俳優、シンガー、 モデルとさまざまな顔を持つすみれ。青春時代をハワイで過ごしたことで身に付いたネイティブな英語を活かして、活動の場も日本にとどまらず、ハリウッドにも進出し、グローバルな活動を続けている。
そんな彼女の最新出演作が映画『ブライトン ミラクル』(Amazonプライム・ビデオ、他)。先日まで日本中を熱狂させたラグビーワールドカップの前日譚とも言える、2015年のワールドカップで、日本チームが南アフリカチームに勝利を収めるまでの軌跡を追った物語だ。
実際の選手や関係者のインタビューも交えながら、そのときに何があったのかを再現していて、すみれは日本代表チームの主将を務めたリーチマイケルの妻・知美を演じている。
俳優としてこの作品と向き合った想いを中心に、久しぶりのシンガーとしての活動についてや、近況など、そして父・石田純一とのほっこりとしたエピソードまで、フジテレビュー!!で独占インタビューを行った。
リーチマイケル選手の妻役を熱演
――この映画の題材となっているラグビー日本代表の快挙については知ってましたか?
今回のお話をいただいて知りました。実は、スポーツは、観るよりも自分でやるほうが好きなんです。義理の母(東尾理子)がプロゴルファーだったり、義理の祖父(東尾修)がプロ野球選手だったりするんですが(笑)。ですので、ラグビーも本格的に観たのは今回のワールドカップが初めてでした。
ただ、そんな私でもこの台本を読んだときはウルってなって。自分が知らないラグビーのお話にこんなに惹かれるとは思わなかったので、これはぜひ参加したいなと思いました。
――今回、すみれさんはリーチマイケル選手の奥様、知美さんという実在の人物を演じていますが、その点で気を遣ったことはありますか?
どのくらい真似するのか、というのがありつつ、自分らしさも持っていたいと思ったので、そこは考えました。ただ知美さんにはお会いしたことがなかったし、情報も限られていたので、脚本に書かれていることから知美さんの気持ちを想像して演じました。
――演じる上でポイントとしていたことは?
常にマイケルさんをサポートしていて、彼がどんなに大変な思いをしていても支えていて、お母さんみたいなところもあって。マイケルさんが「彼女がいなかったらやっていけなかった」とおっしゃっていたと聞いたので、彼にとってそ ういう存在であろうと意識しました。
――スポーツ選手の奥様って大変そうですよね。
本当にそうですよね。私、絶対にスポーツ選手とは付き合えないって思っちゃいました(笑)。食事のこと、精神面のこと、いろいろ考えてあげないといけないし、彼とほとんど一緒にいられないとか、「デートに行きたい!」とかって甘えられないとか。
私は結構甘えたいタイプなので(笑)。一緒にいるには自分もストイックにならないといけないんだろうなって。でも、彼女が彼をサポートしてあげたいっていう気持ちはすごくわかるし、彼がどんなに大変でも彼女は強くて、折れない。その強さは私も持ちたいなって思いました。
――撮影はオーストラリアで行われたそうですね。
スタッフもキャストもすごくフレンドリーで、すぐに仲良くなって、みんなでご飯に行ったりもしました。あと、撮影がお休みの日は、チョコレート工場に行ったり、ファーマーズマーケットみたいのにも行ったりできて、楽しめる時間もありました。
――すみれさんが感じたこの映画の見どころといえば?
この映画は事実に基づいて制作されていて、その中でリーチマイケル選手やエディー・ジョーンズコーチなど実際の選手や関係者がインタビューに答えているんです。あとは実際の試合の映像が使われていたり、ドキュメンタリーの部分もあれば、私が出演させて頂いた当時を再現した部分があって、それがミックスされれています。
ラグビーを知っている方は絶対に入り込めると思いますし、ラグビーを知らない方でも、ラグビーにまつわる出来事をドラマティックに見せてくれているので楽しんでもらえるものになっていると思います。マイケルとエディーの人生のアップダウンは、観ていて入り込めるし、彼らが頑張るモチベーションには素直に感動するし、共感できると思います。
一番自分を見せているのが歌
俳優、 モデルとしての顔を持ちながら、シンガーとしても着実に活動を続けているすみれ。11月22日にシングル『カタオモイ』をリリースし、また新たな表現を見せてくれている。
――俳優、 音楽、 モデルと活動が多岐にわたる中で、シンガー・すみれとして心がけていることは何ですか?
音楽では歌の中のストーリーを伝えたいと思うので、感情を入れたいという想いがあります。単に上手く歌うだけじゃなくて、エモーショナルなところも入れたいんです。
『カタオモイ』という曲は、寒くなってきたこの時期に、ちょっと切ない歌も聴きたいなと思って、バラードにしました。“片想い”というと辛いイメージもあるかもしれませんが、歌詞に「ただあなたを追いかけているだけじゃないよ」、この「好き」という気持ちがあって良かったなっていう曲なんです。
――歌を歌うときにはその歌の主人公になりきるのですか、それとも、自分の感情を重ねていくのですか?
