『競争の番人』第5話完全版
「アレス電機」の下請けいじめを調査する小勝負勉(坂口健太郎)、白熊楓(杏)たち第六審査(通称ダイロク)は、下請け会社をまとめていた「丸川金属工業」の丸川俊春社長(吉沢悠)の協力を得ることに成功。
<ドラマ『競争の番人』これまでのあらすじ完全版>
各社の証言も得たため、いよいよアレス電機への検査が行われようとした時、ダイロクに六角洸介(加藤清史郎)の父親で検事の敦夫(羽場裕一)と駒場直樹検事(小松和重)が現れて検査に待ったをかけた。
下請けいじめの重要人物にもなっている柴野竜平(岡田義徳)に横領の疑いがあるため、検察の捜査を優先させてほしいと言う。敦夫の言うことを聞くしかないと半ば諦め気味の風見慎一(大倉孝二)だが、本庄聡子審査長(寺島しのぶ)は検察の申し出を断わり…。
数日後、ダイロクはアレス電機へ立入検査に出向く。しかし、風見が社員たちに検査の趣旨を説明しようとしたところに検察が踏み込んで来て、資料などを差し押さえてしまう。
検察は「下請けいじめ調査に必要な資料は渡す」と約束したが、送られてきた留置資料はわずかなもの。すぐに資料の調査は終わってしまう。しかし、小勝負は留置品にあった雑誌に興味を引かれている様子で…。
そんな中、極秘なはずの立ち入り検査の情報が、なぜ検察に情報が漏れていたのかを桃園千代子(小池栄子)が疑う。
アレス電機が新たに取引先30社に発注書を出した。スケジュールも厳しく、単価もさらに下げられている。白熊は公取に協力した報復を疑う。
ダイロクメンバーたちは業社が受注しないよう願うが、すでに丸川は引き受けていた。また、契約を切られていた1社にも発注されている。受注すれば再契約をするという条件だった。
小勝負と白熊は丸川を訪ね、今回の仕事を受注してしまえばアレス電機の違反を追求できなくなると話す。しかし、丸川は「アレス電機と敵対したいわけではないので、自分の会社だけでも受注する」と頑なに言い張った。
一方、桃園と六角は再契約をほのめかされた会社を訪ねる。
受注を迷う一木晃社長(坂田聡)に、六角は捜査中の検察が柴野の不正を暴いてくれると言ってしまう。そんな六角に桃園は「余計なことは言うな」と釘を刺した。
取引先の受注回答期限まであと10日。ダイロクに来た緑川瑛子検事(大西礼芳)は、検察の捜査では柴野の横領の証拠が見つからなかったと報告。押収品もすでに返却済みだと言う。
すると小勝負は、もう一度アレス電機に立入検査をしようと促した。
ダイロクは、小勝負の言葉通りに立入検査をして留置資料のブツ読みに入る。
そんな時、丸川が過労で倒れたと連絡が入った。小勝負は弱っている時がチャンスだと、丸川から柴野の弱みなどを聞き出してくるよう、白熊と六角に頼んだ。
白熊と六角は丸川を訪ねる。だが、聞き出せたのは、同じ野球チームだった中学生時代に、丸川が柴野にケガをさせてしまったこと。優勝を目指していた柴野の夢をつぶした丸川は、負い目を感じていた。
そして、再会した現在、丸川は柴野がアレス電機で目指す「世界が驚くような最高な製品を作る」という夢を実現させたいと思っているということだった。
病室を出た白熊と六角は、丸川の見舞いに来た取引先の社長たちと出会う。彼らは、アレス電機に立ち向かうことを諦めている様子で…。
ダイロクへの帰り道、六角は「上の命令には逆らえない」と白熊に話す。六角は検事志望だったが、司法試験に落ちていた。六角は父の敦夫に期待され、逆らうことができずにいる。
ダイロクに戻った白熊たちは、丸川の様子を報告。ブツ読み中のメンバーも、検察の捜査後に不正につながる証拠を消されていたため、残っていたのは取引先の評価資料ぐらいで有力な手がかりは見つけられずにいた。
それでもブツ読みを止めようとしないメンバーに、六角は「なぜそんなに頑張れるのか」と問う。小勝負は「犯罪者を捕まえることに関しては警察や検察には敵わないが、自分たちが相手にしているのは目に見えないもっと大きなものだ」と話した。
書類のチェックが終わると、ダイロクのメンバーは紺野守里(石川萌香)たちDFT(デジタル解析チーム)が留置したパソコンからアウトプットしたデータのブツ読みに入る。
そんな仲間の姿を見ていた六角は、敦夫に立入検査の情報を漏らしたと謝罪。
だが、小勝負や桃園は気づいていた様子。それでも謝る六角を止めた小勝負は、パソコンの資料に現在アレス電機が契約する取引先の調査資料を見つけた。
アレス電機の取引先の社長たちが集まり、回答期限まで翌日と迫った受注をどうするかを相談。不利な条件での受注に傾きかけた時、小勝負と白熊が現れた。
小勝負はアレス電機が契約していない会社と、契約中の会社の評価資料を見せる。契約中の会社の評価は圧倒的に高かった。小勝負はアレス電機にとって、契約中の会社はなくてはならない存在だと勇気づける。
焚きつけすぎではないかと心配する白熊に、小勝負は「立入検査も、ブツ読みもダメなら説得しかできない」と答えた。だが、「柴野に認めさせるのは、自分たちでは無理だ」と小勝負は言う。
取引先の社長たちは柴野を訪ね、発注内容の見直しを求める。だが、柴野は応じることなく、部下に新たな発注先を探すよう命令。そこに、小勝負と白熊が現れた。「他の会社で納得いく製品が作れるのか」と小勝負は柴野を説得する。
そんな時、丸川が来て、帰ろうとする社長たちを引き止め始めた。白熊は、「丸川さんは、柴野と一緒に最高の製品を作ろうとしている」と言う。競合他社より先に発売しなくてはいけないと頑なな柴野に、小勝負は「それはあなたの都合で、下に押しつけるものではない」と話した。
そして、小勝負は留置資料に入っていた、柴野と丸川が最初に開発したという犬型ロボットを返す。丸川の思いと自分の夢を認めた柴野は、契約の見直しとこれまでの下請けいじめの事実を認め、頭を下げた。
六角は敦夫に、「自分は検察には行かず、一人前の公正取引委員会の審査官になりたい」と申し出る。敦夫が落胆していると、ダイロクから来てほしいと連絡が来た。
ダイロクのメンバーは、アレス電機の留置資料から柴野の横領事件の手がかりを見つけていた。
横領は検察の捜査で、柴野ではなく、彼の部下がやっていたことが判明。結局、白熊が飛ばされることになった強盗殺人事件も、柴野の関与は認められなかった。
がっかりする白熊を、桃園や六角は「公取として柴野の不正は暴けたので、良かったのでは」と励ました。
そんなダイロクの捜査の裏で、本庄は、国土交通省の事務次官・藤堂清正(小日向文世)と会っていた。
そして、白熊が追っていた強盗殺人は、ダイロクメンバーを巻き込むだけでなく、国の根幹を足元から脅かす大きな事件に発展していこうとしていた。