『競争の番人』第3話完全版
小勝負勉(坂口健太郎)、白熊楓(杏)たち第六審査(通称ダイロク)のメンバーは、「ホテル天沢」の元ホテル長・長澤俊哉(濱津隆之)の協力を得て、専務・天沢雲海(山本耕史)の留守を狙い、納入業者いじめの調査に入る。
<ドラマ『競争の番人』これまでのあらすじ完全版>
あわせてウエディングカルテル(※)の資料も集めようとするが、雲海が戻ってしまい追求出来なかった。
※カルテル=各企業がそれぞれ決めるべき商品の価格や生産数量などを共同で取り決める行為
その後、長澤に「カルテルに関する資料の保管場所が分かった」と言われ、小勝負と白熊は資料が保管されているという倉庫に案内される。しかしそれは雲海の罠で、2人はそのままホテルの書庫に監禁されてしまった。
小勝負は、不法侵入したと雲海が警察に突き出すつもりだと分析。
一方、大森徹也(黒羽麻璃央)とデートの約束をしていた白熊は弱そうな壁を見つけ、蹴って穴を空けることに成功。しかしそこはトイレと給湯室があるだけで外には出られなかった。
そんな中、小勝負は書類の中に過去の宿泊台帳と顧客カードを見つける。そこには、ウエディングカルテルだけでなく、過去に摘発されたカルテルの当事者たちが同じ部屋を利用した記録があった。
建設会社の談合で自ら命を絶った、豊島浩平(長谷川朝晴)の名もある。
翌朝、小勝負と白熊は警備員に発見された。ワイドショーに出演して公取の違法調査だと息巻く雲海。
その頃、ダイロクには、納入業者いじめを受けていた「フラワーショップ石田」の石田正樹(武田航平)と妻・七瀬(野村麻純)が来ていた。
天沢グループから抜ける決意を固めたという夫婦は、小勝負たちに雲海と「温泉郷・絆」の政岡一郎(春海四方)が会合する日を教える。雲海たちは、納入業者を使って打ち合わせの日を連絡し合っていたのだ。
ダイロクは決定的なカルテルの証拠をつかもうと動き出す。
桃園千代子(小池栄子)が落とした政岡は、雲海との会合の様子を携帯電話を使ってダイロクに流すことに。だが、用心深い雲海は盗聴発見器を持っていた。
六角洸介(加藤清史郎)は「携帯の電波には反応しないはずだ」と言うが、発見器が反応。盗聴器は目覚まし時計に仕掛けられていた。
雲海は「クラシカルホテル」の安藤正夫(勝矢)が仕掛けたものだと政岡に伝える。雲海によると、安藤は盗聴器を仕掛けてこの部屋で行われている密談を録音し、関係者を脅して金を巻き上げていたという。
政岡が「自分たちのカルテルの密談も録音されていたのか」と聞くと、雲海は「そうだ」と、うなずく。つまり、今この会話をダイロクに聞かれているとは知らずに、雲海はカルテルを行っていたことを認めたことになった。
さらに、雲海は安藤が何者かに刺され入院してしまったため、「録音データがどこに保管されているかがわからない」とも政岡に告げた。
ダイロクへ、安藤の意識が戻ったと検察から連絡が入った。
小勝負と白熊はさっそく、安藤の病室へ見舞いに出向く。小勝負は「録音データをどこに隠しているのか」と尋ねるが、安藤は答えない。
仕方なく、2人が帰ろうとすると安藤を刺した人物と同じ背格好、服装の何者かとすれ違う。その人物は、病室へ向かうではないか。
白熊が声をかけたところで逃げ出すその人物を追いかける2人。小勝負が捕えた人物は、建設会社の入札競合の問題で自殺した豊島の娘の美月(服部樹咲)だった。
美月が安藤を刺したことを認めたと、検察官・緑川瑛子(大西礼芳)がダイロクに報告。
父の手帳に「ホテル天沢」や「天沢雲海」の名が度々書かれていることを見つけた美月は、雲海に会いに行く。そこで雲海は、豊島が安藤に脅されていたと美月に話した。それで美月は安藤を刺してしまったのだ。
