赤楚衛二…ちょっと珍しい彼の名前は、あかそえいじ、と読む。10代のころからキャリアを積み、2015年から本格的に、映画や舞台など俳優として活躍をしている。
2017年、『仮面ライダー』に2シリーズ(『アマゾンズ』と『ビルド』)連続で出演したことで知名度を上げ、現在もドラマや映画の出演作が続くなど、まさにブレイク前夜の注目株。
来夏には、浜辺美波、北村匠海、福本莉子とともに主演を務める映画「思い、思われ、ふり、ふられ」も公開予定だ。
そんな中、明日12月16日(月)深夜25時15分から、フジテレビで放送になるドラマ『パニックコマーシャル』でも主演に抜擢。オシャレなCMを作ろうと燃えるクリエイティブディレクター・新倉役を演じている。
ドラマはすでにクランクアップしているが、放送直前ということで、作品にかける思いや見どころを聞くとともに、真面目でストイックな赤楚の人となりに迫った。
<赤楚衛二インタビュー>
――改めて『パニックコマーシャル』の主役に選ばれた時の気持ちを教えてください。
カフェでマネージャーさんとお芝居の話をしているところで「決まりました」と聞いて、「オッシャー!」とガッツポーズしました。めちゃめちゃうれしくて、電車で来た道をスキップして帰りました(笑)。
――スキップするほどうれしかったのは?
事務所に入りたてのころ、演技に対してすごく悩んだ時期があり、そこから比べたら、主役をやらせていただけるなんて、「こんなありがたいことがあるんだ!」って。幸せな気持ちになって思わず…。
――ご自身より10歳ほど年上のCMディレクターを演じる上で、心がけたことはありますか?
30代の役を演じるのは初めてでしたが、年齢はあまり意識せずに、CMの撮影当日、現場とクライアントの板挟みになって困ったり、(対処法がなく)“あとがない状態”になる、ということを想像しながら演じました。
撮影は、“順撮り”だったので、“現場がパニックになっていく”ところから取り始めたんです。
実は、台本をいただいてからクランクインまで時間がなかったこともあってか、クランクイン直前に熱を出してしまったんです。それまでは「どんな山でも超えられる」と思っていましたが、さすがにその時はまさにパニックに陥って(苦笑)。
でも、今思えば逆にそんな状況が、新倉がパニックに陥る状況とマッチしてよかったのかな、と。
――新倉は、最悪の状況に陥っても、そこから立て直して前に進めようというポジティブなキャラクターですね。ご自身に通じる部分はありましたか?
面白い作品を作るために、とことんこだわりたいっていう気持ちはすごく分かりますし、板挟みになって苦しいという気持ちも分かります。
役者だけではなく、どんな職業でも新倉のような状況になることはあると思うので、僕だけではなく、視聴者の方にも共感していただけるのではないかと思いました。
――30代の役ということで、いつもより大人っぽい表情が見られるかもしれませんね。
そう…ですかね(笑)。現場で“大人の余裕”みたいなものは、なかったんですけどね。ただ、今まで共演者は年上の方が多かったんですが、今回は部下もいる役で新鮮でした。「俺も、こういうこと言う年になったのかぁ」って(笑)。
現在、25歳の赤楚は、プライベートでは先輩と交流することが多いそうだ。逆に年下とは「どう接したらいいんだろう」ととまどうことがあるのだとか。それは、本人曰く「学生時代部活をそれほどやってきていないからかな」とのこと。
――プライベートで付き合いがあるのはどんな方々ですか?
遊ぶのは地元(名古屋)の友だちか、役者の先輩かどちらかですね。先輩で一番会っているのは『仮面ライダーアマゾンズ』で共演した田邊和也さん。
今の僕と同じ25歳くらいまでアメリカに住んでいて、考え方がすごくシンプルで真理を突いている方なんです。いろいろ複雑になるなかで「大事なことはひとつしかない」ということを教えてくれた先輩です。
ほかは、『仮面ライダービルド』で共演した栄信さん、鈴木勝大くん、牧田哲也さんといった方々かな。同世代の役者さんとは、意外と関わるチャンスが少なかったんですよね。
――そういった先輩方から話を聞くのが好きなんですね。
そうです。例えば、その人が40歳で発見したことを、今僕が25歳で聞いて知ったとしたら、15年分得ができるなって。いろいろ話を聞くのは楽しいですし、ためにもなりますから。
――仕事をする上で心がけていることはありますか?
例えば、学生時代に親に勧められて見た『ミッション:インポッシブル』のトム・クルーズとか『ワールド・トレード・センター』のニコラス・ケイジとか。「カッコいいな~」と思いながら夢中で見ていました。
役者をやる中での生きがいといいますか、根本的な夢、ポリシーというのが…ちょっとクサいんですけど、「周りの人を幸せにしたい」ってことです。学生時代とか、何か嫌なことがあっても映画を見ると忘れられるっていうことがあって。
その時に、「役者は人を幸せにできる仕事」だと思い惹かれたというのがあるので、いつか自分もそんな役者になれたらいいなって思いがあります。あとは、やっぱり両親や弟に喜んでもらいたいっていうのも大きいですね。
―― 赤楚さん、すごく真面目な方なんですね。今、自分の中で仕事は何割を占めていますか?8割とかですか?
そうですね。ほぼ10割?(笑)。真面目というか、そういう自分が結構大変なんですよ。不器用だからメンタルの逃がし方が分からないといいますか。
そこは探っていかないといけないな、と思いつつもなかなか…。例えば、恋人ができたとしても、優先順位はめちゃくちゃ低くなっちゃいますね(笑)。
<プライベート編>では、理想のタイプ、オフの過ごし方、ストレス発散法など、より素顔に迫るインタビューをお届けする。
撮影:河井彩美