<監督コメント>

『新垣蒼汰』

監督:渋江修平

渋江修平

子どものころから常々、転校だけはしたくないと考えていました。完全アウェーでの自己紹介があるからです。自分をどのように紹介していったらより良い結果が出るのか悩みます。

そもそも私は紹介するほどの者ではございません。やりたいことも何もありません。空っぽです。というか、早々とやりたいことを見つけている人って何ですか?なにかに洗脳でもされたんですか?

これからの人生できるだけ選択ミスはしたくない。調べれば答えが出てくる時代に、失敗から学べなんてちょっと。そんな思いに取り憑かれた主人公を通して23歳を描いてみたいと思います。

『終りの季節』   

監督:鈴木健太

鈴木健太

23歳とは、どんな季節なのだろう。「先が見えない」「もやのかかった」「進むしかない」23歳に話を聞くと、こんな言葉が聞こえてきた。

不確実で一言では言い表せない感情。自分もそうだった。大学を辞めて、家出して、ふらふら遊んでいた20代前半。不安な夜に聴いていたrei harakamiの「owari no kisetsu」。

長い夜はいつか明ける。自分の声に耳を傾けたとき、朝が来る。そんなことを思いながら、主人公・トキの終わりとはじまりの物語を書きました。

『マスタッシュガール』  

監督:根本宗子

根本宗子

23歳の自分の叫びを呼び覚まし、それでは足らぬと今の23歳の方々を取材させてもらう中で出会った女の子が忘れられませんでした。

仕事への情熱をしっかりと持っているのに、数々の出来事で気持ちをへし折られて黒目はもう希望がありませんでした。

彼女の情熱を肯定したい一心で作りました。「いろいろクソだが、まあ明日も会社行くか!」というみなさんの気持ちを少しでも手助けできたらうれしいです。わたしも膝から崩れ落ちるようなことがあろうと、諦めず作品を作っていきたいと、今作を通じ改めて自分の気持ちと向き合いました。

『KOKORO』  

監督:堀田英仁

堀田英仁

23歳。夢があったり、やりたいことはあるけれど、それを実現することの難しさに悩む人は多いでしょう。社会と自分。やりたいことと、実際の自分の能力。夢とそれに伴う自信。私自身も、そのギャップが一番大きい時期だった気がします。

瑣末なことで一喜一憂して落ち込んだり、他人と自分を比べて羨んだり。 まずは小さい歩幅で一歩進んでみたら、その先に自分の居場所が運良くみつかるかもしれません。

『打ち明けられない私の恋人』

監督:森岡龍

森岡龍

“I am”ד23歳”。このテーマに対して、「夢を追いかけよう」とか「自分らしく生きよう」みたいな、ポジティブなメッセージを安易には打ち出せないと思った。

そんな時代に暗澹たる気分にもなった。そこで、23歳の隣に「45歳のオジサン」を配置してみた。自分とはちょうど⼀回りずつぐらい離れた年齢差のあるカップルが生まれ、物語が動き出した。

「確かに…」が口癖の、他人の顔色を伺って生きる主人公、岡島茉莉の“打ち明けられなさ”を、楽しんでいただけたら幸いです。