。
尊敬する父が不正に加担していたことにショックを受ける杏。蔵前は、そんな杏に「先生がやるべきことを、まっすぐ見つめてください」と告げる。杏は、「私は、不正を決して許しません」と答えた。
山崎や辻井たちは、患者や病院のスタッフになりすまして情報収集を続け、2件の死亡事故に関して、親族の連絡先などを入手していた。しかし、和解交渉も終わっているため、どちらの遺族からも話は聞けなかったという。
慎一に会いに行った杏は、自分が天野昌幸の娘であることを明かし、いずみが担当していた真山の手術で何かあったのか教えてほしいと頼む。
するとそこにさくらが現れ、杏の行動を非難。二度と今回の件に触れないと約束するなら和解交渉に応じてもいいと告げる。
同じころ、今日子は看護師長・水島多江子(阿南敦子)を説得し、証言するという約束を取り付ける。しかし、それを知った源三郎は、証言するなら看護師全員をクビにすると脅され、潰されてしまう。
その翌日、いずみを伴って和解交渉の場に臨んだ杏は、誓約書へのサインを拒否。そこに蔵前がやってくる。慎一と一緒だった。
慎一は、2度の医療過誤を起こし、それを隠蔽したことを認め、司法の場で真実を話す機会を与えてほしいと杏に告げた。
すると、その途端に自分は何も知らないと言いだす源三郎。杏は、そんな源三郎に、病院スタッフから得たパワハラやセクハラの事実や、経費の使い込みなどの不正を突きつける。崩れ落ちる源三郎。
慎一は、改めていずみに頭を下げ、待っている患者のために戻ってきてほしい、と頼んだ。
別の日、法廷でさくらと再会した杏は、まだ謝ってもらっていない、と言う。
蔵前は、去って行こうとするさくらに、嘘をついたのは父親のことを尊敬している杏に、不正のことを知らせたくなかったからではないか、と問いかけた。さくらはそれを否定すると、「私はお母さんを奪ったあなたのことを許せない。だからあなたも私を許さなくていいよ」と返す。
すると杏は、「私は許します。私は、もう1人ではないので」と告げ…。
香澄法律事務所ではクリスマスパーティを開催。
杏は、現れたサンタクロースに思いのほか食いつくが、その正体が蔵前だと知ってがっかり。そんな杏にプレゼントを渡す蔵前。山崎は、蔵前の元カノ・安藤カオリ(安達祐実)を引き連れていた。2人はなんと、交際を始めたらしい。
そのカオリは、マネージャーを担当している女優・笠原梨乃(吉瀬美智子)が坊主頭の男と結婚したことを蔵前に告げた。
事務所メンバーの出し物を楽しむ杏に、「先生、来年も一緒に」と告げる蔵前。杏も笑顔で頷いて…。