それはどちらもありますね。今回は、自分が片想いをしていた経験から、そのときにどう感じていたのか、を入れているところもあるし、主人公になりきって歌っているところもあるし。手紙を書くっていう歌詞があるんですけど、そういう経験は自分にはなかったので、そこはなりきってますね。
――歌とすみれさん自身との距離感は、俳優と比べると近いものなのでしょうか?
距離的には一番近いかも。俳優として出ているときは、すみれで出てはいるけど役の名前を背負っているので。そのせいなのかお芝居やモデルのときよりも、歌ってるときが一番緊張します。やっぱり一番自分を見せているのが歌だから。本音を誰かに見せるのが緊張してしまうのかもしれません。
チャレンジが好き!「できた」って思えるところまで頑張りたい
日本で生まれ、青春時代をハワイで過ごし、大学はアメリカ本土へ。合わせて、16歳からモデル活動を始め、日本での芸能活動をしつつ、2014年ごろからハリウッドに進出。今回の映画『ブライトンミラクル』もオーストラリアで撮影するなど、グローバルな活動を続けている。
――今、拠点はどこに置いているのですか?
日本です。日本でのお仕事をさせて頂きながら、向こう(アメリカ)のスケジュールが入ったら行くという感じです。
――では引き続き、海外の作品も視野に入れながら?
そうですね。オーディションは日本で映像を撮って送って、面接はSkypeでやったりもできるので、日本にいても受けられるんです。
――いろんな国で活動しているからこそ感じることはありますか?
どこの国に行っても合わないこともあるし、合うこともあって、いろいろなんです(笑)。アメリカでの撮影はテンポが早くて。それはみんなプロフェッショナルで、判断も早いからなんですけど、私としてはもっと時間をかけたいなって思うことがあったり。
日本だと「OK だけどもう1回やってみようか」みたいなことも多くて、そこは自分が慎重派なので、日本の方が合っているなと思います。
でも、日本の上下関係みたいなことでものを言えない雰囲気などは、合わないな、と思うし。アメリカだと入ったばかりの新人さんでも自分の意見をはっきり言うんです。みんな同じ作品を作る一人として、話し合えるのはいいなと思いますね。
――そんなすみれさんの原動力になっているものは何でしょうか?
チャレンジが好きなんだと思います。新しいことに挑戦して、できたときに得られる達成感は、何か失敗してしまって恥ずかしいっていう気持ちより大きいから。だから多少失敗したとしても、少しでもできたって思えるところまで頑張りたいんです。もともといろんなことに興味があるってところもありますけどね(笑)。
パパの話が長くて覚えていられない(笑)
――2019年ももう終わりますが、この一年はどんな年でしたか?
成長できた一年だったなと思います。例えば、前はネットでちょっと叩かれたりすると、ネガティブに考えてしまう自分がいたんですけど、それをポジティブに考えようって思えるようになったり。
――きっかけになるようなことがあったのですか?
きっかけというより、ネガティブになってぶつぶつ考えてる自分がみっともないなって思うようになったんです。落ち込んでる時間がもったいない。例えば、お腹周りにお肉がついてしまったら、嫌だなって思うより、自分のこのヘルシーなボディをキープするために、バランスよく食べて、運動を頑張ろうとか。来年30歳ということで、ちょっと大人になれたのかな(笑)。
――アドバイスをくれた方が?
先輩方が「(嫌なことでも)コメントをしてくれるってことは、すみれちゃんのことを気にしてくれてるってことだから、それはありがたいことなんだよ」って言ってくれたりとか。
――お父様も過去にはバッシングを……。
確かに。一番受けた人かも(笑)。でもパパには相談していないです。恋愛の相談などをしても「すみれはすみれで頑張りな」っていうぐらいのアドバイスで。アドバイスはしてくれるんですけど、パパの話が長くて覚えていられないんですよね(笑)。
――でもお父様と恋愛の話ができるのは羨ましいです。
オープンなファミリーなので。友達というか、親戚のおじさまに相談してる感じかもしれないですね(笑)。
――では、そんな前向きな気持ちを持って、2020年はどんな年にしたいですか?
まず久しぶりにミュージカル(『ジョセフ・アンド・アメージング・テクニカラー・ドリームコート』2020年4月~上演)をやるので、すごく楽しみにしています。
あとはオリンピックで何かできたらいいなって。一応、日本語と英語が話せるので何か役立つことがあればぜひやりたいです。そして、先日、アンミカさんに「そろそろ子供(を持ってもいいん)じゃない?」って言われたんですけど(笑)。それはちょっと早いなと思いつつ、そういういうこともちゃんと考えていきたいなと思ってます。