第2話もヒドい!

第1話も十分にヒドかったんだけど、そのヒドさがかわいく思えてくるくらい、第2話は相当に全力でヒドい。もちろん、第2話もヒドい“(笑)”の方ですよ。

だって、パパ(小澤征悦)がおっさん多恵子(塚地武雅)の胸元をチラ見して“ピロリロリン”って、21世紀はもうとっくに迎えてて、2度目の東京五輪が開催される2020年だっていうのに、コッテコテの昭和のバブル演出。まさに「オトナの土ドラ」!

やり方によっては「朝ドラ」でも通用するアットホームでハートウォーミングな内容でもあるというのに、平気で“ピロリロリン”して、“ピロリロリン”している様をそのまま映像で映しだしてくるところが「オトナの土ドラ」と銘打っている枠だからこその所業。しかも2度も“ピロリロリン”。最高かよ。書いてるおっさんの僕も、“ピロリロリン”が懐かしすぎて、興奮して、“ピロリロリン”を連呼したくてたまらないよ!“ピロリロリン”最高!!!

※“ピロリロリン”がピンとこないちびっこは、お父さんにこっそり聞いてみよう!

<妄想>

パパ「俺の“如意棒”がもうこんなに…」

ママ「まあすごい!暴れん坊ね」

<現実>

パパ「あーだめだー!」と頭を掻きむしり、突然に「ガンダーラ」(ゴダイゴ)を歌いだす。

“ピロリロリン”の効果音が最高にヒドい演出だとしたら、

このシチュエーションを作り出した脚本家の方も相当ヒドいですよ。このシーンを字面で見た小澤征悦さんはどんな風に気持ちを入れてこの演技に挑んだんでしょうか。想像しただけで笑えてくる。そして、この最低で最高のシーンを小澤征悦さんは見事に演じ、全うしているので、見逃せるはずがないでしょう?

その上、“如意棒”の他にも、

パパ「多恵子が握るのはお前の“グリップ”(テニスラケット)じゃない!俺の“すりこ木”だぁぁ!!」

あー、ヒドい。

字面上では何が何だがで、ちんぷんかんぷんだと思いますし、試写記事だというのにセリフをそのままトレースするだなんて、完全なるネタバレでご法度とは重々承知なんですが、それに至るまでの流れ、そしてその後に言い放たれるその名台詞は、“踊る”の「事件は会議室で起きてるんじゃない、現場で起きてるんだ!!」バリのノリで最高なんです。事前に知ってたからって視聴に何ら影響を与えない程の爆発力なので、早く皆さんにも観てほしい!

と、ついつい下ネタパートで興奮しすぎて、ただの中学生の感想みたいになってしまいましたが、おっさんになってしまったママを信じられるか否かをパパの下半身に判断させる、つまり本能に委ねたという設定がかなりうまい。しかも爆笑を通して。いくらハイテンションギャグコメディの体を成していても、本上まなみさんが塚地武雅さんに生まれ変わったなんていうファンタジーをテンションだけでは乗り越えられないもの。ママだと信じられるか→下半身の反応に委ねる→“ピロリロリン”の効果音をつける。この制作陣の思考の流れ、天才的ですね!

ダメだ。気を取り直してドラマの考察めいたことをしてみても、やっぱどうしても“ピロリロリン”に戻ってしまう。“ピロリロリン”が本当に“ピロリロリン”だったのか、その時のテンションだけで“ピロリロリン”と幻聴してただけじゃないのか、ちゃんと確かめたくって、何回も“ピロリロリン”を見直しちゃったしね。僕のテンション、完全におかしくなっちゃっいましたよ。「オトナの土ドラ」は“土曜の夜を眠らせない”というコンセプトらしいんですけど、まさかこんなテンションにさせて“眠らせない”なんて、奥が深すぎる。

text by 大石 庸平 (テレビ視聴しつ 室長)