美月は安藤を刺したことを後悔し、自首する前に病室へ謝罪しに行ったところで小勝負たちに見つかった。
小勝負は、雲海が美月を利用して安藤を始末しようとしたのだろうと言う。安藤の録音データが流出すれば、雲海は部屋を利用したカルテルの当事者たちから恨みを買ってしまうからだ。
そんな時、お腹を空かせた白熊が、安藤の部屋から小勝負が持ち帰った菓子を食べて倒れてしまう。
数日後、白熊の病室に大森が見舞いに来て、毒入りの菓子を食べたことにあきれていると、小勝負が労災の申請書を渡しに来た。
白熊が「ホテル天沢」調査の進展を尋ねると、小勝負は「リーチがかかった勝負どころ」だと答える。
白熊が退院すると、公正取引委員会のダイイチからダイロクまでのメンバーが招集された、大掛かりな調査が始まる。
調査は、小勝負が白熊の入院中に仕上げた資料に基づいていた。
本庄聡子審査長(寺島しのぶ)の号令のもと、いよいよ「ホテル天沢」へ向かう。ロビーに入った小勝負と白熊、桃園、風見慎一(大倉孝二)を長澤が迎えた。
風見が雲海への聴取を求めると、長澤は会うわけがないと拒否。小勝負は閉じ込められた恨みごとを皮肉るが、白熊は「長澤さんなりに戦っていると思っている」と話す。すると、長澤は協力することに。
長澤の案内で、4人は雲海の部屋へ通される。
小勝負たちは「ホテル天沢」のカルテル密会部屋の使用や、安藤の盗聴の件の証拠として、政岡の協力による録音を突きつけた。また、美月を利用して安藤を処分しようとしたことも話すが、雲海は動じない。
ダイロクは毒殺されそうになった安藤からもすべてを聞いていた。それでも、カルテルや会合部屋を認めようとしない雲海。
そこに、桃園の携帯に六角から連絡が入る。雲海がカルテルの手伝いをしている化学メーカーを調査中の六角は、メーカーの職員から「雲海に毒物を渡した」との証言を得ていた。
ここまで詰められても、ダイロクの芝居だと雲海は認めない。
だが、ダイロク以外の公正取引委員会のメンバーは、小勝負が記憶から起こした宿泊台帳と顧客カードをもとに、大規模な調査を行なっていた。雲海のもとに、立入検査された顧客たちから続々と電話が入りだす。
ついに雲海は、「私利私欲で金儲けをしている者から金を奪って何が悪い」と開き直った。
すると、小勝負はそのために競争にすら参加できなかった者たちや、豊島のように命を落とした者もいると言い、あげくは美月に殺人未遂を起こさせたと憤る。さらに、ウエディングカルテルを知らずに結婚式を挙げた人たちや、納入業者いじめに遭っていた花屋も雲海の被害者だと言い放つ。
そこに、県警の刑事が入ってきて、雲海に殺人未遂と独占禁止法違反容疑での同行を促す。雲海は近くにあったビンを割り、白熊のクビに突きつけるが…相手が悪かった。白熊は雲海の隙をついて一気に倒して失神させてしまう。
こうして、雲海は殺人未遂容疑で起訴され、独占禁止法第3条違反で排除措置命令が下され課徴金を求められることになった。
一方、本庄は国土交通省の事務次官・藤堂清正(小日向文世)と廊下ですれ違う。「ホテル天沢」の件を労う藤堂に、本庄は雲海を追い詰めたリストは小勝負が作ったと教えた。だが、藤堂は意に解さない様子で去って行く。
ダイロクは、新たな調査案件に移った。
世界的電機メーカー「アレス電機」による優越的地位の濫用、いわゆる下請けいじめの調査だ。「アレス電機」の役員の写真を見ていた白熊は、見覚えのある顔に気づく。
それは、公取に出向するきっかけになった強盗殺人事件で、白熊が取り逃がした柴野竜平(岡田義徳)だった。