やばい…。ちょっと感動しちゃったよ。
前回僕が勝手に興奮しきりだった、下半身反応しまくりの“ピロリロリン”祭りがあって、今回も“多恵子のおかげでお通じハッピー”、“くしゃみと同時に放屁”、“ケツは早いうちに拭け”、“ケツからぼた餅”、と列挙しただけでも最低感満載で、一体どんなドラマなんだよと想像力が大いに掻き立てられる“シモ”にフィーチャーしまくってた前半戦だったのに、後半はまさかの超ハートウォーミング展開。
前回あんだけふざけといてこの緩急のつけ方はずるいよ!しかもこんなに全力でふざけてて、勢いもありまくりだから、いくらでも突破できるはずの生まれ変わりの設定を、“やっぱり信じられる?”ってもっかい突き付けてくるんだもん。結構ちゃんとしたドラマだったんですね?(失礼)
今回は多恵子の父であり、元プロレスラーでもあるあの十郎じいちゃん(山田明郷)が、娘がおっさんに生まれ変わったことを信じられるか?…難易度が伝わりやすいように言い換えると、本上まなみが塚地武雅に生まれ変わったことを信じられるか?ですよ?うん、どうしたって信じてくれるわけないじゃん。
それをどうやって“信じる”へ導くのか?。その難題を美しく素敵に解決していく後半のシークエンスがすっごく感動的なのでお見逃しなく。ただ感動的とは言っても、前半の“シモ”問題もあるせいでちょっとウルッとする程度。なんかこのドラマで泣くのはさすがに悔しい気がするんですよね。だけどその泣きそうになった瞬間、そうはさせまい!と爆発力最高のヒドさが蘇ってくるからこそ、このドラマのアイデンティティが保たれるんですよ。それで正解なんです。
そして今回は何といっても小澤征悦さん演じるパパがいい。前回までで十分パパのキャラクターは完成されてたんだけど、第3話まで来ると、パパがただ単に歩いてるだけでも笑えてきちゃうほどの“ものにしてる感”。だって、ママが亡くなって3年間も引きこもって、なおかつ娘を放置して、義父から就職しないと孫を引き取るとまで言われたのにまだ働いてない上に、ママがおっさんになったのを娘そっちのけで受け入れ、しかもおっさんママの胸元に下半身が反応しちゃうテンションで、加えて謎にいつもスーツ姿なのも働いてないくせにとか考えだすと若干イラっとする…というどっからどう切り取ってもいいとこなしなのに、なぜだかすっごく愛おしいパパに小澤征悦さんが仕上げてくれているんですよね。そしてその“愛おしさ”が、今回十郎じいちゃんを信じさせるための説得力に繋がっているんです。
あと“ママがおっさん”というとんでもないファンタジーがここへ来てかなり効いてきました。リアルとファンタジーが行き来することでどんなベタなシーンでも深みが増す感じ。ただの「ママを愛してる!」だとベタすぎて感動は薄いけど、本上まなみが塚地武雅になった後でも「ママを愛してる!」だとグッとくるじゃないですか。そんな強い愛を見せつけられたら、男とか女とか、美しいとかそうじゃないとか、ましてやパパが働いてようがいまいがとか、そんな些細なことどうでもよく思えてきませんか?
まさかこのドラマで愛について語ってしまうとは…。結構、考えさせられるドラマじゃん…。
でもさっき、公式ホームページであらすじ確認してたら(https://www.tokai-tv.com/papakoi/story/)、下部に表示されてるパパの写真が、“下半身の反応をごまかそうとしているパパ”って、やっぱひでーなこのドラマ。うん、でも間違いなく「パパ恋」視聴者にとってはサービスショットに違いない!
text by 大石 庸平 (テレビ視聴しつ 室長)